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1938年6月 中国軍の黄河堤防破壊2

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/04/30 14:29 投稿番号: [1615 / 2250]
児島襄著   『日中戦争4』   文春文庫
388〜389p


《   −   ところが、

一時間たち、二時間たち、さらに夜空が白みはじめても、

予想された奔流の水音は聞えず、堤防の大幅決潰の気配もない。

爆破個所に近づいてみると、たしかに堤防は上部と河にそう側面が

えぐりとられているが、黄河は氾濫する様子がない。



黄河は、既述したように、第十四師団が補給地点にえらんだ蘭封北西の

陳留口付近では、急角度に北にわん曲している。

その南岸の堤防を爆破すれば、岸にぶつかる水流の勢いも激しいので、

たちまち氾濫したにちがいない。

この三劉寨付近は、しかし、流れはほぼ直線的である。



むろん、その点は考慮され、爆破口は河床より低い位置に設定された。流速を

利用しないでも、水圧そのもので堤防の下部に破孔を形成させようとしたのである。

だが、実際には、爆破は、平野部より約十メートルも高い河床の泥土の一部を

吹きあげたものの、その破孔には横から泥土が流れこんでふさいでしまい、

水位と水流には変化をもたらさなかったのである。



三カ所の破壊口では、いずれも河流が小さな渦をまき、

じわじわと埋防の土をくずしているようにみえるが、

「決潰」「氾濫」という単語を連想させるにはほど遠い状況であった。

「………」



第三十九軍長劉和鼎が、憮然として黄河を凝視していると、

同行した新編第八師長蒋在珍は、さらに西方の賈魯河との合流点に近い

京水鎮部落の東の花園口堤防を決潰する旨を述べ、現地に急行した。》


つづく
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