さあ!諸君!捕鯨問題だ!

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つづき4

投稿者: crawlingchaos_g 投稿日時: 2005/09/26 21:38 投稿番号: [7673 / 62227]
  1988年10月、アラスカ、バロー岬沖で氷に閉じ込められていた3頭のコククジラがイヌピアットによって発見され、その救出作戦がメディアをにぎわした。米ソ両国が協力、580万ドル(8億7,000万円当時)以上もの大金を費やし(ROSE 1989: 239)、結局、2頭を救出し、まずは万々歳で終わった。
  ところで、メディアでは全く語られていなかったが、前述したようにイヌピアットはホッキョククジラ捕鯨民であって、コククジラ捕鯨は重要な生計活動ではなかった。彼らの文化はホッキョククジラを中心に展開してきたのであり、ホッキョククジラの肉と食用鯨皮は称賛するが、コククジラのそれについては人々の間では意見が異なっている。
  この救出作戦もイヌピアットにとって不必要なコククジラであったから実行しえたのであった。もし、氷に閉じ込められていたのがホッキョククジラであったならば、メディアの注目を集める前にイヌピアットの食卓を飾っていたはずである。イヌピアット社会が自らの文化的基準から不要物として捨て去ったものを米国白人社会が貴重品として拾い上げたのであった。鯨類保護にかかわっている人たちは伝統的食物への先住民の文化的選好を見落としている。代替食料は栄養学的には人々を充足させるかもしれないが、文化的、心理的には充足させえない。いやいや食べるものはおいしくはないし、おいしくないものは食べたくもない。
  ホッキョククジラ捕鯨においては銛手に捕鯨クルーのキャプテンとしての特別な地位が与えられている。鯨肉の分配時には一番銛を打ち込んだキャプテンが最良の分け前を取り、以下、協力の度合いに応じて各クルーに分配がなされる。一時的に多くを得たキャプテンも解体作業時、あるいは祝宴時に自らの取り分を再配分することによって鯨肉を消費する。そのことによってキャプテンとしての威信が保たれ、同時に村落共同体の社会的安寧が保証されるのである。
  ところが、一般的にコククジラは高性能ライフルで一斉射撃される(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 387)。もしイヌピアット、ユピットが全面的にコククジラに依存せざるを得ない状況になれば、一番銛のキャプテンを中心にして確立されてきたホッキョククジラを巡る諸々の文化的複合は大幅に変わらざるを得ないであろう。幸いにして様々な外圧にもかかわらず、イヌピアット、ユピット社会においては2002年現在、ホッキョククジラ捕鯨は存続し、ホッキョククジラを中心とする伝統的な捕鯨文化も継承されている。
  このホッキョククジラに基づくイヌピアットとユピットの捕鯨文化が捕鯨問題を巡る政治的対立の結果、変容をきたすとするならば、それは非常に残念なことである。
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