第三話 イランでの結婚許可を得るまで ①
投稿者: hafez0211 投稿日時: 2010/04/10 04:31 投稿番号: [3575 / 3876]
日本から届いた書籍は船戸与一の「最新小説」ではなく25年ぶりに書かれた「ドキュメンタリー本」だった。
「国家と犯罪」というその本には、テロリストと称される各国の人々の写真がところどころにあり、字が読めないイラン人が見ても「不穏な内容の本」であることが一目瞭然だった。
ぐっと開いたページがある。広げてみるとPKK(クルディスタン労働者党)のオジャラン氏が写ったページだった。
夫と私は顔を見合わせた。
「まったく、なんでこんな本を送ってくるんだ!」と私たちは、イランの政治情勢を全く知らない友人の無知さ加減を呪った。
「内務省は郵便物をチェックしているはずだ。厄介なことになったな」
その時、私たちは結婚パーティをイランで開いてから3ヶ月あまりの頃で、現地での結婚手続きをテヘランや地元の警察で進めていた。(イランでの国際結婚を管轄しているのは警察署なので)
月に1度くらいの割で私たちは警察署でインタビューを受けていた。
「奥さんの亡くなられたお父様のご職業は?」
「奥様はダンスの先生の資格をお持ちで?」(私のどこを見て、そんな馬鹿な質問をするの?)
「なぜイラン人の女性ではなく、外国人と結婚するのですか?奥様にしても、著名人の娘さんならば日本人と結婚したほうがいいんではないですか?」
そんなことを尋ねられた。余計なお世話である。
不潔なまでに伸ばされた無精ひげの警察の担当官は、ねめつけるように私たちを見ながら質問してくる。
夫は改まった口調で、私にも理解できないような丁寧な言葉で返答していった。
(いいか、君はペルシャ語がわからないふりをするんだぞ。余計なことは言うな)そう言われてきた私は、ちょこんと椅子に座って二人のやりとりをみていた。
犯罪者をとりしまるようなインタビューだった。
夫は「紅茶をすすめられただろう?アレで手が震えているかどうかチェックしているのさ。私が反政府側の人間だっていうのは奴等はすぐわかる。私が無精ひげを2,3日生やしたからといったって見破るんだ。紅茶を持つ手が震えていたら、やましいことをしているという証拠になって、インタビューは長引くはずだ。うまくやり通したつもりだが、許可が下りるまでどの位かかるのか皆目検討がつかない」と不安そうだった。
これは メッセージ 3561 (hafez0211 さん)への返信です.
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