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【ビジネス法務の部屋】

投稿者: T_Ohtaguro 投稿日時: 2006/01/04 17:29 投稿番号: [14047 / 17759]
2   UBS証券が日証協に打診していることの真意


証券取引に民商法の適用される可能性があるのであれば、どうしてみずほ証券は黙っているんだろうかと、(株主代表訴訟の危惧といった観点から)以前のエントリーでは問題視しておりましたが、実際にはUBS証券側から「利益返還問題」と絡めて「日証協」に打診があったとのことで、このあたりはちょっと想定しておりませんでした。ということで、この報道が真実であることを前提としまして、ちょっとそのあたりの真意につきまして、私なりに推測してみました。

まず、この問題が「本気で」裁判になった場合のリーガルリスクといったものへの配慮があるのではないでしょうか。これはみずほ証券側にもありますし、UBS側にも存在します。たとえば、みずほ側としましても、利益を取得したのは証券会社ばかりでなく、個人も存在しております。被告をどうやって調査して、その返還対象者をどうやって峻別すべきなのか、そのあたりは非常にコストのかかるところですし、時間もかかるところであります。また、そもそも証券取引に錯誤無効が適用されることを想定いたしますと、厳密な意味では原状回復の対象となる「利益」といったものが、実際にはどの程度の金額になるのか(今問題になっている「利益返還」金額とは明らかに異なります)、これもまた困難な問題が生じます。いっぽうのUBS証券としましても、たしかに裁判で敗訴したことによって利益を返還すれば、株主代表訴訟のリスクから解放されることにはなりそうですが、いままさに「利益返還問題」の浮上する原因であった「企業のレピュテーションリスク」からは解放されないわけです。(裁判で断固、利益を返さない姿勢、というものは貫かなければならず、敗訴したから利益を返還する、といった結果では社会的な評判としてはよろしくないでしょう)

そういった双方の悩みを一気に解決するためには、いわゆるADR(裁判外紛争処理機関)を利用した「和解的解決」による手法が最も適しているのではないでしょうか。これは、最近代表訴訟のリスクのからむ企業紛争では比較的用いられるケースが多いと思います。長期間におよぶ訴訟に要するリーガルコストや敗訴可能性などを十分検討したうえで、双方が譲歩する形で和解的解決を図るものです。もし日証協あたりが音頭をとって、このADR的な立場で解決することができれば、証券会社のみが利益返還を行ったということへの批判もかわすことができますし、また「返還に応じない企業と応じる企業が出ることへの不平等」といった問題も解決することが可能です。また、個別の紛争解決によっては一律の解決が困難な事後救済上の税務問題につきましても、日証協あたりが仲介役となれば、画一的な処理も可能になろうかと思われます。

こういった推測からいたしますと、UBS証券あたりは、かなり詳細な検討を行ったうえで日証協へ打診をしているのではないかと思います。ただ、民法による錯誤の規定が、果たして各証券会社においても、同様に「契約無効のおそれあり」との結論を出すかどうかは別個の問題ですし、今後このスキームが進捗するかどうか、このあたりに課題が残っているようにも思われます。
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