小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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小泉首相の統治戦略③

投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/08/27 13:50 投稿番号: [213213 / 232612]
  3.強力な指導者が民主主義を守る

  2001年春の小泉政権誕生は、こうした政治の「失われた10年」に対する一般有権者の苛立ちを反映した。日本の戦後政治史でも特筆すべき出来事であった。確かに、この時の自民党総裁選挙の過程で小泉フィーバーが急速に広がっていった光景を見ると、いわゆるポピュリズム現象を背景に小泉首相が強力なリーダーシップを発揮したからといって、それを直ちにファシズムや独裁性の前兆と捉えるのは、あまりにも短絡的で後ろ向きに過ぎる議論だろう。

  自民党の国会議員の間では、今日でもなお「政局にする、しない」といった類の言葉が、ことあるごとに安易に口にされる。ここで言う「政局にする」とは、具体的には「現内閣を退陣に追い込んで、新内閣を樹立する」ことを意味するが、このような言葉が簡単に飛び交うところに、日本の政界における「指導者民主主義」への理解の欠如が端的に現れている。どうやら、最高指導者の地位が弱ければ弱いほど、民主主義の理念に適っているという誤解が、日本ではまだ根強く残っているように思われる。

  なぜ、ドイツはヒトラーの権力掌握を許し、第3帝国の独裁体制を経験しなければならなかったのか。政治体制についていえば、ヒトラーの政権獲得に先立つワイマル共和国時代のドイツでは、短命な連立政権が次々と交代を重ねるという不安定な政治状況が続いていた。ドイツ人の多くは、こうした政治的不安定状況に倦んだ末に、ヒトラー独裁の支持あるいは容認へと傾いていったのである。そこで、第二次世界大戦後の西ドイツでは、この過去の苦い経験に対する反省から、基本法の中に「建設的不信任決議案」の規定を設けてまで、最高指導者である首相の地位の強化を図ったのだった。

  民主主義を持続させるためには、独裁に堕する危険性を留意しながらも、あえて指導者に強力な地位と権限を与える必要がある。ドイツを含めた欧米民主主義国家では理解されているこの逆説が、日本では用意に受け入れられてこなかった。そこに、小泉政権成立までの日本政治が混迷を続け、冷戦終結とグローバル化の進展に対しても適切に対応できなかった理由があったといえよう。

  2001年春、大胆な組閣人事のもとに政権を発足させた小泉首相は、「構造改革」の名のもとに、いわゆるトップ・ダウン方式の政権運営を図った。そして、その在任期間もすでに4年を越え、歴代首相の中でも池田首相と肩を並べるにいたっている。

  この政権が成立した当初、政治のプロを自認する人々の間には、小泉政権に対する世論の高支持率も、所詮は一過性のポピュリズム現象に過ぎず、支持率の低下と政権の行き詰まりは、この内閣の場合も時間の問題と見なす人が多かった。だが、こうした予想は裏切られ、小泉政権の支持率は従来の短期政権とは異なる新しい展開を示し、この政権の寿命も意外に長いものになっている。

  世論調査における各内閣支持率のチャートを比べてみると(「知恵蔵・2005年」参照)、1987年の竹下内閣の誕生以後、自民党首班の政権の多くは、出発当初から支持率を急速に下げ、20%から40%の間で低迷を続けたのち、およそ2年ぐらいで退陣に追い込まれている。これに対して、過去4年間の小泉政権の出発時点で異常な高さを示した後、全体としては下降傾向をたどっているが、幾度か大幅な反発を見せ、発足から4年を経た2005年4月の世論調査(NHK)でも、45%に踏みとどまっている。

  こういう事情を見る限り、小泉政権の4年間のうちに、日本の政治もようやく「指導者民主主義」の軌道に乗りはじめたと思えなくもない。しかし、小泉政権が2005年春まで生き延びてきた内実を少しでも覗いてみれば、日本の民主主義の将来は決して楽観できないことがわかる。最近の郵政民営化をめぐる自民党内の抗争をみても、相変わらず自民党議員の間から「政局にする、しない」の発言が聞かれ、いまだに「強い政治指導者」の必要性への理解がいっこうに深まっていないことを知らされるのである。

  このような状況のもとで、小泉が比較的長期にわたって政権を維持し、首相として強力なリーダーシップを発揮できたのは、彼が編み出した独自の統治戦略に負うところが大きい。実際、小泉が編み出した統治戦略は、派閥原理に依拠してきた歴代の自民党首相の誰もが思いつかなかったような、独創的で奇抜なものであった。
(続く)
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