ノーベル賞受賞者41人が反戦宣言
投稿者: arisugawahiro_0 投稿日時: 2003/02/11 11:37 投稿番号: [152229 / 177456]
[イラク問題] 2003 年 2月 11日
「国際的支持がないイラクへの先制攻撃に反対する」。ノーベル賞を受賞した米国人科学者ら41人が署名した反戦宣言が先月27日、米上下議会に届けられた。宣言の発案者であるカリフォルニア大サンタバーバラ校のウォルター・コーン教授(79)=98年化学賞受賞=に聞いた。【サンタバーバラで佐藤由紀】
――署名を集めたきっかけは。
◆私は米国の先制攻撃に強く反対してる。私は政治家ではない。友人たちは科学は政治から距離を置くべきだと言う。しかし、科学者として意見を言える問題については関わるべき場合もあると思った。私は第二次大戦の惨状を経験し、生涯を核物理学にかけた者として近代戦がいかに非人間的かを知っている。ナチス政権下のオーストリアで十代を過して学んだことは「声をあげるべきときに沈黙してはならない」ということだ。
――核兵器研究とはどう関わったのですか。
◆第二次世界大戦中の核兵器開発には加わっておらず広島、長崎への投下に衝撃を受けた一人だ。戦後、核物理学を研究し核兵器の影響を理解している。冷戦時代に、大学で核戦争を技術的側面から検討する講座を持った。
ーーどのように賛同者を集めたのですか。
◆10人ほどの友人に接触して手ごたえがあった。ある人は「国連が武力行使を容認するなら、戦争に賛成という意味にとられる」と議論する人もいた。しかし、私はどんな場合も戦争すべきでないとは考えていない。武力行使のほかには選択肢がない場合もあるからだ。その後、ノーベル化学賞と経済学賞、平和賞を受賞した米国人約130人全員に送った。米国人に絞ったのは、米国の政策になんらかの影響力をもってほしいと願ったからだ。
――キッシンジャー元米国務長官にも手紙を書いたそうですね。
◆戦争に代わって何をすべきかという提案について長い手紙を送った。ブリクス国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)委員長の報告を注意深く調べてみて、フセイン政権下のイラクは周辺国や世界への脅威だと私は思う。一方、クエートの人々は駐留米軍の撤退に不安を感じている。私の提案は、20万人規模の米軍を国連平和維持軍としてイラク国境の近くに置くことだ。地域の安定化とイラクからの攻撃の抑止力になる。
――米国が超大国になり、同時多発テロ事件が起こりました。米社会はどう変化しましたか。
◆ソ連が消滅し、米国が唯一の軍事超大国になったことで、嘆かわしいほどの傲慢さが生まれた。そして9・11は、核兵器や強大な軍事力を持っていてもテロには無力だという、逆のことを教えた。超大国でありながら安全ではないという複雑な心理が社会の底辺にある。
――米国防省では、ひそかに対イラク戦で戦術核を使う計画を立てていると報道されました。
◆戦術核よりも私がもっと懸念しているのは、核兵器に対する米国のイデオロギーが変化していることだ。これまで、米国の防衛計画は核兵器を除外した通常兵器によって構成され、例外的な兵器として核兵器を位置付けてきた。ところがいまは、核兵器を通常の兵器のひとつとみなす考え方が主流になりつつある。核兵器に対するタブーは、ここ1、2年の間に急速に弱まっている。非常に危険な変化だと思う。
◇原爆開発者らも署名
米国人のノーベル賞受賞者43人が署名した反戦宣言の賛同者には、原爆開発に加わったハンス・ベース氏やノーマン・ラムゼイ氏、筑波大の白川英樹名誉教授と2000年の化学賞を共同受賞したカリフォルニア大のアラン・ヒーガー教授なども含まれている。宣言文の要旨は次ぎの通り。
「以下に署名した者は、広範な国際的支持なきイラクへの先制攻撃に反対する。イラクへの武力行使は短期間で迅速な勝利をもたらすかもしれない。しかし、この戦争は奇襲であり、人的被害や予想しなかった結果をもたらす。たとえ戦争に勝ったとしても、米国による先制攻撃がもたらす医学、経済、環境、モラル、精神、政治、法律にかかわる結果は、米国の治安や世界における米国の地位を守れないばかりか、損なうことになると我々は信じる」
◇ウォルター・コーン氏
Walter・Kohn 1923年、ウィーン生まれ。ユダヤ人の両親は強制収容所で死亡。39年8月、難民として英国に渡り、その後、カナダの養父母に引き取られた。戦後はトロント大、ハーバード大などで学ぶ。98年、量子化学に新しい計算法を導入した功績によってノーベル化学賞を受賞。現在、カリフォルニア大サンタバーバラ校物理学部教授。
[毎日新聞2月11日] ( 2003-02-11-04:41 )
