清水中隊の演習準備 と 堤防上の中国兵
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/06/22 18:40 投稿番号: [484 / 2250]
寺平忠輔著 『日本の悲劇
盧溝橋事件』 読売新聞社刊
56〜57p
《 七日の午後四時、兵舎で早目の夕食が終ったばかりのころ、
週番下士官が廊下の入口で 「第八中隊は演習に整列!」 と大声にどなった。
兵は食器洗いもそこそこに、軍靴を突っかけ、脚絆 (きゃはん) を巻いて、戦闘帽を
ひっかぶるなり、銃と背嚢ひっかついで、我がちに営庭の方へとかけ出して行った。
検閲を二日の後に控え、兵に疲労をさせてはならぬという親心から、背嚢の中身は
空ッポである。雑嚢もつけていない。中隊長が命じて特にそうさせたのであった。
しかし携行弾薬だけは、空包以外に小銃実弾各人三十発、軽機一銃百二十発
というものが分配された。これは軍の規定に基づく弾数であって、
外地駐屯部隊としては、突発不慮の変に不覚をとらないため、
常時これだけの実弾は携帯を要求されておったのである。》
(訓示・行軍・現地到着など途中省略)
58〜59p
《「野地小尉、今日は堤防上に随分沢山の中国兵が動いているじゃないか」
「先程工事をやっていた一ケ小隊ばかりが城内に引き揚げて行って、今、
あそこに見えるのは、入れ換りまた新しく城内から出てきたやつらです」
「フーム、昼夜兼行というわけだな。
オヤッ、竜王廟の左のトーチカが銃眼をこちらの方に向けているぞ。
あれはつい最近手入れしたばかりと見えるな。早速旅団に報告しとかにゃいかん!」
・・・
「もう六時か。ボツボツ演習準備に取りかからなきゃいかん。
今日の演習はあの堤防の線から開始しようと思ったんだが、
彼等、なかなか作業をやめそうもないなあ。
曹長!とりあえずそのままの服装でよい。兵を全員集めてくれ」
岩谷曹長の号令一下、兵隊たちはそこここに集合した。
中隊長はこれに対して、中国側に対する兵の心構えを懇々説明し、
とりわけ兵の単独行動中、起り得べき事故に関してはいくつかの例を挙げて
これを説明し、あるいは試問し、最後に
「……たとえ彼等がいかに策動してこようとも、
いやしくもそれに引っ掛けられるような事があってはならぬ。
事、軍の威信にかかわると思った場合でも、対応の措置は必ず上官の指示を
仰いでからでなければ、勝手な行動をとってはいかん」
と結論を与えた。
兵はバラバラッと分れて各々上衣を着はじめた。
堤防上にはまだ中国兵がいるので、中隊はやむなく竜王廟の東、
百メートルの地点に移動し、ここから今日の演習を始める事にした。》
つづく
これは メッセージ 483 (kireigotowadame さん)への返信です.
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