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1939年 小野寺機関に取り入る美女工作員

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2013/02/11 12:01 投稿番号: [2239 / 2250]
晴気慶胤著   『上海テロ工作76号』   毎日新聞社
145〜146p


《 そのころ、上海における藍衣杜の工作責任者は呉開先であった。

彼は、 『七十六号』   と実力で争うには藍衣社が余りに無力に陥っていたので、

逆に日本側に食い入って、汪工作を内部から崩壊させようとした。

そうした藍衣社の手は上海、北京から東京にまで伸びて、

事情にうとい日本側要人を反汪的に躍らせていた。



藍衣社工作員は巧みに化けて日本の有力な官民に接近し、

重慶政府には日本と和平する意思があると宣伝し、

しきりに日本の気を引いたのである。


一例をあげると、上海では陸軍の小野寺機関が藍衣社に利用された。

小野寺機関というのは、ソ連事情に明るい小野寺信中佐を長とし、

昭和十四年ごろ、東京から上海に特派された対ソ情報機関である。



しかし、敵味方が入り乱れて策謀の火花を散らしていた上海は、

中国が初めての小野寺中佐にとっては、あまりにも複雑怪奇であった。

藍衣社は上海に着いたばかりで西も東もわからない小野寺中佐に近づいた。

その時の工作員が丁黙邨を失脚せしめた女間諜、鄭蘋茹だったのである。



彼女は美しい笑顔で巧みにとり入り、小野寺機関のふところ深く食い入った。

母は日本人だという鄭蘋茹、そして日本語の巧みな彼女は

日本の信用を得るには十分なものがあった。

彼女が持ってくる共産党情報なるものは、

店開きをしたばかりの小野寺中佐を簡単に喜ばせ、

遂に彼女をまたとない情報員だと信用してしまった。



すっかり信用をかち得た彼女は、

その後になって自分は藍衣社とも特別なルートを持っているといって、

とある藍衣社の工作員を紹介した。その工作員は小野寺中佐に対し


「重慶政府は日本と和平交渉をしたいと望んでいるが、

それを妨害しているのは汪兆銘である。

新中央政府ができてしまったら、日華の和平は絶望となる。

われわれの首領の戴笠はそれを心配して上海にきて、

日本軍と連絡したいといっている。

いっぺん会って意見を聞いてくれないか」


と言葉巧みにもちかけた。小野寺中佐は会見を承諾した。》
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