イヌイットのホッキョククジラ捕鯨6
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/05/07 08:11 投稿番号: [43760 / 62227]
(つづき)
クジラが射程距離内に入り、適当と判断されるとウミアックは
静かに進水する。舳先ではハプーン射手が体勢を整え、2名から
5名の漕ぎ手が両サイドに並んで船尾では舵取りがウミアック
をクジラの方向へ向かわせる。
ウミアックは静かに漕ぐが、すべてのクルーはオールを一斉に
動かす。舵取りは彼あるいはキャプテンが、次にクジラが水面に
現れるだろうと予期する地点へウミアックを向かわせる。
ハプーン射手はできる限り近いところから発射する。多くの場合
直接弾道距離である。狙いは頭蓋骨後部の窪んだところだ。
ここに命中するとクジラを即死させる場合が多い。
ここが狙えない場合には脊柱、心臓、腎臓領域を狙う。
ハプーンが命中するとすぐに浮きを面舵(右側)方向へ投げる。
可能であれば、ハプーン手以外の年長のクルーメンバーが、
ショルダーガンを撃って2発目の爆裂弾をクジラに埋め込む。
他のクルーはVHFラジオで知らせを受け、命中現場へ船外機を付けた
アルミボートで素早く集まる。クジラを素早く殺すために更に
爆裂弾を撃ち込むこともある。アルミボートはウミアックよりも
はるかに速く、命中したクジラが失われることを防ぐ。
クジラが死ぬと、最初に命中させたクルーのキャプテンが
祈りの言葉を挙げる。これはしばしばVHFラジオで放送され、
岸で待つ村人たちへのクジラ猟成功の最初の知らせになる。
クジラの胸びれが結びあわされ、曳航を軽減するために尻尾が
切り離される。
体の後端部、尾の手前に長いロープが固定され、すべての
ボートがこのロープに連なる。猟に成功したクルーが先頭である。
こうしてクジラの尾から氷上の解体場所に揚げられる。
猟の成功がスノーボートで村へ伝えられ、成功したクルーの
キャプテンの家の上には捕鯨旗がたてられる。多くの村人が
解体場へ集まり、引き上げと解体を手伝う。
解体場ではブロック滑車が氷に固定され、クジラが氷上へ引き揚げ
られる。集まることの出来るすべての捕鯨クルーメンバーと村人が
滑車ブロックの長手の鎖にとりつき、捕鯨キャオプテンの号令に
あわせて引っ張る。
クジラが大きすぎて引き揚げられない時には、解体は水中ではじまる。
舌あるいは頭蓋を切り離すと、鯨体を氷原に揚げるのが楽になる。
クジラが引き揚げられるとただちに解体がはじまる。厚い脂肪層が
保温効果があり、未解体状態では肉の劣化が早いからである。
クジラの解体は配分割当を律している厳密な慣習に従って行われる。
クジラの一部は命中させたクルーのキャプテンが留保する。
ほとんどの部分は一年を通して祝祭日と祭りの日に村で配分される。
これを越える取分は、成功したクルーと、捕殺、解体場所への
引き上げ、解体作業を手伝ったクルーの間で分配される。
クルーによって代表されない個人にも、肉と皮脂(maktak)の
分配がオファーされる。
20−25人の人数で平均的なサイズのホッキョククジラを解体
するのに6−7時間かかる。解体が終わるまで分配はされない。
伝統的には、解体の後に頭蓋の一部が海へ返される。
これはクジラのスピリットが他のクジラへ入り、また捕鯨される
ようにということである。
クジラのスピリットは自分を良く扱ってくれた捕鯨キャプテンを
覚えていて、このキャプテンにもう一度捕られようとすると
されていた。
頭蓋骨の他の部分は陸上にまで運ばれ、村の半地下式住居の
入り口トンネル開口部に使われる。このシンボリックな頭蓋の
使い方は、この家へ入るものがクジラの世界へ入るのだという
ことを示している。
前史時代のqargi あるいは捕鯨者のセレモニーハウスはすべて
完全にクジラの部品で作られており、完全なクジラを象徴して
いる(Sheehan, 1990)。今日では一部の頭蓋を海へ戻すということ
は無く、陸へ運んで洗い、村の中へディスプレイされる。
骨格部のその他の部分はカモメ、狐、シロクマのために氷上に
残される。
ホッキョククジラの皮脂は茹でるか生、あるいは凍った状態で
食餌に供されるが、北極圏で最も珍重される食物である。
肉と皮脂は家族や近隣で広く分配される。町に住んでいるので
伝統的な食物を手に入れられない家族にもしばしば分配が
行われる。
肉は生で凍結状態か茹でたもの、あるいは血の中で発酵させた
ものを食べる。内蔵の多くも食べられる。腎臓、腸、心臓は
茹でて食べる。ホッキョククジラの大きな舌は茹でると美味
なものと見なされている。
