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ヘリ空と軽空母の違い(戦術的考察)2

投稿者: inakamonodemisawa 投稿日時: 2003/08/31 22:51 投稿番号: [84620 / 232612]
  大型空母は飛行甲板に埋め込んだ蒸気カタパルトで艦載機を加速して発進させるが、英国で開発された戦闘・攻撃機、「ハリヤー」とその海軍型の「シーハリヤー」はジェットの噴気ノズル四個の角度を変え、短い滑走で離陸し、垂直に着陸するからカタパルトのない小型の空母から運用可能だ。

  八二年のフォークランド紛争では、インビンシブルなど二隻の英空母の「シーハリヤー」と英空軍の「ハリヤー」計二十九機がアルゼンチンの二十二機を撃墜し損害ゼロの活躍をした。だが、二〇、〇〇〇トン級の空母では大型レーダーを付けたE2Cなど早期警戒機を運用できず、水平線に隠れて超低空で接近するアルゼンチン機に多数の英艦船が沈められた。

  またハリヤーの最大速力はマッハ〇・九にすぎず、当時は射程十八キロの赤外線追尾の空対空ミサイル(AIM9L)しか積めなかったから船団、艦隊の防空をするにも限界があった。

  だが今日の「ハリヤープラス」は射程七十キロ余、内蔵レーダー追尾の空対空ミサイル(AIM120)四発を積み、遠距離で交戦するから速度の差は問題ではなくなった。米国で海兵隊用に開発中の垂直離着陸戦闘・攻撃機JSFは軽空母から運用可能だが、速力マッハ一・六、兵装六・八トンを搭載し、普通のジェット戦闘機と大差ない能力を持つことになる。

  また、米軍で間もなく部隊配備になる垂直離着陸輸送機V22は、両翼端のターボプロップエンジンを上に向けてヘリコプターのように離着陸し、上空では前に向け固定翼機のように飛行する。輸送兵員二十四人で軽空母用の空中早期警戒機に改装可能だ。これらの技術進歩で、軽空母は能力的には十分意味のあるものとなってきた。

     ■     □

  だが、ロシアの爆撃機が太平洋上空に進出することもほぼなくなった今日、軽空母を艦隊、船団の防空に必要とする状況は当面想定しにくい。外国の戦乱などの際の邦人輸送を海上自衛隊は「大型護衛艦」の主任務の一つにあげるが、相手国の了解を得てその国の飛行場や領海、領空に入って邦人を助け出すのが前提だから、必要とあれば艦載戦闘機で上空から援護しつつ救出する、というシナリオは公言できない。将来国際情勢はどうなるか分からないから、一応各種の装備を持っていた方がいい、としか防衛庁、海上自衛隊も言いようがないのだ。

  空母を持つ国は米国(十二隻)、英国(三隻)のほかは、ロシア、フランス、イタリア、スペイン、インド、タイなどが各一隻ずつだ。小型空母が一、二隻では軍事的な価値は疑問で、国家的虚栄心の発揮、との皮肉な見方もできる。日本が軽空母を造っても、米海軍の助手ではない、という心理的アイデンティティーの象徴以上の効果はまずありそうにない。
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