勉強になる話
投稿者: ts657738 投稿日時: 2003/12/03 21:31 投稿番号: [2169 / 62227]
いい論文見つけてしまった。少ない字数の中でぎゅっとエッセンスを凝縮。こういう思想を私は大好き。いいなあ、PDF読んでみてください。以下、抜粋。
国連海洋法条約と地球サミット後の捕鯨管理
http://cod.ori.u-tokyo.ac.jp/~matsuda/2003/030717.pdf
今のところ、不確実性に対処する最大の処方箋は、継続調査である。保全生態学では、「為すことによって学ぶ(learning by doing)」という標語があるが、わからないから何もしないのではなく、管理を実行し、生態系を継続調査し、その結果を見て政策を変え、認識を改める態度が必要である。これを、一定の方策(漁獲圧または漁獲量)を採り続ける管理方式に対して、順応的管理( adaptivemanagement)という。図3 の決定ルールは、健全な漁業に厳しく、持続可能でない漁業に甘いという問題をはらんでいる。
IWC 科学委員会で1994 年に合意した改定管理方式(RMP)は、図4 のように表せる。この図3と図4との違いに注目してほしい。図3 では健全な漁業の漁獲圧を一定と置いているが、図4 では資源が多いほどたくさんとってもよいことになっている。MSY 水準からわずかに下がっただけで前面禁漁にするという管理方式には同意できないが、これでようやくIWC の科学委員会では、持続的利用ができると合意した。これは、どの国の漁業管理ルールよりも厳しいものだろう。それにもかかわらず、IWC 総会では、商業捕鯨の再開(モラトリアム解除)を合意していない。
また、資源量や再生産関係など、さまざまな推定値に不確実性を考慮し、管理が失敗する確率(リスク)を見積もる。これをリスク評価という。そして、リスクを一定の基準以下に抑えるように管理計画を作る。そのためには、図3のように健全な漁業の漁獲圧を制限するよりも、減った場合に禁漁を含む厳しい措置をとるほうがはるかに有効である。たとえば、絶滅危惧種の保全措置のひとつの目安は、100 年後までの絶滅リスクが5%以下になるような個体数(最小存続個体数、MVP)を確保することとされている。
世界の生物多様性を守り、再生可能な自然資源を持続的に利用し、環境汚染と浪費的な消費の削減を進めることは、環境保護団体の使命であり、生物多様性保全条約の趣旨でもある。図4 に示されるように、他に類を見ないほど十分に低いリスクの元で持続的利用が可能な捕鯨に反対することは、むしろ生物資源管理の成功例を奪うことである。
いずれにしても、自然資源の持続的利用と生物多様性保全、環境汚染の防止は、現代人類に課せられた緊急かつ重要な課題である。これらの問題をバランスよく解決する道を、考えていきたい。そのためには、科学的に実証されていないリスクをどう捉えるか、先進国と途上国の対立をどう解決するか、予防原則をどう科学的に定義するか、順応的管理の理論と実績をいかに発展させていくかが問われている。捕鯨問題は、その矛盾の集約であり、この問題の解決が、合理的で人間的な自然観の確立に資するものと期待している。
国連海洋法条約と地球サミット後の捕鯨管理
http://cod.ori.u-tokyo.ac.jp/~matsuda/2003/030717.pdf
今のところ、不確実性に対処する最大の処方箋は、継続調査である。保全生態学では、「為すことによって学ぶ(learning by doing)」という標語があるが、わからないから何もしないのではなく、管理を実行し、生態系を継続調査し、その結果を見て政策を変え、認識を改める態度が必要である。これを、一定の方策(漁獲圧または漁獲量)を採り続ける管理方式に対して、順応的管理( adaptivemanagement)という。図3 の決定ルールは、健全な漁業に厳しく、持続可能でない漁業に甘いという問題をはらんでいる。
IWC 科学委員会で1994 年に合意した改定管理方式(RMP)は、図4 のように表せる。この図3と図4との違いに注目してほしい。図3 では健全な漁業の漁獲圧を一定と置いているが、図4 では資源が多いほどたくさんとってもよいことになっている。MSY 水準からわずかに下がっただけで前面禁漁にするという管理方式には同意できないが、これでようやくIWC の科学委員会では、持続的利用ができると合意した。これは、どの国の漁業管理ルールよりも厳しいものだろう。それにもかかわらず、IWC 総会では、商業捕鯨の再開(モラトリアム解除)を合意していない。
また、資源量や再生産関係など、さまざまな推定値に不確実性を考慮し、管理が失敗する確率(リスク)を見積もる。これをリスク評価という。そして、リスクを一定の基準以下に抑えるように管理計画を作る。そのためには、図3のように健全な漁業の漁獲圧を制限するよりも、減った場合に禁漁を含む厳しい措置をとるほうがはるかに有効である。たとえば、絶滅危惧種の保全措置のひとつの目安は、100 年後までの絶滅リスクが5%以下になるような個体数(最小存続個体数、MVP)を確保することとされている。
世界の生物多様性を守り、再生可能な自然資源を持続的に利用し、環境汚染と浪費的な消費の削減を進めることは、環境保護団体の使命であり、生物多様性保全条約の趣旨でもある。図4 に示されるように、他に類を見ないほど十分に低いリスクの元で持続的利用が可能な捕鯨に反対することは、むしろ生物資源管理の成功例を奪うことである。
いずれにしても、自然資源の持続的利用と生物多様性保全、環境汚染の防止は、現代人類に課せられた緊急かつ重要な課題である。これらの問題をバランスよく解決する道を、考えていきたい。そのためには、科学的に実証されていないリスクをどう捉えるか、先進国と途上国の対立をどう解決するか、予防原則をどう科学的に定義するか、順応的管理の理論と実績をいかに発展させていくかが問われている。捕鯨問題は、その矛盾の集約であり、この問題の解決が、合理的で人間的な自然観の確立に資するものと期待している。
これは メッセージ 2167 (ts657738 さん)への返信です.
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