南極海鯨類調査の新展開2
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/09/23 22:38 投稿番号: [48080 / 62227]
2009 SC/61/IA3
東南極沖海氷領域におけるナンキョクミンククジラ航空調査:準備研究
AN AERIAL SURVEY FOR ANTARCTIC MINKE WHALES IN SEA ICE OFF EAST ANTARCTICA:
A PILOT STUDY
Kelly, N., Peel, D., Pike, D., Bravington, M.V. and Gales, N.
(以下、本文)
[導 入]
1978/79年に国際捕鯨委員会(IWC)の指揮のもと、後に30年有余にわたって続く
ことになる南極周回鯨類調査が始まった。一般にCPI(サーカムポラール I)、CPII、
CPIIIと呼ばれる逐次周回周期である。
この船によるライントランセクト(線状横断)調査は最初はIDCR(国際鯨類調査の
10年)と呼ばれ、後にSOWER(南大洋エコシステム調査) と呼ばれるようになった。
横断するのは南緯60°以南の夏の南極海であり、60°Sから操船上安全な氷の縁まで
であった(船は耐氷装甲にはなっていなかった)。
IDCR/SOWERの調査結果で特に興味深かったのは、CPII (1985/86-1990/91) と
CPIII(1991/92-2003/04)の間で、ナンキョクミンククジラ(Balaenoptera bonaerensis;
以後ミンククジラと略称)が明らかに減少したことだった(Branch 2006)。
これは「標準方法(‘standard methods’ )」というブランチとバターワースの2001年論文
で概略の示されている方法による推計だった。CPIは調査方法が基本的に違うため、
直接の比較はできなかった。
新たな生息数推定は新しい分析方法により、今年(#2009年)のIWC科学委員会に
提出されることになっているが、CPIIとCPIII との間でのミンククジラの全般的減少は
そのまま残るようだ (e.g., Okamura and Kitakado (2009), Bravington and Hedley (2009))。
この生息数減少の説明要因が数多く討議されている;詳細は(Branch 2007)参照。
一つの説得力ある仮説は氷縁の位置の変化であり、それにともなう積氷,叢氷
(パックアイス)内のミンククジラの相対的比率の変化であり、これが数えること
のできるクジラの頭数をCPIIとCPIIの間で減少させたと考えうる(Branch 2007)。
この効果は「不確実」だが「大きい可能性」があると見なされた(Branch 2007)。
ミンククジラが氷を好む(pagophilic)ということはよく知られ、広く受け入れられて
いる知見だ。パックアイスの狭い水路を泳ぎ抜ける体をもち、積氷の薄い部分へ
下から突入して割り、呼吸することができる硬い口吻を持っている(Ainley et al. 2003;
Ainley et al. 2007)。
しかしミンククジラのパックアイス海域に対する選好の特性についてはあまり
よく知られていない。さらに夏のパックアイス内に生息するミンククジラの、
総数に対する比率が推定できれば、この情報はIDCR/SOWER(あるいはそれに
類似の調査)からの生息数推定ならびにトレンド推定の修正に用いることが
できる。
夏の間のパックアイス内のミンククジラ比率を推定する目的でオーストラリアの
固定翼飛行機による航空調査が西南極を基地として考案され、2007/08シーズンのために
計画された(Hedley et al. (2007)参照)。航空調査領域のミンククジラ推定数は氷縁より
北の海域で同時に行われるSOWER調査と比較される(Ensor et al. (2008))。
しかしこの航空調査はオーストラリア、ホバースから南極大陸へ観察チームを輸送する
予定だったフライトが不調で、適時に運搬ができなかったのでキャンセルとなった。
幸いなことに2008年1月にテストフライトができ、パックアイス内の固定翼期による
ミンククジラの観察という方法が有用であるとの主張を強化することができた(Kelly et al. 2008)。
このテストフライトにつづいて西南極でミンククジラをターゲットにした小規模調査が
2008年12月に行われた。この小稿が総括しようとする目的は a)2008年12月、
ヴァンサンヌ湾でのミンククジラ小規模航空調査を叙述すること、b)航空調査の結果を
暫定的に分析して提示し、航空調査海域に接する海域でのIWC-SOWER最新航海
(2007/08 cruise)からの基本生息数推定と比較することである。
(つづく、かもしれない)
東南極沖海氷領域におけるナンキョクミンククジラ航空調査:準備研究
AN AERIAL SURVEY FOR ANTARCTIC MINKE WHALES IN SEA ICE OFF EAST ANTARCTICA:
A PILOT STUDY
Kelly, N., Peel, D., Pike, D., Bravington, M.V. and Gales, N.
