イヌイットのホッキョククジラ捕鯨5
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/05/07 08:01 投稿番号: [43758 / 62227]
Encyclopedia of marine mammals
By W. F. Perrin, Bernd Würsig, J. G. M. Thewissen
[Inuit and Marine Mammals]
Anne M. Jensen, Glenn W. Sheehan, and Stephen A. MacLean
(海洋哺乳類エンサイクロペディア、【イヌイットと海洋哺乳類】つづき)
猟に使われる飛び道具は基本的に19世紀後期に商業捕鯨で
使われていたものと同じである。
ダーツ銃とショルダーガンは南北戦争のすぐあと、ヤンキー捕鯨者
がもたらしたもので、イヌイットはこれを19世紀最後の10年間に
取り入れた(Brewer, 1942; Bockstoce,1986) 。
銛(harpoon)は1.5−2mの長さの木製シャフトの先に着脱式の
鋼鉄製ハプーンが装着されるという形になっている。このハプーンの
先端は真鍮のトグルになっていて55mの強いナイロンロープで
浮きに繋がっている。
ハプーンには棒ピストン起動の発砲部が取り付けられており、
ハプーンが命中すると同時に8ゲージの真鍮爆裂弾を発射する。
第二のダーツ銃はハプーン銃に似ているが、トグルヘッドのハプーン
にはなっておらず、二番目の爆裂弾を撃ち込むのに使われる。
重い真鍮製のショルダーガンはダーツ銃では狙えないほど
遠方のクジラに爆裂弾を発射するのにも使われる。
真鍮装甲の弾頭にはペンスリット(penthrite)が入っているが、
これは1998年に黒色火薬から切り替えたものである。
ペンスリット弾は突然の衝撃を起こし、裂傷や鯨体のダメージに
よる死ではなく、ショック死をもたらす。これにより、命中したが
失ったというクジラの数が削減できた。
他の道具としては、長い木製の柄に付けられた皮脂を剥ぐ手製の刃物
(ノコギリを改作したものもある)、クジラを氷原へ引き揚げる
付加重量の大きなブロック滑車、、ウミアックから命中させた
あとでクジラを追跡し、持ち帰るアルミニウムかファイバーグラスの
ボート、キャンプと村の間で道具を運搬し、肉とマクタク(皮脂)
を運ぶスノーモビルなどがある。
捕鯨の準備はクジラが到着するかなり前からはじまる。
クジラ組の男性メンバーは飛び道具を研き、肉を保存する氷室を
掃除し、ソリや他氷上のキャンプに必要な用具を作る。
キャプテンやメンバーの妻たちはウミアックの皮を縫う。
皮が乾くとウミアックはソリにくくられ、海氷の水路が開くのを
待つ。
最初のホッキョククジラが到着する少し前にキャプテンは
キャンプの場所を決める。
選んだ場所へ向かう「道」が氷上につくられる。「道」は
一本であることも、数本であることもある。
海氷の圧力で出来た稜線の迷路を通り抜けるルートがならされて
道になる。道がスムーズであれば、猟が成功した時の肉と
皮脂の運搬が容易になり、氷の状態が悪化した場合の逃げ道
が好都合となる。彩色かシンボルで目印をつけた杭が道沿いに
うたれることが多い。
キャンプはクジラが通過し、海面に姿を現すと想定された「湾」
に面した氷縁に設置される場合が多い。さもなければ接近する
クジラを見はらすことのできる地点である。
イヌイットは、クジラが自らを犠牲に供するに値すると認めた
ハンターに対して進んで自らを与えると信じてきたし、今でも
そう信じている人が多い。
伝統的に多くのタブーが捕鯨キャンプでの行動を律してきた。
猟を成功させるにはこのタブーを厳格に守ることが必要なのである。
キャンプではテント、寝具、調理が禁止されてきた。
ほとんどのタブーは緩められるか廃止されたが、しかし
キャンプでの行動はいまだに伝統に支配されている。
メンバーが短いシフトで寝るためと、調理のために、キャンプでは
テントが一つだけ認められる。近づいてくるクジラから見えない
ように、テントは氷縁から離れたところで、ボートの右側に
張られる。
ウミアックは準備を整えて水縁で待ち、氷縁には滑らかなランプが
削られて静かに進水できるようにしてある。
ハプーンとダーツ銃はウミアックの舳先に置かれ、ハプーンに
繋いだロープもきれいにコイル状に巻かれて舳先に置かれる。
飛び道具、ロープ、浮きは常にボートの右側に置かれ、
射撃もボート右舷から行われる。ロープに絡まることを避ける
ためである。
少なくとも一名のクルーメンバーが見張りに立ち、水路を