(つづく)
クジラが射程距離内に入り、適当と判断されるとウミアックは
静かに進水する。舳先ではハプーン射手が体勢を整え、2名から
5名の漕ぎ手が両サイドに並んで船尾では舵取りがウミアック
をクジラの方向へ向かわせる。
ウミアックは静かに漕ぐが、すべてのクルーはオールを一斉に
動かす。舵取りは彼あるいはキャプテンが、次にクジラが水面に
現れるだろうと予期する地点へウミアックを向かわせる。
ハプーン射手はできる限り近いところから発射する。多くの場合
直接弾道距離である。狙いは頭蓋骨後部の窪んだところだ。
ここに命中するとクジラを即死させる場合が多い。
ここが狙えない場合には脊柱、心臓、腎臓領域を狙う。
ハプーンが命中するとすぐに浮きを面舵(右側)方向へ投げる。
可能であれば、ハプーン手以外の年長のクルーメンバーが、
ショルダーガンを撃って2発目の爆裂弾をクジラに埋め込む。
他のクルーはVHFラジオで知らせを受け、命中現場へ船外機を付けた
アルミボートで素早く集まる。クジラを素早く殺すために更に
爆裂弾を撃ち込むこともある。アルミボートはウミアックよりも
はるかに速く、命中したクジラが失われることを防ぐ。
クジラが死ぬと、最初に命中させたクルーのキャプテンが
祈りの言葉を挙げる。これはしばしばVHFラジオで放送され、
岸で待つ村人たちへのクジラ猟成功の最初の知らせになる。
クジラの胸びれが結びあわされ、曳航を軽減するために尻尾が
切り離される。
体の後端部、尾の手前に長いロープが固定され、すべての
ボートがこのロープに連なる。猟に成功したクルーが先頭である。
こうしてクジラの尾から氷上の解体場所に揚げられる。
猟の成功がスノーボートで村へ伝えられ、成功したクルーの
キャプテンの家の上には捕鯨旗がたてられる。多くの村人が
解体場へ集まり、引き上げと解体を手伝う。
解体場ではブロック滑車が氷に固定され、クジラが氷上へ引き揚げ
られる。集まることの出来るすべての捕鯨クルーメンバーと村人が
滑車ブロックの長手の鎖にとりつき、捕鯨キャオプテンの号令に
あわせて引っ張る。
クジラが大きすぎて引き揚げられない時には、解体は水中ではじまる。
舌あるいは頭蓋を切り離すと、鯨体を氷原に揚げるのが楽になる。
クジラが引き揚げられるとただちに解体がはじまる。厚い脂肪層が
保温効果があり、未解体状態では肉の劣化が早いからである。
クジラの解体は配分割当を律している厳密な慣習に従って行われる。
クジラの一部は命中させたクルーのキャプテンが留保する。
ほとんどの部分は一年を通して祝祭日と祭りの日に村で配分される。
これを越える取分は、成功したクルーと、捕殺、解体場所への
引き上げ、解体作業を手伝ったクルーの間で分配される。
クルーによって代表されない個人にも、肉と皮脂(maktak)の
分配がオファーされる。
20−25人の人数で平均的なサイズのホッキョククジラを解体
するのに6−7時間かかる。解体が終わるまで分配はされない。
伝統的には、解体の後に頭蓋の一部が海へ返される。
これはクジラのスピリットが他のクジラへ入り、また捕鯨される
ようにということである。
クジラのスピリットは自分を良く扱ってくれた捕鯨キャプテンを
覚えていて、このキャプテンにもう一度捕られようとすると
されていた。
頭蓋骨の他の部分は陸上にまで運ばれ、村の半地下式住居の
入り口トンネル開口部に使われる。このシンボリックな頭蓋の
使い方は、この家へ入るものがクジラの世界へ入るのだという
ことを示している。
前史時代のqargi あるいは捕鯨者のセレモニーハウスはすべて
完全にクジラの部品で作られており、完全なクジラを象徴して
いる(Sheehan, 1990)。今日では一部の頭蓋を海へ戻すということ
は無く、陸へ運んで洗い、村の中へディスプレイされる。
骨格部のその他の部分はカモメ、狐、シロクマのために氷上に
残される。
ホッキョククジラの皮脂は茹でるか生、あるいは凍った状態で
食餌に供されるが、北極圏で最も珍重される食物である。
肉と皮脂は家族や近隣で広く分配される。町に住んでいるので
伝統的な食物を手に入れられない家族にもしばしば分配が
行われる。
肉は生で凍結状態か茹でたもの、あるいは血の中で発酵させた
ものを食べる。内蔵の多くも食べられる。腎臓、腸、心臓は
茹でて食べる。ホッキョククジラの大きな舌は茹でると美味
なものと見なされている。
(つづく)
これは メッセージ 43758 (aplzsia さん)への返信です.
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