(以下、本文)
[導 入]
1978/79年に国際捕鯨委員会(IWC)の指揮のもと、後に30年有余にわたって続く
ことになる南極周回鯨類調査が始まった。一般にCPI(サーカムポラール I)、CPII、
CPIIIと呼ばれる逐次周回周期である。
この船によるライントランセクト(線状横断)調査は最初はIDCR(国際鯨類調査の
10年)と呼ばれ、後にSOWER(南大洋エコシステム調査) と呼ばれるようになった。
横断するのは南緯60°以南の夏の南極海であり、60°Sから操船上安全な氷の縁まで
であった(船は耐氷装甲にはなっていなかった)。
IDCR/SOWERの調査結果で特に興味深かったのは、CPII (1985/86-1990/91) と
CPIII(1991/92-2003/04)の間で、ナンキョクミンククジラ(Balaenoptera bonaerensis;
以後ミンククジラと略称)が明らかに減少したことだった(Branch 2006)。
これは「標準方法(‘standard methods’ )」というブランチとバターワースの2001年論文
で概略の示されている方法による推計だった。CPIは調査方法が基本的に違うため、
直接の比較はできなかった。
新たな生息数推定は新しい分析方法により、今年(#2009年)のIWC科学委員会に
提出されることになっているが、CPIIとCPIII との間でのミンククジラの全般的減少は
そのまま残るようだ (e.g., Okamura and Kitakado (2009), Bravington and Hedley (2009))。
この生息数減少の説明要因が数多く討議されている;詳細は(Branch 2007)参照。
一つの説得力ある仮説は氷縁の位置の変化であり、それにともなう積氷,叢氷
(パックアイス)内のミンククジラの相対的比率の変化であり、これが数えること
のできるクジラの頭数をCPIIとCPIIの間で減少させたと考えうる(Branch 2007)。
この効果は「不確実」だが「大きい可能性」があると見なされた(Branch 2007)。
ミンククジラが氷を好む(pagophilic)ということはよく知られ、広く受け入れられて
いる知見だ。パックアイスの狭い水路を泳ぎ抜ける体をもち、積氷の薄い部分へ
下から突入して割り、呼吸することができる硬い口吻を持っている(Ainley et al. 2003;
Ainley et al. 2007)。
しかしミンククジラのパックアイス海域に対する選好の特性についてはあまり
よく知られていない。さらに夏のパックアイス内に生息するミンククジラの、
総数に対する比率が推定できれば、この情報はIDCR/SOWER(あるいはそれに
類似の調査)からの生息数推定ならびにトレンド推定の修正に用いることが
できる。
夏の間のパックアイス内のミンククジラ比率を推定する目的でオーストラリアの
固定翼飛行機による航空調査が西南極を基地として考案され、2007/08シーズンのために
計画された(Hedley et al. (2007)参照)。航空調査領域のミンククジラ推定数は氷縁より
北の海域で同時に行われるSOWER調査と比較される(Ensor et al. (2008))。
しかしこの航空調査はオーストラリア、ホバースから南極大陸へ観察チームを輸送する
予定だったフライトが不調で、適時に運搬ができなかったのでキャンセルとなった。
幸いなことに2008年1月にテストフライトができ、パックアイス内の固定翼期による
ミンククジラの観察という方法が有用であるとの主張を強化することができた(Kelly et al. 2008)。
このテストフライトにつづいて西南極でミンククジラをターゲットにした小規模調査が
2008年12月に行われた。この小稿が総括しようとする目的は a)2008年12月、
ヴァンサンヌ湾でのミンククジラ小規模航空調査を叙述すること、b)航空調査の結果を
暫定的に分析して提示し、航空調査海域に接する海域でのIWC-SOWER最新航海
(2007/08 cruise)からの基本生息数推定と比較することである。
(つづく、かもしれない)
これは メッセージ 48079 (aplzsia さん)への返信です.
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