「国際的支持がないイラクへの先制攻撃に反対する」。ノーベル賞を受賞した米国人科学者ら41人が署名した反戦宣言が先月27日、米上下議会に届けられた。宣言の発案者であるカリフォルニア大サンタバーバラ校のウォルター・コーン教授(79)=98年化学賞受賞=に聞いた。【サンタバーバラで佐藤由紀】
――署名を集めたきっかけは。
◆私は米国の先制攻撃に強く反対してる。私は政治家ではない。友人たちは科学は政治から距離を置くべきだと言う。しかし、科学者として意見を言える問題については関わるべき場合もあると思った。私は第二次大戦の惨状を経験し、生涯を核物理学にかけた者として近代戦がいかに非人間的かを知っている。ナチス政権下のオーストリアで十代を過して学んだことは「声をあげるべきときに沈黙してはならない」ということだ。
――核兵器研究とはどう関わったのですか。
◆第二次世界大戦中の核兵器開発には加わっておらず広島、長崎への投下に衝撃を受けた一人だ。戦後、核物理学を研究し核兵器の影響を理解している。冷戦時代に、大学で核戦争を技術的側面から検討する講座を持った。
ーーどのように賛同者を集めたのですか。
◆10人ほどの友人に接触して手ごたえがあった。ある人は「国連が武力行使を容認するなら、戦争に賛成という意味にとられる」と議論する人もいた。しかし、私はどんな場合も戦争すべきでないとは考えていない。武力行使のほかには選択肢がない場合もあるからだ。その後、ノーベル化学賞と経済学賞、平和賞を受賞した米国人約130人全員に送った。米国人に絞ったのは、米国の政策になんらかの影響力をもってほしいと願ったからだ。
――キッシンジャー元米国務長官にも手紙を書いたそうですね。
◆戦争に代わって何をすべきかという提案について長い手紙を送った。ブリクス国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)委員長の報告を注意深く調べてみて、フセイン政権下のイラクは周辺国や世界への脅威だと私は思う。一方、クエートの人々は駐留米軍の撤退に不安を感じている。私の提案は、20万人規模の米軍を国連平和維持軍としてイラク国境の近くに置くことだ。地域の安定化とイラクからの攻撃の抑止力になる。
――米国が超大国になり、同時多発テロ事件が起こりました。米社会はどう変化しましたか。
◆ソ連が消滅し、米国が唯一の軍事超大国になったことで、嘆かわしいほどの傲慢さが生まれた。そして9・11は、核兵器や強大な軍事力を持っていてもテロには無力だという、逆のことを教えた。超大国でありながら安全ではないという複雑な心理が社会の底辺にある。
――米国防省では、ひそかに対イラク戦で戦術核を使う計画を立てていると報道されました。
◆戦術核よりも私がもっと懸念しているのは、核兵器に対する米国のイデオロギーが変化していることだ。これまで、米国の防衛計画は核兵器を除外した通常兵器によって構成され、例外的な兵器として核兵器を位置付けてきた。ところがいまは、核兵器を通常の兵器のひとつとみなす考え方が主流になりつつある。核兵器に対するタブーは、ここ1、2年の間に急速に弱まっている。非常に危険な変化だと思う。
◇原爆開発者らも署名
米国人のノーベル賞受賞者43人が署名した反戦宣言の賛同者には、原爆開発に加わったハンス・ベース氏やノーマン・ラムゼイ氏、筑波大の白川英樹名誉教授と2000年の化学賞を共同受賞したカリフォルニア大のアラン・ヒーガー教授なども含まれている。宣言文の要旨は次ぎの通り。
「以下に署名した者は、広範な国際的支持なきイラクへの先制攻撃に反対する。イラクへの武力行使は短期間で迅速な勝利をもたらすかもしれない。しかし、この戦争は奇襲であり、人的被害や予想しなかった結果をもたらす。たとえ戦争に勝ったとしても、米国による先制攻撃がもたらす医学、経済、環境、モラル、精神、政治、法律にかかわる結果は、米国の治安や世界における米国の地位を守れないばかりか、損なうことになると我々は信じる」
◇ウォルター・コーン氏
Walter・Kohn 1923年、ウィーン生まれ。ユダヤ人の両親は強制収容所で死亡。39年8月、難民として英国に渡り、その後、カナダの養父母に引き取られた。戦後はトロント大、ハーバード大などで学ぶ。98年、量子化学に新しい計算法を導入した功績によってノーベル化学賞を受賞。現在、カリフォルニア大サンタバーバラ校物理学部教授。
[毎日新聞2月11日] ( 2003-02-11-04:41 )
これは メッセージ 1 (messages_admin さん)への返信です.
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