対米全面テロ

Yahoo! Japan 掲示板トピックビューアー

[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

暴力論ではないですが・・・(1)

投稿者: gegendenkrieg 投稿日時: 2001/11/01 02:47 投稿番号: [109871 / 177456]
ちょっと関連する部分があるかと思われるので、9月16日の『ガーディアン』に掲載されたE・サイードの文章を転載します。(以前、ゾンタクの文章を持ってきたのと同じ、『哲学クロニクル』からです。)

============

エドワード・サイード「西洋とイスラムの対立ではなく」

ニューヨークと、ある程度まではワシントンも襲ったこの壮大な恐怖は、新しい世界のはじまりを告知するものだった−−目に見えず、だれともわからない者が襲撃し、政治的なメッセージも告げずにテロルを行使し、無意味な破壊を行う新しい世界である。

傷を負ったこの都市に住む人々には、狼狽、恐怖、持続的な憤慨感、そしてショックが長い間続くことだろう。これほどの大虐殺が、これほど多くの人々に残酷に襲いかかったのだから、心からの悲哀と苦悩も長く続くに違いない。

ニューヨークのルディ・ジュリアーニ市長は、いつもはひと好きのしない、不快なほどに戦闘的な人物で、時代に逆行しているような印象を与えていたが、ニューヨークの市民には幸運なことに、事件の直後から第二次世界大戦におけるイギリスのチャーチルのような役割を果たすようになった。冷静で、感情的にならず、異例なほどの同情心を示しながら、市長はニューヨークの英雄的な警察、消防署、緊急サービスを率いて、賞賛すべき効果をあげた(残念なことに、多くのスタッフの命を失うことにもなったのだが)。

パニックに陥らないように、そしてニューヨークの大規模なアラブとムスリムのコミュニティに、排外主義的な攻撃をかけることのないようにと、警告の声をあげたのはジュリアーニ市長が最初だった。苦悩する良識的な心を表明した最初の人物であり、破壊的な攻撃の後にも、日常の暮らしを再開するようにすべての人々に訴えたのも、市長が最初だった。

それで片付けばよかったのだが、全国テレビの報道番組は、翼をもったこの忌まわしい恐怖の怪物を、絶え間なく、しつこいほどに茶の間にもちこんでいる−−しかもいつも啓発的というわけではないのだ。ほとんどのコメンテーターは、大部分のアメリカ人が感じているはずに違いないこと、すなわち恐ろしいほどの喪失感、怒り、憤懣、弱みを傷つけられたという感情、復讐したいという欲望、抑えようのない懲罰の願いを強調するだけでなく、実際には増幅しているのである。

どの政治家も、御墨付きをもらった権威筋や専門家たちは、たんに悲嘆と愛国心をきまりった言葉で表現するだけにとどまらず、アメリカ人はテロリスムを撲滅するまで、いかに屈しないか、思いとどまることがないか、やめないかを、いそいそと繰り返し続けているのである。だれもが、これはテロリスムへの戦争だと口にする。しかしどこで行われ、どこに前線があり、どのような具体的な目的を目指した戦争だというのだろうか。だれも答えない。「われわれ」アメリカ人は、中東とイスラムと戦うこと、テロリスムは破壊しなければならないことだけが、ぼんやりと示唆されるだけなのである。

それよりも気が滅入るのは、世界でアメリカがどんな役割を果たしているのかを理解するために、ほとんど時間が費やされていないということだ。平均的なアメリカ人にとっては、西海岸と東海岸にはさまれたこの大陸が世界であり、この大陸の外部は極端なほどに遠いところとして、意識の外においやられている。そしてこの外部の世界の複雑な現実に、アメリカがどのように直接的にかかわっているのかを理解するための時間など、ほどんど顧みられていないのである。

アメリカは、イスラムのすべての領域で、ほとんどつねに戦争状態にあるか、なんらかの紛争にまきこれている超大国であるはずなのに、まるで「眠れる大国」であるかのようである。オサマ・ビンラディンの名前と顔はアメリカ人にはあまりに馴染みになったために、ある種の麻酔的な効果を発揮している。そしてビンラディンとその影の支援者たちが、はあらゆる忌まわしいものを代表するシンボルになり、アメリカ人の集団的な記憶にとって憎むべきものとなるまでに、どのような歴史があったかなどは、跡形もなく忘却されているのである。
[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

Yahoo! Japan 掲示板 アーカイヴ

[検索ページ] (中東) (東亜) (捕鯨 / 捕鯨詳細)