「ロシアの旅」 - 3
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/02/08 19:45 投稿番号: [48942 / 73791]
「ロシアの旅」(3)
不安
空港の外は、照明がまばらで薄暗く、すでにタクシ−もありません。他の乗客たちの荷物を懐中電灯で照らして振り分けた後でしたから、空港から出たのは私たちが一番最後でした。私たちより先に出た人たちは、姿もかたちもみえません。「あ、みんな消えちゃった」と思いました。
「一体、どこ消えちゃったのかしら?」
そう思いながらあたりを見回すと、隅にライトを消したバスが一台止まっています。爺がそのバスへ行って運転手と何やら話しておりましたが、まもなく私たちを手招きしました。ローラ付きの重い荷物を引きずってバスのところまで行くと、「このバスだ。さあ乗りなさい」と、爺は私が肩に掛けていた軽いバッグだけ取ってバスの中へさっさと入ってしまいます。結局、重いスーツケース3個とバックパック2個は、邦夫さんと私とでバスの中へ押し込みました。
この時になって運転手さんがエンジンをかけたので、暗かった車内に照明が点き、明るくなりました。明るいといっても、薄暗いあかりです。それでホッとしたのもつかの間、運転手さんと目があって、私はおもわず声をあげそうになりました。まるで強盗か山賊のような顔立ちなのです。
古いボンネットバスはところどころ錆びていて、エンジンの振動でガタガタ震えています。プラスチックの座席もところどころほころびています。乗客は私たち3人だけ。一気に気持ちが暗くなりました。走り出しても行き交う車はほとんどありません。町は今まで見たことがない異国の風景でしたが、日本の夜の町のきらびやかさとは違って、暗くて寂しげです。
「この町、人が住んでいるのかしら...」
そう思いながら、不安な気持ちで窓の外をただ見つめるばかりでした。やがて闇の中に大きな黒い筋が見えてきました。河でした。大きな河でした。バスは、河沿いにしばらく走ると、薄暗い建物に入りました。玄関に古びたネオンサインが点いています。私たちが泊まるホテルでした。お世辞にも豪華といえるホテルではありません。
ロビーにも人は数人しかおりません。爺が、カウンターの男性と何かしら話しておりましたが、その男性はすぐに奥へ入って行って、代わりに中年のおばさんのような女性が出てきました。銀髪が少し乱れていて、疲れたような表情です。その女性は、私たちを奥へ呼びました。さきほどの疲れたような顔が一転して険しい表情に変わり、私たちのパスポートやら何やらを念入りにチェックしています。空港ではパスポートも見せることなく素通りでしたから、これは意外でした。
女性は爺と話しながらどこかへ電話をかけておりましたが、やがて納得したらしく、今度は穏やかな表情を浮かべて、ボーイを呼ぶと部屋に案内されました。立派な部屋とは言えません。照明の暗いがらんとした部屋に、これも立派とは言えないベットが左右に1つずつありました。3人なのにベットが2つなのでどうしようと思っていると、私の部屋は隣りということでした。同じような部屋でした。でもなんとなく薄気味悪く、だから私は爺と同じ部屋にすることにし、邦夫さんが隣の部屋ということになりました。
ひととおり荷物をほどいてから、お腹がすいたと言いましたら、爺がすぐにボーイを呼びましたが、レストランは閉まっていて、バーしか開いていないということ。爺はやることがあると言って、結局、私は邦夫さんと二人で下のバーへ行きました。真赤な薄暗い照明のバーには10人ほどの人たちがいて、ほとんどが若者たちです。赤い超ミニのけばけばしい女性たちも何人か混じっています。すっかり酔っている人もいます。薄暗い照明の中で、全員の視線が私に集まるのを感じました。
<お出かけします。続きは後日>
直子
空港の外は、照明がまばらで薄暗く、すでにタクシ−もありません。他の乗客たちの荷物を懐中電灯で照らして振り分けた後でしたから、空港から出たのは私たちが一番最後でした。私たちより先に出た人たちは、姿もかたちもみえません。「あ、みんな消えちゃった」と思いました。
「一体、どこ消えちゃったのかしら?」
そう思いながらあたりを見回すと、隅にライトを消したバスが一台止まっています。爺がそのバスへ行って運転手と何やら話しておりましたが、まもなく私たちを手招きしました。ローラ付きの重い荷物を引きずってバスのところまで行くと、「このバスだ。さあ乗りなさい」と、爺は私が肩に掛けていた軽いバッグだけ取ってバスの中へさっさと入ってしまいます。結局、重いスーツケース3個とバックパック2個は、邦夫さんと私とでバスの中へ押し込みました。
この時になって運転手さんがエンジンをかけたので、暗かった車内に照明が点き、明るくなりました。明るいといっても、薄暗いあかりです。それでホッとしたのもつかの間、運転手さんと目があって、私はおもわず声をあげそうになりました。まるで強盗か山賊のような顔立ちなのです。
古いボンネットバスはところどころ錆びていて、エンジンの振動でガタガタ震えています。プラスチックの座席もところどころほころびています。乗客は私たち3人だけ。一気に気持ちが暗くなりました。走り出しても行き交う車はほとんどありません。町は今まで見たことがない異国の風景でしたが、日本の夜の町のきらびやかさとは違って、暗くて寂しげです。
「この町、人が住んでいるのかしら...」
そう思いながら、不安な気持ちで窓の外をただ見つめるばかりでした。やがて闇の中に大きな黒い筋が見えてきました。河でした。大きな河でした。バスは、河沿いにしばらく走ると、薄暗い建物に入りました。玄関に古びたネオンサインが点いています。私たちが泊まるホテルでした。お世辞にも豪華といえるホテルではありません。
ロビーにも人は数人しかおりません。爺が、カウンターの男性と何かしら話しておりましたが、その男性はすぐに奥へ入って行って、代わりに中年のおばさんのような女性が出てきました。銀髪が少し乱れていて、疲れたような表情です。その女性は、私たちを奥へ呼びました。さきほどの疲れたような顔が一転して険しい表情に変わり、私たちのパスポートやら何やらを念入りにチェックしています。空港ではパスポートも見せることなく素通りでしたから、これは意外でした。
女性は爺と話しながらどこかへ電話をかけておりましたが、やがて納得したらしく、今度は穏やかな表情を浮かべて、ボーイを呼ぶと部屋に案内されました。立派な部屋とは言えません。照明の暗いがらんとした部屋に、これも立派とは言えないベットが左右に1つずつありました。3人なのにベットが2つなのでどうしようと思っていると、私の部屋は隣りということでした。同じような部屋でした。でもなんとなく薄気味悪く、だから私は爺と同じ部屋にすることにし、邦夫さんが隣の部屋ということになりました。
ひととおり荷物をほどいてから、お腹がすいたと言いましたら、爺がすぐにボーイを呼びましたが、レストランは閉まっていて、バーしか開いていないということ。爺はやることがあると言って、結局、私は邦夫さんと二人で下のバーへ行きました。真赤な薄暗い照明のバーには10人ほどの人たちがいて、ほとんどが若者たちです。赤い超ミニのけばけばしい女性たちも何人か混じっています。すっかり酔っている人もいます。薄暗い照明の中で、全員の視線が私に集まるのを感じました。
<お出かけします。続きは後日>
直子
これは メッセージ 48940 (k_g_y_007_naoko さん)への返信です.