イスラエル/パレスチナ和平

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パレスチナは戦闘から交渉の季節へ(上)

投稿者: etranger3_01 投稿日時: 2002/06/01 00:07 投稿番号: [3841 / 20008]
[時事通信社「世界週報」メルマガ版]   vol.42

●記事3●
■ワールド・ナウ
パレスチナは戦闘から交渉の季節へ   <全文掲載>

杏林大学教授
笈川 博一(おいかわ・ひろかず)
  1942年東京生まれ。70年東京教育大学文学部修士課程修了。同年イスラエル
  留学、ヘブライ大学講師。78〜95年時事通信社エルサレム通信員を経て95年
  から現職。東京女子大学、東京外国語大学、慶応義塾大学講師。専門は中東
  現代史。また、古代エジプト語、古代ヘブライ語も専攻。著書に「イスラエ
  ルの国と人」「湾岸戦争以後の中東を読む」など。

◆分からないアラファト議長の真意
  一昨年9月に始まったアルアクサ・インティファーダ(反イスラエル民衆蜂
起)が終結しようとしている。最後に残ったイスラエル・パレスチナの直接対
決の場であるベツレヘムが5月10日に一応の解決を見て、問題はパレスチナ自
治政府の「改革」に移ってきた。こうした状態が3月29日から5月10日まで続
いた激しい武力衝突によってしかもたらされなかったこと自体がパレスチナの
悲劇を象徴しているようだ。
  アルアクサ・インティファーダの20カ月は6億6600万ドルの被害をもたらし
た。世銀、国連諸機関、援助諸国などによる試算である。そのうち半分以上の
3億6100万ドルは最近1カ月半の衝突によって起きた。しかもこの数字はこの
間に起きたパレスチナ経済のほぼ全面的な崩壊を含んでいない。経済の崩壊に
よって起きた税収の激減はパレスチナ暫定自治政府を事実上の破産状態に追い
込んだ。援助諸国は既に1億5000万ドルの緊急援助を約束したが、これがなけ
れば家を失ったジェニン難民キャンプの 800家族には明日の生活もない。アル
アクサ・インティファーダ以前の状態に戻すだけでも10億ドル以上の資金が必
要になろう。しかもその援助が自治政府腐敗の原資になっているとすれば、ど
うすればいいのか分からなくなってしまう。
  アラファト議長は5月15日に、これまでに例のないほどはっきりした口調で
「改革」の必要を訴えた。しかし選挙を訴えた直後に「急ぐことはない」と付
け加えてパレスチナ議員たちの失笑を買い、「もし(自治政府に)誤りがあっ
たのなら、それは私の責任である」と言った後で「世界中に誤りのない組織は
ない」と続けた。これでは彼の真意が一体どこにあるのか分からない。しかも
自治政府代表と88人から成る議会選挙は1996年1月に行われたのが最初で最後
だ。アラファト議長が「次の選挙はヨルダン川西岸、ガザにおけるイスラエル
の占領が終了した後だ」と付け加えるのを聞くと、さらに真意が分からなくな
る。イスラエルによる占領を終わらせ、パレスチナ国家を独立させるためにこ
そ改革が必要ではないのだろうか。一方「戦闘の季節」が終わったばかりで改
革、融和を進めると、イスラエルの力に屈したという印象が強くなってしまう。
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