Re: 日本兵捕虜は何をしゃべったか
投稿者: shoujouji 投稿日時: 2010/11/28 21:12 投稿番号: [34315 / 41162]
http://read.jugem.jp/?eid=37
久々に良質な書を読んだ。『日本兵捕虜は何をしゃべったか』とは帝国主義時代の日本における最前線兵士の内情を分析しようとする者にとって非常に気にかかるタイトルだ。第2次世界大戦に関わる出来事というのはその後の各国のイデオロギーやナショナリズムによってぼやけたり歪んだりして見えやすいが、本書のようなアプローチで追求された「大日本帝国兵士の最前線の姿」は非常に興味深く、またその内容も新鮮かつ鮮烈である。現在では英霊合祀とか靖国参拝問題などで安直な感情論に流されがちな論評も見られるが、そうした認識にも一石を投じることになり得る書である。大戦中の大日本帝国兵士の本当の姿を当時捕虜になった兵士自らが心情を吐露した記録が現存していることに率直に驚いた。それは論評などではなく、「現場の声」そのものである。その記録が現代に生きる我々の参考にすべき内容のものであることは十分に肯定されてしかるべきであろう。
・捕虜について
まず「捕虜」という考え方だが、実は当時日本は捕虜という考え方を認めておらず、公式捕虜数は把握されていない。何しろ捕虜になるくらいなら「自殺しろ」か「玉砕しろ」の世界である。もしおめおめと捕虜になった後に生きて日本に戻ろうものなら、間違いなく死刑(銃殺か強制的自害)が待っていたのである。まして捕虜を出した家族は非国民・不名誉のレッテルを貼られ死以上の苦しみを味わう可能性もあるから、実際に戦地で捕虜になっても日本に帰ろうという考え方を持った兵士はいなかった。それにしても極端に戦況が悪くなって補給が本土から全く途絶えても投降することが許されないという日本兵の生き地獄度合いはいかばかりであったろうか。日本兵として戦っても戦況は著しく劣悪な生き地獄、捕虜にもなれない地獄、原住民を不当に使役し恨まれる地獄、戦争とは一体何を生み出そうとするのか。
ちなみに、国際赤十字が把握している日本兵捕虜数は20万8千人で大戦に関わった国としては著しく少ない数である。それは投降を禁じられていたからであろう。命を棄てざるを得なかった兵士達に同情の念を禁じえない。今になって戦地に散った英霊に感謝すべきなどと言っているが、当時は大日本帝国国家が兵士を見殺しにするシステムを作っていた。どうやっても生きてはいられない仕組みである。どれほど前線の兵士が我が国のありように憤慨したか。それが今になって手の平を返したように国家として「感謝すべき」という論調には強い違和感が残る。ともあれ、個性否定の時代に彼らは劣悪な条件の戦争最前線で何を思い感じていたのだろうか。
これは メッセージ 34310 (shoujouji さん)への返信です.
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