ゆきゆきて神軍だっけ
投稿者: arisugawahiro_0 投稿日時: 2003/03/02 00:30 投稿番号: [153201 / 177456]
http://go.jp.msn.com/journal.asp?g=52024609&t=journal.msn.co.jp/articles/nartist2.asp%3Fw=253376
圧巻のクライマックスは、全米ライフル協会(NRA)会長のチャールトン・ヘストンへのインタビュー。
「銃の所持は憲法で保証された権利」とお決まりのセリフを並べていたヘストンは、最後に「アメリカの恥部大賞」を差し上げたいような言葉を口にする。
銃よりも、あなたのほうが危険だ。
出てくるのはため息ばかり。
そして、背筋がゾッとする。
笑いながら、涙がにじみながら、ムカつきながらのあっという間の2時間。
もっともっと見ていたいと思った。
ただ、小学校で6歳の男の子が6歳の女の子を銃で撃ち殺した事件は、ムーアの故郷の町で起こったため、思い入れが強くなりすぎた感がある。
ムーアはコロンバイン高校の犯人の個人的背景には踏み込まない。
あくまでも銃の問題を軸に、ぐいぐい進んでいく。
ところが、故郷の事件のくだりでは、犯人の子の母親がおかれた境遇の解説に入り込んでしまい、作品的にバランスが崩れた。散漫な印象を残したこの部分がちょっと残念だ。
日本人なら、ムーアの考えに100%、同調するだろう。
私たちからみれば、何かというと銃がぶっ放されるアメリカという国は、やっぱりオカしい。
でも、ムーアは、万人が認める、あるいは認めざるをえない「正義」を振りかざして、「悪」に闘いをしかけているわけではないのだ。
親が自宅に無造作に置いた銃で何人もの子供が事故死しようと、鬱屈した若者がキレて学校で銃を撃ちまくる事件が何度も繰り返されようとも、アメリカは銃規制に真剣に乗り出そうとしない。
ムーアが立ち向かうのは、自衛権になにより価値をおき、「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」と言い張る多数派なのだ。
ヘストンのアジ演説に喝采する大群衆、アメリカ各地で射撃訓練にはげむホワイトカラーを含む民兵組織。
外国人には圧倒的に支持されても、ムーアは国内では単なる有名なゲリラにすぎないのだろうか。
おじさんゲリラに、なんとかガンバってもらいたいものだ。
なにしろ、アメリカは今や、世界最強の国。
それもイケイケの、だ。アメリカとつきあっていかなければならない日本に住む私たちとしては、バカな国だと笑ってはいられないのだから。
ときには凛々しく響く「自分の身は自分で守る」という言葉の裏にある、「先にやらなければ、やられる」という恐怖。
アメリカでは犯罪率が減少しているのに、センセーショナルな事件の報道のおかげもあって、銃の売り上げは増加する一方だという。
ブッシュ大統領も一般教書演説で、「サダーム・フセイン・イズ・デインージャラス」とあおっていた(その直後、イラク攻撃の支持率が10ポイントもアップ)。
アメリカという国の1つの読み解き方を教えてくれる『ボウリング・フォー・コロンバイン』を、ぜひ見てほしい。
でも、単館ロードショーなので、とっても混んでいる。
時間の余裕をもってお出かけあれ。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」公式サイト
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kobayashi@newsjpmsn.com
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プロフィール
小林 千枝子 (こばやし ちえこ) フリーライター、翻訳者。翻訳書に『星に憑かれた男』『最初に父が殺された』など。趣味の1つが香港映画で、毎月1回、大学の先生や映画人を招いての「香港映画攻略セミナー」を主宰している。
著者へのメールは こちらまで
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圧巻のクライマックスは、全米ライフル協会(NRA)会長のチャールトン・ヘストンへのインタビュー。
「銃の所持は憲法で保証された権利」とお決まりのセリフを並べていたヘストンは、最後に「アメリカの恥部大賞」を差し上げたいような言葉を口にする。
銃よりも、あなたのほうが危険だ。
出てくるのはため息ばかり。
そして、背筋がゾッとする。
笑いながら、涙がにじみながら、ムカつきながらのあっという間の2時間。
もっともっと見ていたいと思った。
ただ、小学校で6歳の男の子が6歳の女の子を銃で撃ち殺した事件は、ムーアの故郷の町で起こったため、思い入れが強くなりすぎた感がある。
ムーアはコロンバイン高校の犯人の個人的背景には踏み込まない。
あくまでも銃の問題を軸に、ぐいぐい進んでいく。
ところが、故郷の事件のくだりでは、犯人の子の母親がおかれた境遇の解説に入り込んでしまい、作品的にバランスが崩れた。散漫な印象を残したこの部分がちょっと残念だ。
日本人なら、ムーアの考えに100%、同調するだろう。
私たちからみれば、何かというと銃がぶっ放されるアメリカという国は、やっぱりオカしい。
でも、ムーアは、万人が認める、あるいは認めざるをえない「正義」を振りかざして、「悪」に闘いをしかけているわけではないのだ。
親が自宅に無造作に置いた銃で何人もの子供が事故死しようと、鬱屈した若者がキレて学校で銃を撃ちまくる事件が何度も繰り返されようとも、アメリカは銃規制に真剣に乗り出そうとしない。
ムーアが立ち向かうのは、自衛権になにより価値をおき、「銃が人を殺すのではなく、人が人を殺すのだ」と言い張る多数派なのだ。
ヘストンのアジ演説に喝采する大群衆、アメリカ各地で射撃訓練にはげむホワイトカラーを含む民兵組織。
外国人には圧倒的に支持されても、ムーアは国内では単なる有名なゲリラにすぎないのだろうか。
おじさんゲリラに、なんとかガンバってもらいたいものだ。
なにしろ、アメリカは今や、世界最強の国。
それもイケイケの、だ。アメリカとつきあっていかなければならない日本に住む私たちとしては、バカな国だと笑ってはいられないのだから。
ときには凛々しく響く「自分の身は自分で守る」という言葉の裏にある、「先にやらなければ、やられる」という恐怖。
アメリカでは犯罪率が減少しているのに、センセーショナルな事件の報道のおかげもあって、銃の売り上げは増加する一方だという。
ブッシュ大統領も一般教書演説で、「サダーム・フセイン・イズ・デインージャラス」とあおっていた(その直後、イラク攻撃の支持率が10ポイントもアップ)。
アメリカという国の1つの読み解き方を教えてくれる『ボウリング・フォー・コロンバイン』を、ぜひ見てほしい。
でも、単館ロードショーなので、とっても混んでいる。
時間の余裕をもってお出かけあれ。
「ボウリング・フォー・コロンバイン」公式サイト
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小林 千枝子 (こばやし ちえこ) フリーライター、翻訳者。翻訳書に『星に憑かれた男』『最初に父が殺された』など。趣味の1つが香港映画で、毎月1回、大学の先生や映画人を招いての「香港映画攻略セミナー」を主宰している。
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これは メッセージ 153195 (arisugawahiro_0 さん)への返信です.
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