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李光洙と親日派の時代

投稿者: cuu26nm706 投稿日時: 2005/03/26 03:03 投稿番号: [2987 / 9207]
▼民族改造論

李光洙が帰国したときの朝鮮は、「武断統治」から「文化政治」へと政策転換
が行われていたときだ。3・1運動の教訓によって日本の本国政府は、朝鮮人
の政治的権利を一定の範囲内で認める穏健路線に政策展開していく。後に2・
26事件(1936)において「自由主義者・君側の奸」として暗殺されるこ
とになる第3代総督の斎藤実は、開明派らしく朝鮮語新聞の創刊や憲兵警察制
度の廃止といった改革を断行していった。

次々と作られていくインフラを目の当たりにして、朝鮮人の間に「当面は、日
本の下で近代化を達成したほうが得策」といった心情が広がっていった。日本
政府を驚愕せしめた3・1運動も、人々の心の中ではすでに「おもろうてやが
て哀しき祭りかな」と変わっていた。

そういう時代状況の中で李光洙が発表したのが「民族改造論」だ。この論文が
雑誌「開闢」に発表されたとき、出版社が憤激した暴徒に襲撃されるなど、彼
の処女作「無情」の発表の時と同様のセンセーションを巻き起こした。

李光洙はこの中で、自らが関与した3・1運動を「野蛮人種が何の考えもなく
立ち上がった偶然の事件」とまで言い切った上で、朝鮮の衰退の原因を「空想
と空論だけを楽しみ、信義と忠誠を欠き、すべてのことに対して勇気がなく、
利己的で、社会奉仕の心と団結心がなく、極端に貧窮している朝鮮人の民族性
にある」と断じた。さらに彼はその根拠として「500年の民族生活に何も残
されたものがないということを見ればわかる。……過去の話ではなく、現在の
朝鮮人もそうだ。我々が目にする電燈、水道、電信、鉄道、車輪、道路、学校
のようなものの中で、朝鮮人自らがつくったものがどこにあるというのか」と
書いている。

「民族改造論」の一貫した論理は「朝鮮の植民地化は朝鮮民族の民族性に起因
する必然的結果だ。独立は時期尚早で、独立するためには実力を養成しなけれ
ばならない」というものだった。

李光洙の論理は、当時の朝鮮総督府の朝鮮独立に対する基本的認識と見事に符
合するものであった。たとえば、当時総督府警務局長を務めた丸山鶴吉は、朝
鮮人の集まりに出席し「自らの力で独立しようと考えるようになったのは非常
にすばらしい現象であり、朝鮮人のためには幸せなことである」と語っている
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