1月24日 ラーベの日記
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2010/01/23 16:16 投稿番号: [321 / 2250]
一月二十四日
高上校のボーイが突然やってきた。何も食べるものがないというので五ドルやった。
主人の高上校は漢口へ逃げてしまったという。
委員会は基督教総会を通してジーメンス洋行中国本社に打電し、
三月一日まで私をここにおいてくれるよう、頼んでみるという。
だから、上海行きの旅券を申請するのは当分の間差し控えることにした。
数時間後
我々も堕ちたものだ。心の支えも節操も失ってしまった!
パットナム・ウィールの 『北京からの書簡集』 は
一九〇〇年の北京包囲について記したものだが、ウィールはそのなかで、
自分をはじめとする他のヨーロッパ人の略奪を赤裸々に綴っている。
我々だって堕ちてしまった。いまや五十歩百歩だ。今日、張が電気扇風機を買ってきた。
「たったの一ドル二十セントでしたが、本当なら三十八ドルはしますよ」 と手柄顔だ。
マントルピースの上には一個一ドルの明時代の花瓶がすでに並んでおり、
そろって咎めるような視線を向けている。
その気になれば、盗品の故宮宝物で家中を飾り立てられるだろう。
なんせ闇で二束三文で売られているのだから。
いま高いのは食料品だけだ。例えばニワトリ一羽が二ドルもする。
ということは明時代の花瓶きっかり二個分だ。
今日また高玉が本部へやってきた。中国語のできる警察の高級将校がいっしょだ。
高玉は、大学の難民収容所で若い娘を手に入れようとしているところを
ベイツに見つかってしまった。
だから、収容所で 「洗濯や料理をする人」 を捜していたのだ、
といいにきたというわけだ。
「洗濯や料理をする人」 だと? いったい誰がそんなたわごとを信じると思ってるんだ。
中国では洗濯と料理は男の使用人の仕事だ。
そんなことぐらい、アジアじゃ子どもでも知っている。
つまり、この男は名誉回復をしようというのだ。
スマイスは一部始終しっかり書きとめた。「さっそく、各国の大使館に報告しましょう」。
高玉がますますご機嫌ななめになったのはいうまでもない。
奴さん、あてが外れてすごすごと帰っていった。
ただ 「そんなつまらんことで大使館を煩わせるものではありませんぞ!」 と、
いやに力をこめてつけ加えるのだけは忘れなかった。
本部にいた連中はみな、いい気味だといって喜んだ。
マギーは書状一通と日本の銃剣一丁を私の机の上に置いた。それには、中国人女性を
銃剣で脅していたところへ、委員会のメンバーが三人ふいに姿を現したため、
その日本兵はあわてて武器をとり落とし、そのまま逃げたとあった。
目撃者がアメリカ人だったので、スマイスが勇んでアメリカ大使館に報告した。
アリソン書記官が日本大使館への報告役を肩代わりしてくれたので、感謝している。
アリソン氏はあっけにとられ、不思議だ、びっくりした、を連発した。
そこで、ローゼンはさっそく 「不思議の国のアリソン」 と命名した。
* 高上校はラーベが匿った中国軍の将校。
* 「盗品の故宮宝物で家中を飾り立てられる」
売っているのは中国人、だったら誰が略奪犯か判りそうなものに。
* 「高玉は、…若い娘を手に入れようと…収容所で 「洗濯や料理をする人」 を
捜していたのだ、といいにきた…誰が…信じる…。中国では洗濯と料理は男の
使用人の仕事だ。そんなことぐらい、アジアじゃ子どもでも知っている。」
とラーベは言っているが、
日本では 「洗濯と料理は女の仕事」 中国の習慣なぞ、子供どころか大人も知らない。
日本はアジアじゃないのだろう。ラーベ達の偏見は甚だしい。
高上校のボーイが突然やってきた。何も食べるものがないというので五ドルやった。
主人の高上校は漢口へ逃げてしまったという。
委員会は基督教総会を通してジーメンス洋行中国本社に打電し、
三月一日まで私をここにおいてくれるよう、頼んでみるという。
だから、上海行きの旅券を申請するのは当分の間差し控えることにした。
数時間後
我々も堕ちたものだ。心の支えも節操も失ってしまった!
パットナム・ウィールの 『北京からの書簡集』 は
一九〇〇年の北京包囲について記したものだが、ウィールはそのなかで、
自分をはじめとする他のヨーロッパ人の略奪を赤裸々に綴っている。
我々だって堕ちてしまった。いまや五十歩百歩だ。今日、張が電気扇風機を買ってきた。
「たったの一ドル二十セントでしたが、本当なら三十八ドルはしますよ」 と手柄顔だ。
マントルピースの上には一個一ドルの明時代の花瓶がすでに並んでおり、
そろって咎めるような視線を向けている。
その気になれば、盗品の故宮宝物で家中を飾り立てられるだろう。
なんせ闇で二束三文で売られているのだから。
いま高いのは食料品だけだ。例えばニワトリ一羽が二ドルもする。
ということは明時代の花瓶きっかり二個分だ。
今日また高玉が本部へやってきた。中国語のできる警察の高級将校がいっしょだ。
高玉は、大学の難民収容所で若い娘を手に入れようとしているところを
ベイツに見つかってしまった。
だから、収容所で 「洗濯や料理をする人」 を捜していたのだ、
といいにきたというわけだ。
「洗濯や料理をする人」 だと? いったい誰がそんなたわごとを信じると思ってるんだ。
中国では洗濯と料理は男の使用人の仕事だ。
そんなことぐらい、アジアじゃ子どもでも知っている。
つまり、この男は名誉回復をしようというのだ。
スマイスは一部始終しっかり書きとめた。「さっそく、各国の大使館に報告しましょう」。
高玉がますますご機嫌ななめになったのはいうまでもない。
奴さん、あてが外れてすごすごと帰っていった。
ただ 「そんなつまらんことで大使館を煩わせるものではありませんぞ!」 と、
いやに力をこめてつけ加えるのだけは忘れなかった。
本部にいた連中はみな、いい気味だといって喜んだ。
マギーは書状一通と日本の銃剣一丁を私の机の上に置いた。それには、中国人女性を
銃剣で脅していたところへ、委員会のメンバーが三人ふいに姿を現したため、
その日本兵はあわてて武器をとり落とし、そのまま逃げたとあった。
目撃者がアメリカ人だったので、スマイスが勇んでアメリカ大使館に報告した。
アリソン書記官が日本大使館への報告役を肩代わりしてくれたので、感謝している。
アリソン氏はあっけにとられ、不思議だ、びっくりした、を連発した。
そこで、ローゼンはさっそく 「不思議の国のアリソン」 と命名した。
* 高上校はラーベが匿った中国軍の将校。
* 「盗品の故宮宝物で家中を飾り立てられる」
売っているのは中国人、だったら誰が略奪犯か判りそうなものに。
* 「高玉は、…若い娘を手に入れようと…収容所で 「洗濯や料理をする人」 を
捜していたのだ、といいにきた…誰が…信じる…。中国では洗濯と料理は男の
使用人の仕事だ。そんなことぐらい、アジアじゃ子どもでも知っている。」
とラーベは言っているが、
日本では 「洗濯と料理は女の仕事」 中国の習慣なぞ、子供どころか大人も知らない。
日本はアジアじゃないのだろう。ラーベ達の偏見は甚だしい。
これは メッセージ 320 (kireigotowadame さん)への返信です.