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つづき8

投稿者: crawlingchaos_g 投稿日時: 2005/09/26 21:44 投稿番号: [7677 / 62227]
  では、チュクチの現況はどうであるのだろうか。チュコト半島の先端中央部、ベーリング海峡に臨む地にロリノがある。人口1,414人(1997年)、そのうちチュクチが86%、ユピットが7%を占めるチュクチ中心の村である(RUSSIAN FEDERATION 2002: 14)。
  ソ連邦時代、先住民は国営農場の一員としてトナカイの遊牧やセイウチの狩猟に従事、トナカイ肉などを国に出荷し、給料を受け取ると同時に食料や燃料の援助を受けながら極寒の地で暮らしてきた(武田 1998:73)。
  ソ連邦崩壊後は国営農場を共同経営化し、ギンギツネ飼育、毛皮製品製造、捕鯨やアザラシ猟、トナカイ飼育などで生計の維持を図ってきたが、肉や毛皮製品の販売ルートの不確立など解決すべき課題が多く残されている(武田 1998: 73)。
  一方、ロシア政府による政権基盤の確立後、政府の捕鯨船による先住民への鯨肉供給用捕鯨は中止され、チュクチ自身によるコククジラ捕鯨が再開された。1997年ロリノでは24人の鯨捕りが6隻の小型ボートでコククジラ捕鯨に従事している(武田 1998: 71)。
  1997年から2001年までの5年間、コククジラの捕獲数は60頭を下回ったことはなく、1998年には72頭が捕獲されている(RUSSIAN FEDERATION 2002: 14)。 2001年の住民1人当たりの年間野生食料資源消費量は358kg、そのうち海産哺乳類が68%を占め、その海産哺乳類の中ではコククジラが40%、セイウチが30%、アゴヒゲアザラシが11%、ホッキョククジラが0.5%となっている(RUSSIAN FEDERATION 2002: 13, 19,21)。ここでは海産哺乳類、特にコククジラが重要な食料資源となっていることが理解できる。
  国家の経済破綻が先住民チュクチの自活を余儀なくさせ、コククジラ捕鯨を復活させた。しかし、1994年には鯨捕り3人が捕鯨中の事故で死亡するなど   (FREEMAN et al.1998: 85)、その復活の過程で多くの犠牲も払っている。
  資源量が強固であるコククジラの捕獲に関しては、少なくともチュコト半島においては議論の的になることはない。これに対して資源量に関して不確実性が残るホッキョククジラの捕獲に関しては第54回国際捕鯨委員会年次会議での議論のように時には政治問題化される。ロシアの先住民とは直接関係のない外部世界の政治的対立の結果、ようやく復活の兆しをみせてきたホッキョククジラ捕鯨の中断を余儀なくされるとするならば、それはユピットとチュクチにとっては甚だ迷惑なことである。日米捕鯨対立をチュコト半島に飛び火させてはならない。
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