対米全面テロ

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『ポストモダン戦争』の行方

投稿者: kazuma0020 投稿日時: 2002/09/22 23:42 投稿番号: [147990 / 177456]
「『ポストモダン戦争』の行方」『グローバルヴィジョン』2002年1月号掲載

「近代性」への挑戦

  本連載において筆者が国際政治の「ポストモダニズム」を論じるのは初めてではなく、以前に「米国vsテロリスト」(1998年10月号)について同様の視点から議論したことがあった。そのときは、ケニアとタンザニアの米大使館をほぼ同時的に爆破するというテロリストたちの巧妙な攻撃―この事件の首謀者も、また、オサマ・ビンラディン氏と見られていた―に対し超大国・米国が応戦する非対称的な図式を「ポストモダニズム」として表現したわけだが、今回は、米国の本土で、より規模の大きな事件となってやってきたことになる。

  1998年のテロ事件に直面した当時のクリントン政権は、米国の個別的自衛権(国連憲章第51条)を根拠に、ビンラディン氏と彼の組織を保護しているアフガニスタンとスーダンに向けて巡航ミサイルで攻撃をした。そして、いま、米国がアフガニスタンで実施している軍事行動も、同じく個別的自衛権の発動と説明されている。だが、武力行使の正統性と効果が疑問視された前回と同様に、今回も、特に軍事作戦が長期化の傾向を見せ始めるなか、その根拠と実効性が懸念される状況が生じているように思われる。これもまた、米国が「ポストモダンの戦争」への対応に苦慮している側面を見出すことができる。

  では、ここで言う「戦争」の「ポストモダン(脱近代)性」とは、何か。

  この問いに答えるには、何が今日の国際政治が前提とする「モダニティ(近代性)」を構成し、それがいかなる挑戦を受けているのかを考える必要がある。

  目の前で悲惨な「戦争」がくりひろげられているのに、のんびりアカデミックな議論につきあってはいられない、とのご批判はもっともだろう。しかし、深刻だからこそ、正しい選択をとるためにわれわれは熟考しなければならない。

  そこで、「近代性」についてだが、筆者は、これを?国家を主要な主体とし、?法の支配を大前提とする国際関係と、とりあえず表現しておきたい。

  このように、国家が主要な主体となり、法の支配に基づく国際関係を分析するとき、これまで「リアリスト」の認識論と「リベラリスト」の認識論とで議論されることが一般的だった。

  前者の「リアリスト」の立場は、国際社会の「構造」の側面(言い換えると、国家間の「力の分布」状況)に着目し、現状の分析や政策提言をするものである。ここでは、例えば、勢力均衡の考え方による外交や安全保障が主たる関心事項になる。

  これに対し、後者の「リベラリスト」の認識は、国際社会における「制度」の側面(別言すれば、国家間の「利益の分布」に基づく取引のルールや法や規範の役割)に注目し、現状を理解しようとするものだ。そのため、軍事力などの力の均衡を無視するわけではないが、物理的な力以外にも、制度を媒介とした利益の均衡による外交や安全保障にも注目されることになる。

  20世紀の歴史を振り返るならば、多大な惨害を生み出した世界戦争の経験から国際連合という制度が構築されるが、剥き出しの軍事力を背景にした勢力均衡の政治(その最も顕著なものが、冷戦期の米ソ両陣営間における核兵器の「恐怖の均衡」であった)も確実に存在した。だが、その一方で、経済相互関係が深化していくと、陣営を横断する取引や非軍事的な共通の安全保障問題(エネルギーや環境などが代表的な例)も活発に取り上げられるようになる。

  冷戦の終結は、2つ(ないし、第三世界を加えるならば3つ)に大きく分断されていた世界をひとつに結びつける働きをし、その結果、「グローバリゼーション」とよばれるプロセスも急速に進展していくことになる。

  こうした流れのなか、「ポストモダン」とも言うべき動きが勢いをつけていく。そして、それは、確実に国家と人間の関係に変化をおよぼしていった。

  例えば、政府の統治機構が破綻してしまった国家(破綻国家)や強権的で国民を抑圧する国家においては、そのなかで苦悩する人々を国際社会が救済しようとする考え(「人間の安全保障」や「人道的介入」などの議論)がさかんに論じられるようになった。また、非国家の主体が新たな力をもち、国際社会で重要な役割を果たすようになったことも指摘できる。この非国家主体は、好ましい大義にもとづく行動であれば「市民社会」の活動となり、破壊的な目的で進められればテロリストの攻撃となる。

前半及び以下、下記HPへ

星野俊也   阪大大学院国際公共政策研究科助教授
http://www2.osipp.osaka-u.ac.jp/~hoshino/essay/2002-01.html

エッセイ
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