つづき3
投稿者: crawlingchaos_g 投稿日時: 2005/09/25 23:33 投稿番号: [7660 / 62227]
2.2.コククジラ捕鯨
つぎにアラスカにおけるコククジラのもつ意義をみてみよう。イヌピアット、ユピットが捕獲対象としてきたベーリング海系統のホッキョククジラは1931年に商業捕鯨が禁止されたにもかかわらず、1980年代初頭までに600〜2,000頭程度にしか資源レヴェルが回復しなかった(GAMBELL 1983: 468)。
一方、1946年に商業捕鯨が禁止されたカリフォルニア系統のコククジラは、1980年代初頭には1万5,000〜1万7,000頭まで資源レヴェルが回復し(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 386, 391)、一部の科学者はコククジラによるホッキョククジラの代替を考え始めた。
その結果、1979年に国際捕鯨委員会の意向を受けて開催された専門家会議において、ホッキョククジラを保護するために、イヌピアット、ユピットの食料におけるホッキョククジラとコククジラ、アザラシ、セイウチ、カリブー、烏、魚などの野生資源との代替の妥当性およびその実行可能性のさらなる調査を推奨する報告が出された(MITCHELL and REEVES 1980: 691-692)。
ところが、たとえば25トンのホッキョククジラに匹敵する動物数を計算してみれば、セイウチ(36頭)、アゴヒゲアザラシ(77頭)、ワモンアザラシ(303頭)、カリブー(273頭)となり(McCARTNEY 1980: 527)、実行不可能とは言えないまでも、捕獲には技術的、労
力的にかなりの困難が伴うと推定される。いわんや鳥や魚で代替するとしたならば、それこそ超天文学的な数になってしまう。では、コククジラはどうであるだろうか。
ベーリング海峡を通過してからアラスカ海岸沿の各村落を順次回遊していくホッキョククジラと異なり、コククジラはベーリング海峡を通過するとチュコト海に直進し、少数の個体しかアラスカ海岸沿を回遊しない(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 391)。従って、現在ホッキョククジラ捕鯨を行っている10村落のうち、ガンベル、サヴーンガ、リトル・ダイオミード、ウェールズしか毎年十分な数のコククジラを期待できず(地図1)、他村の住民にとってコククジラは確実な代替品にはなりえないのである。このように非文化的理由だけでもコククジラ(あるいは他の動物)によるホッキョククジラとの代替は困難と結論しうる。
前述した捕獲数からわかるようにコククジラ捕鯨はイヌピアットにとっては重要な生計活動ではなかった。時々コククジラが捕獲されているガンベルの村人でさえも、ホッキョククジラこそが伝統的に好む鯨であると述べており(MARQUETTE and BRAHAM 1982:390)、一方、伝統的にホッキョククジラ捕鯨民の村として知られているポイント・ホープでは、コククジラは食料としては劣っており、また捕獲は余りにも危険であると考えられているので捕獲はされない(RAINEY 1947: 262)。実際、ポイント・ホープでは今日までコククジラが捕獲されたことを示す記録は残っていないし、1979年に3頭のコククジラがシヤチに襲われて死に近くの海岸に打ち上げられた時も村人は見向きもしなかった(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 391)。
このように先住民にとっては大きな違いのあるホッキョククジラとコククジラも米国人(白人)一般の眼には同じ存在に映る。米国人一般がいかに鯨についての知識に乏しいかを例証した興味深い出来事がある。
つぎにアラスカにおけるコククジラのもつ意義をみてみよう。イヌピアット、ユピットが捕獲対象としてきたベーリング海系統のホッキョククジラは1931年に商業捕鯨が禁止されたにもかかわらず、1980年代初頭までに600〜2,000頭程度にしか資源レヴェルが回復しなかった(GAMBELL 1983: 468)。
一方、1946年に商業捕鯨が禁止されたカリフォルニア系統のコククジラは、1980年代初頭には1万5,000〜1万7,000頭まで資源レヴェルが回復し(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 386, 391)、一部の科学者はコククジラによるホッキョククジラの代替を考え始めた。
その結果、1979年に国際捕鯨委員会の意向を受けて開催された専門家会議において、ホッキョククジラを保護するために、イヌピアット、ユピットの食料におけるホッキョククジラとコククジラ、アザラシ、セイウチ、カリブー、烏、魚などの野生資源との代替の妥当性およびその実行可能性のさらなる調査を推奨する報告が出された(MITCHELL and REEVES 1980: 691-692)。
ところが、たとえば25トンのホッキョククジラに匹敵する動物数を計算してみれば、セイウチ(36頭)、アゴヒゲアザラシ(77頭)、ワモンアザラシ(303頭)、カリブー(273頭)となり(McCARTNEY 1980: 527)、実行不可能とは言えないまでも、捕獲には技術的、労
力的にかなりの困難が伴うと推定される。いわんや鳥や魚で代替するとしたならば、それこそ超天文学的な数になってしまう。では、コククジラはどうであるだろうか。
ベーリング海峡を通過してからアラスカ海岸沿の各村落を順次回遊していくホッキョククジラと異なり、コククジラはベーリング海峡を通過するとチュコト海に直進し、少数の個体しかアラスカ海岸沿を回遊しない(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 391)。従って、現在ホッキョククジラ捕鯨を行っている10村落のうち、ガンベル、サヴーンガ、リトル・ダイオミード、ウェールズしか毎年十分な数のコククジラを期待できず(地図1)、他村の住民にとってコククジラは確実な代替品にはなりえないのである。このように非文化的理由だけでもコククジラ(あるいは他の動物)によるホッキョククジラとの代替は困難と結論しうる。
前述した捕獲数からわかるようにコククジラ捕鯨はイヌピアットにとっては重要な生計活動ではなかった。時々コククジラが捕獲されているガンベルの村人でさえも、ホッキョククジラこそが伝統的に好む鯨であると述べており(MARQUETTE and BRAHAM 1982:390)、一方、伝統的にホッキョククジラ捕鯨民の村として知られているポイント・ホープでは、コククジラは食料としては劣っており、また捕獲は余りにも危険であると考えられているので捕獲はされない(RAINEY 1947: 262)。実際、ポイント・ホープでは今日までコククジラが捕獲されたことを示す記録は残っていないし、1979年に3頭のコククジラがシヤチに襲われて死に近くの海岸に打ち上げられた時も村人は見向きもしなかった(MARQUETTE and BRAHAM 1982: 391)。
このように先住民にとっては大きな違いのあるホッキョククジラとコククジラも米国人(白人)一般の眼には同じ存在に映る。米国人一般がいかに鯨についての知識に乏しいかを例証した興味深い出来事がある。
これは メッセージ 7659 (crawlingchaos_g さん)への返信です.
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