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11月21日 2

投稿者: jgeilsbandfreak 投稿日時: 2008/11/22 08:01 投稿番号: [2750 / 4504]
1.韓国危機の性格

(1)流動性危機と急激な資本収支悪化
  韓国の通貨危機の大きな特徴は市場信任の崩壊から短期間に国内外で激しい流動性危機が進行したことである。タイの場合には94年の人民元切り下げ後、次第に労働集約型産業の競争力鈍化が懸念されつつ、97年の危機勃発に至ったが、韓国の産業構造は中国よりもむしろ日本に近く、競争力は円ドルレートの変化に大きく左右されていた。確かに80年代後半に爆発的な盛り上がりをみせた労働争議以降は賃金上昇が続き、図1が示すように95年を100としてみると、90年代前半の実質賃金は生産性指数を上回る水準にあり、全般的に競争力鈍化が指摘されつつはあった3。しかしその乖離はそれほど大きなものではなく、円ドルレートが円高に振れ、半導体やIT関連機器等への産業高度が進むと、輸出は94−95年には空前の伸びを享受し、成長率を押し上げた。

  この時期の高成長は96年に入り、円安への反転と半導体のビジネス・サイクルの下降によって明確な転機を迎え、実質経済成長率も8.9%から6.8%にまで落ちた。しかしながら景気の再反転を楽観視した一部の設備投資が強行される一方、個人消費も衰えず、96年の経常収支は85.1億ドルから230億ドルへと赤字幅が大きく拡大した。97年に入ると、対ドルレートの穏やかな引き下げ誘導により、図2が示すようにドル・ベースでみた単位当り労働コストは明確に低下し、生産性もやや上向くなかで輸出は再び増加に転じた。経常収支赤字は97年6月まで早いピッチで改善し(97年1月の31.3億ドルから6月には2.2億ドルまで縮小)、韓国経済は第2四半期には再び景気上昇局面に入ったかに見えた。国内の引き締め政策が維持されたことから、94年に6%台にも到達した消費者物価も以後は4%台で安定的に推移し、危機直前まで変動幅がわずかずつ広げられていたことで名目為替レートもそれほど大きく実質から乖離してはいなかった。以上のような「マクロ経済面での健全さ」は当時の政府がタイ危機からの波及懸念を否定し続けた根拠となった4。

  にもかかわらず、第3四半期に入ると、危機は資本収支を中心に一気に拡散した。年前半、経常収支赤字の縮小が続く一方、資本収支は1−2月にいったんは大きく黒字幅を縮小させた。成長維持への期待が残った第2四半期(3−7月)には再び20億ドル前後の黒字幅を回復したものの、起亜自動車破綻を受けた8月には一気に15.6億ドルもの赤字に転換、危機が本格化した11月には44.1億ドル、12月には63.6億ドルと赤字が拡大し、ウォンは強い下げ圧力にさらされた。名目為替レートは年初 1月末の1ドル=861ウォンから10月には965ウォンにまで下がっていたが、11月には1,163ウォンに、さらにIMF合意後の12月には1,415ウォンにまで暴落し、一時は2000ウォンにも達した。わずか5ヶ月間に進展した韓国危機の急激さの要因としては以下の点を指摘することができる。


3に続きます。
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