竹島

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対日講和条約草案の変遷その4

投稿者: sakurazaka3000 投稿日時: 2003/05/27 23:45 投稿番号: [1854 / 18519]
(米英共同草案の作成)
         米英両国の草案が出揃つたのをうけ、一九五一年五月、ワシントンにおいて米英外務
        当局者間の協議が行なはれた。その結果、同年五月三日付けで"米英共同草案が作成された
        。この米英共同草案においては、英国草案にあつた経度緯度により日本が保持する島を
        特定する方式(米国においては一九四九・十二・二九草案以来放棄した方式)は、最終的
        に採用されないことになつた。また、朝鮮条項に関しては、第二条に、米英両国案を
        折衷する形(米国にとつては一九四九・十二・二九に戻る形)で、
        「日本国は、朝鮮(済州島、巨文島及び鬱陵島を含む)、…に対するすべての権利、
        権原を放棄する」と規定された。

         この間の事情について、一九五一年六月一日付けの米国務省作成「注釈」は、ニュージ
        ーランド政府の米国草案に対する見解すなはち「日本近傍のいずれの島にも主権紛争を残
        さないようにすることを確保する必要性にかんがみ、英国草案第一条で提案されているよ
        うに日本が保持すべき領土を経緯度によって正確に確定することが望ましいと考える。
         この方式を採用すれば、たとえば現在ソ連の占領下にある歯舞諸島及び色丹が日本に
        残ることを明確にすることができるであろう。」を掲げた後、次のやうに説明してゐる。

         ワシントンでの話し合ひにおいて合衆国は、日本の周りに連続した線を巡らすと日本を
        柵の中に囲い込む様に見えるという心理的不利益を指摘し、英国はこの提案を落とすこと
        に同意した。日本も、東京で英国の提案が話し合われたとき、これに反対した。条約注に
        朝鮮の領土が済州島、巨文島および鬱陵島を含む旨明細に述べることを合衆国が進んで
        受け入れたこともまた、英国を説得するのに役立った。
         歯舞諸島および色丹については、ソ連がその島を占領していることからして、日本への
        返還を明確に規定しない方がより現実的であると思われる。
         このワシントンにおける米英協議については、英国の記録(一九五一年五月二日午前の
        第七回会合の議事要旨)に次のような記述がある。
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  合衆国草案第三章/双方の代表団は日本が主権を放棄する領域だけを挙げる方がよい旨合意した。これ
に関して、合衆国草案第三条には、三つの島すなわち済州島、巨文島および鬱陵島の挿入が必要であろう
。英国草案第二条の国際連合が行うことのある決定を日本が承認する旨の規定を維持すべ気かどうかは、
未決定のまま残された。…
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         ここで、米国の記録にある心理的不利益云々は、全章でみたとおりシーボルド駐日政治
        顧問の指摘にかかる点である。そうして「朝鮮の領土が済州島、巨文島および鬱陵島を含
        む」云々は、シーボルドの提言を受けて作成された一九四九・十二・二九草案(竹島を
        日本に残すことに改めた草案)の朝鮮放棄規定に対応している。また、英国の記録に
        おいても朝鮮の領域として規定すべき島として三島嶼を挙げ英国案で線外にしていた竹島
        に言及していない。これらのことから、米英共同草案においては、英国案の日本を線で
        囲む方式が落とされただけでなく、当該線の外に竹島を置くといふ点もまた落とされた
        (竹島を日本領にとどめることになつた)と解される。

         米英両国は、一九五一年六月のダレス訪英によるロンドン協議を経て、同六月十四日付
        で〝改定米英草案〟を作成した。第二条aとなつた朝鮮放棄条項は、五月の米英共同草案
        を踏襲して「日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島および鬱陵島を含む朝鮮
        に対するすべての権利権原を放棄する」と規定する。
         この第二条aは、一九五一年九月八日署名の最終テキストまで変更されなかつた。

(つづく)
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