朝鮮を笑う

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斜め上の雲 65

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/07/28 10:29 投稿番号: [1664 / 2847]
  さて、韓国のほうである。
  北朝鮮が国民一人あたりの所得を一千ドルと発表した七四年には、韓国のそれは五百十三ドルであり、途上国から中進国へのぼったといっていい。
  もっとも、経済成長が順調にすすむにつれ労働運動など朴正煕の開発独裁に対する不満もでてきた。これを抑えるのに強権的な政策をもってのぞんだこともあり、さらには、KCIAによる金大中誘拐事件の影響もあって、「人権外交」を標榜して東側に対して融和的な政策をとるカーター政権との摩擦も生じてきた。

  この時期の錫元は、戦史研究にくわえ自主国防について研究するよう命じられ、アメリカや日本、西ドイツといった西側諸国をまわっていた。
  朴は、「自主国防、自立経済」とことあるごとに口にしていたが、アメリカに振りまわされない自主国防のためにはまず兵器の国産化が必要だと考えていた。そのため極秘で核兵器の開発にも着手した。もっとも、それはアメリカの圧力で中止に追いこまれた。
  錫元は、とくにアメリカや日本との国交を断たれ自主国防をせざるをえなくなった台湾に着目した。アメリカにF16の売却をことわられた台湾は国産戦闘機の開発に着手し、アメリカ政府も個別の民間企業による支援を容認していたのである。錫元はそういった台湾の政策と実情について知ろうとした。

  七八年六月に錫元が訪台したとき、新しい台北市長が任命されたところであったため祝賀パーティーに招待された。
  その新市長は、台湾うまれの本省人で農業学の大家であり農村の更生に貢献したという。錫元はかつて台湾を観察したときのことをおもいだした。
(ようやく台湾人が政治にとりくめるのか)
  錫元はかれにあいさつをするため近寄っていった。新市長は長身をまげてていねいに返礼すると、錫元の耳元に口をよせて言った。
「あなたのお話はきいております。金大佐」
  かれは韓国軍の階位である「大領(テヨン。中国語ではダァリン)」といわず、日本語で「たいさ」といった。それにおどろいた錫元をみて、さらに日本語で
「いまの場所はどうあれ、大和魂をたもち続ける方には敬意を表します」
  と小声でいった。
  その市長の名は、李登輝といった。

「すべての兵器を国産化するのはとうてい無理だ」
  錫元はそう結論をださざるをえない。電子機器などすぐれた先端技術のほとんどが韓国の技術力ではつくれず、アメリカもしくは日本に依存しているためである。それをおくとしても、無理に国産化に固執することは兵器の生産コストの面からも負担がおおきすぎる。
  それに、もはや一国だけで安全保障をまかなえる時代ではない。任務の分担、負担軽減を柱とした多国間の集団安全保障が外交上も財政上も理にかなっている。韓国単独ではとても国防費用をまかなえない。
(自主国防の名はうつくしいが、現実には不可能だ)
  そうおもい、ボンのホテルで錫元は最終報告書の作成をはじめた。
  そんなとき急報がもたらされた。朴正煕大統領の暗殺である。
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