漢口引揚げに関する意見の調整1
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2011/01/24 18:47 投稿番号: [720 / 2250]
これまでの
「引揚げ」
は漢口より上流のものでして、
漢口より下流はまだ決まっていませんでした。
そのため、長沙の高井領事代理もグズったわけですが、漢口もモメる事になります。
戦史叢書 『中国方面海軍作戦〈1〉』 293p
松平総領事代理の引揚げ過早の意見
《 七月二十九日午後、第十一戦隊参謀安藤憲栄少佐は、
松平忠久漢口総領事代理に漢口在留居留民婦女子の引揚げ促進を申し入れた。
同総領事代理はまだその時機にあらず任意引揚げの程度でよいと力説し、
更に次の所見を述べた。
一 今回の漢口での日本海軍の戦備は、
かえって中国側及び在留居留民を刺激し危倶の念を与えた。
二 中国側は、北支事変が万一拡大しても、
漢口在留居留民の生命、財産の安全保障を確言しており、
事変勃発以来、事故 (窃盗逮捕、交通事故など) の解決が敏速となったのは
その例証であり、日本海軍が警泊しおるための効果ではない。
何成濬の威令はよく行われ、安全と認める。
三 要するに平戦両時を通じ、日本海軍 (注 日本海軍とは第十一戦隊及び
陸戦隊なりやとただしたところしかりと答えた) は駐屯しない方が、
かえって安全であり、当地有識者及び一般民衆が等しく感じおるところで、
また揚子江各地領事の総意でもある。
この観念の対立は、居留民に去就を迷わせる虞 (おそれ) があった。
そこで翌三十日、谷本司令官は、 23:30 海軍中央部あて、次のように打電した。
本職 今回ノ事変突発以来 主トシテ左記ノ如キ諸象ヲ 綜合 (そうごう)
観察スルニ、 漢口ノ一般情勢ハ 決シテ冷静平穏トハ認メ難ク、
寧 (むし) ロ 人心ノ動揺、不安ノ念ハ 日ニ増シ募 (つの) リツツアル モノト判断ス。
一 流言蜚 (ひ) 語ハ 盛ンニ行ハレ 民心ヲ刺戟 (しげき) スルコト著シ。
二 日本租界 及 其ノ附近居住支那人ニシテ 租界外ニ避難スルモノ続出シ
更ニ増加ノ傾向アリ。
三 在留邦人ハ 速カニ引揚ノ要アリト 説ク者多数ニ達シ (中ニハ不純ノ
動機ヲ以テスルモノ若干アリ)、 参事会長ハ 之ガ制止ニ 努力シツツアリ。
又本日迄ノ 邦人引揚員数約百五十名 (主トシテ婦女子) ニ達シ、
更ニ激増ノ傾向アリ。 (参事会長談)
四 邦人経営会社、銀行、商店ニ対スル 支那人ノ出入殆ド絶ユ、 之等ハ
支那側同業組合ノ自衛手段トモ見ルベク 漸次統制アル圧迫ヲ加へ 経済
絶交ヲ策シツツアル ヤニ考ヘラルル点アリ。 (民国時局委員会ニ於ケル一代表所見)
五 本日迄ニ英米仏軍艦 (英三、米二、仏二) ハ 旗艦以外何レモ中流ニ転錨シ
(概ネ 「ハルク」 横付ヲ例トス) 相当警戒シツツアリ。》
* ここで注目すべきは、松平総領事代理の言葉です。 彼は、
1、日本海軍の戦備は中国側を刺激する。
2、中国側は、日本人居留民の生命、財産の安全を保障している。
3、日本海軍が駐屯しない方が、かえって安全
と言っています。これって今の平和憲法主義者と全く同じ考えですよね。
それを、総領事代理が、海軍の指揮官に面と向かって言ってたのです。
総領事代理が、海軍の指揮官に侮辱的発言をしたからといって、