近づいてくるクジラの兆候をスキャンしている。
(つづく)
By W. F. Perrin, Bernd Würsig, J. G. M. Thewissen
[Inuit and Marine Mammals]
Anne M. Jensen, Glenn W. Sheehan, and Stephen A. MacLean
(海洋哺乳類エンサイクロペディア、【イヌイットと海洋哺乳類】つづき)
猟に使われる飛び道具は基本的に19世紀後期に商業捕鯨で
使われていたものと同じである。
ダーツ銃とショルダーガンは南北戦争のすぐあと、ヤンキー捕鯨者
がもたらしたもので、イヌイットはこれを19世紀最後の10年間に
取り入れた(Brewer, 1942; Bockstoce,1986) 。
銛(harpoon)は1.5−2mの長さの木製シャフトの先に着脱式の
鋼鉄製ハプーンが装着されるという形になっている。このハプーンの
先端は真鍮のトグルになっていて55mの強いナイロンロープで
浮きに繋がっている。
ハプーンには棒ピストン起動の発砲部が取り付けられており、
ハプーンが命中すると同時に8ゲージの真鍮爆裂弾を発射する。
第二のダーツ銃はハプーン銃に似ているが、トグルヘッドのハプーン
にはなっておらず、二番目の爆裂弾を撃ち込むのに使われる。
重い真鍮製のショルダーガンはダーツ銃では狙えないほど
遠方のクジラに爆裂弾を発射するのにも使われる。
真鍮装甲の弾頭にはペンスリット(penthrite)が入っているが、
これは1998年に黒色火薬から切り替えたものである。
ペンスリット弾は突然の衝撃を起こし、裂傷や鯨体のダメージに
よる死ではなく、ショック死をもたらす。これにより、命中したが
失ったというクジラの数が削減できた。
他の道具としては、長い木製の柄に付けられた皮脂を剥ぐ手製の刃物
(ノコギリを改作したものもある)、クジラを氷原へ引き揚げる
付加重量の大きなブロック滑車、、ウミアックから命中させた
あとでクジラを追跡し、持ち帰るアルミニウムかファイバーグラスの
ボート、キャンプと村の間で道具を運搬し、肉とマクタク(皮脂)
を運ぶスノーモビルなどがある。
捕鯨の準備はクジラが到着するかなり前からはじまる。
クジラ組の男性メンバーは飛び道具を研き、肉を保存する氷室を
掃除し、ソリや他氷上のキャンプに必要な用具を作る。
キャプテンやメンバーの妻たちはウミアックの皮を縫う。
皮が乾くとウミアックはソリにくくられ、海氷の水路が開くのを
待つ。
最初のホッキョククジラが到着する少し前にキャプテンは
キャンプの場所を決める。
選んだ場所へ向かう「道」が氷上につくられる。「道」は
一本であることも、数本であることもある。
海氷の圧力で出来た稜線の迷路を通り抜けるルートがならされて
道になる。道がスムーズであれば、猟が成功した時の肉と
皮脂の運搬が容易になり、氷の状態が悪化した場合の逃げ道
が好都合となる。彩色かシンボルで目印をつけた杭が道沿いに
うたれることが多い。
キャンプはクジラが通過し、海面に姿を現すと想定された「湾」
に面した氷縁に設置される場合が多い。さもなければ接近する
クジラを見はらすことのできる地点である。
イヌイットは、クジラが自らを犠牲に供するに値すると認めた
ハンターに対して進んで自らを与えると信じてきたし、今でも
そう信じている人が多い。
伝統的に多くのタブーが捕鯨キャンプでの行動を律してきた。
猟を成功させるにはこのタブーを厳格に守ることが必要なのである。
キャンプではテント、寝具、調理が禁止されてきた。
ほとんどのタブーは緩められるか廃止されたが、しかし
キャンプでの行動はいまだに伝統に支配されている。
メンバーが短いシフトで寝るためと、調理のために、キャンプでは
テントが一つだけ認められる。近づいてくるクジラから見えない
ように、テントは氷縁から離れたところで、ボートの右側に
張られる。
ウミアックは準備を整えて水縁で待ち、氷縁には滑らかなランプが
削られて静かに進水できるようにしてある。
ハプーンとダーツ銃はウミアックの舳先に置かれ、ハプーンに
繋いだロープもきれいにコイル状に巻かれて舳先に置かれる。
飛び道具、ロープ、浮きは常にボートの右側に置かれ、
射撃もボート右舷から行われる。ロープに絡まることを避ける
ためである。
少なくとも一名のクルーメンバーが見張りに立ち、水路を
近づいてくるクジラの兆候をスキャンしている。
(つづく)
これは メッセージ 43757 (aplzsia さん)への返信です.
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