仕返しをされるわけではありません。
この状態は、文民統制ではないでしょうか。
つづく
漢口より下流はまだ決まっていませんでした。
そのため、長沙の高井領事代理もグズったわけですが、漢口もモメる事になります。
戦史叢書 『中国方面海軍作戦〈1〉』 293p
松平総領事代理の引揚げ過早の意見
《 七月二十九日午後、第十一戦隊参謀安藤憲栄少佐は、
松平忠久漢口総領事代理に漢口在留居留民婦女子の引揚げ促進を申し入れた。
同総領事代理はまだその時機にあらず任意引揚げの程度でよいと力説し、
更に次の所見を述べた。
一 今回の漢口での日本海軍の戦備は、
かえって中国側及び在留居留民を刺激し危倶の念を与えた。
二 中国側は、北支事変が万一拡大しても、
漢口在留居留民の生命、財産の安全保障を確言しており、
事変勃発以来、事故 (窃盗逮捕、交通事故など) の解決が敏速となったのは
その例証であり、日本海軍が警泊しおるための効果ではない。
何成濬の威令はよく行われ、安全と認める。
三 要するに平戦両時を通じ、日本海軍 (注 日本海軍とは第十一戦隊及び
陸戦隊なりやとただしたところしかりと答えた) は駐屯しない方が、
かえって安全であり、当地有識者及び一般民衆が等しく感じおるところで、
また揚子江各地領事の総意でもある。
この観念の対立は、居留民に去就を迷わせる虞 (おそれ) があった。
そこで翌三十日、谷本司令官は、 23:30 海軍中央部あて、次のように打電した。
本職 今回ノ事変突発以来 主トシテ左記ノ如キ諸象ヲ 綜合 (そうごう)
観察スルニ、 漢口ノ一般情勢ハ 決シテ冷静平穏トハ認メ難ク、
寧 (むし) ロ 人心ノ動揺、不安ノ念ハ 日ニ増シ募 (つの) リツツアル モノト判断ス。
一 流言蜚 (ひ) 語ハ 盛ンニ行ハレ 民心ヲ刺戟 (しげき) スルコト著シ。
二 日本租界 及 其ノ附近居住支那人ニシテ 租界外ニ避難スルモノ続出シ
更ニ増加ノ傾向アリ。
三 在留邦人ハ 速カニ引揚ノ要アリト 説ク者多数ニ達シ (中ニハ不純ノ
動機ヲ以テスルモノ若干アリ)、 参事会長ハ 之ガ制止ニ 努力シツツアリ。
又本日迄ノ 邦人引揚員数約百五十名 (主トシテ婦女子) ニ達シ、
更ニ激増ノ傾向アリ。 (参事会長談)
四 邦人経営会社、銀行、商店ニ対スル 支那人ノ出入殆ド絶ユ、 之等ハ
支那側同業組合ノ自衛手段トモ見ルベク 漸次統制アル圧迫ヲ加へ 経済
絶交ヲ策シツツアル ヤニ考ヘラルル点アリ。 (民国時局委員会ニ於ケル一代表所見)
五 本日迄ニ英米仏軍艦 (英三、米二、仏二) ハ 旗艦以外何レモ中流ニ転錨シ
(概ネ 「ハルク」 横付ヲ例トス) 相当警戒シツツアリ。》
* ここで注目すべきは、松平総領事代理の言葉です。 彼は、
1、日本海軍の戦備は中国側を刺激する。
2、中国側は、日本人居留民の生命、財産の安全を保障している。
3、日本海軍が駐屯しない方が、かえって安全
と言っています。これって今の平和憲法主義者と全く同じ考えですよね。
それを、総領事代理が、海軍の指揮官に面と向かって言ってたのです。
総領事代理が、海軍の指揮官に侮辱的発言をしたからといって、
仕返しをされるわけではありません。
この状態は、文民統制ではないでしょうか。
つづく
これは メッセージ 719 (kireigotowadame さん)への返信です.