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5月15日 関東軍の逆越境失敗

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/04/20 18:42 投稿番号: [1595 / 2250]
辻正信著   「ノモンハン秘史」   毎日ワンズ
24〜27p


《 五月十五日の空は一点の雲もなく晴れ渡っていた。

気象通報は沿海州一帯の快晴をも報じている。

牡丹江   (ぼたんこう)   の飛行場に、いましも一台の司偵機が

快調の爆音を立てて主人を迎えている。

日の丸の印は塗り潰されて、満州国航空会社のマークに変えられ、

機中に何一つ軍人らしいと思われる所持品もない。 軍服を脱いで満航社員の

服に換えた二人はただ一枚の地図によってコースを打ち合わせた。



一、東寧上空より高度六千米で越境し、ウオロシロフ周辺より北上して、

   イマン付近を偵察の後、虎林   (こりん)、穆稜   (ぼくりょう)   を経て

   帰還する。所要時間約三時間半。

二、万一発見された場合には雲の中に隠れて逃げ、射たれて故障を起こしたら

   興凱湖   (こうがいこ)   に突っ込め!

   その余裕がないときは付近の山にぶっつけて火災を起こせ。



指示はただこれだけであった。酸素吸入器を点検し、マスクをかけて

その使い方を少尉に教わりながら、整備兵たちに見送られて離陸した。

死を決しての旅立ちとも思われない気軽さである。

可愛い青年将校を道連れにすることが如何にも罪なようでもあるが、

またその反面に、教え子とならばいつでも心中できるとの気持ちが起こった。

司偵は速力が唯一の武装である。一挺の機関銃もなく拳銃さえもない。

敵機に発見されたら三十六計逃げるに如   (し)   かず。



中隊長を載せて初めて死地に飛び込む秋山少尉の後ろ姿が、

狭い座席の三尺ほど前に微動もしない。全神経を操縦桿に集めているようだ。

爆音に妨げられて話はただ一本の伝声管によらねばならぬ。

「高度を上げます」   との声が機上最初の連絡であった。

ソ連との東部国境沿い、東寧の街が近づくに従って、

段々呼吸が苦しくなり、冷気を感じてくる。



高度計の目盛は刻々上がって五千を指した。できるだけ我慢しよう。

少しでも酸素を節約しなければならぬ、と考え稀薄になった空気の質を

量で補おうと深呼吸をしていたが、六千メートルに近づいたときは、

ついに堪   (たま)   らなくなって、酸素缶の栓をひねった。

マスクを鼻に当てて息苦しさを防ごうとしたが、どうしたことか一向に効き目がない。



東寧の地形が眼下に展開した。飛行機はまさしく満ソ国境線の直上にある。

「越境しますッ」と緊張した秋山少尉の声が耳に強く響いたとき、

とうとう弱音を吐いた。

「息が苦しい。酸素が出ない」

後ろを振り返った少尉の顔には驚きの色が見える。

「反転。高度を下げます」



機は急旋回した。身体が左右に捻(ね) じられるようである。   東寧西方の森林に

向かって急角度に降下した途端、顔面一帯に針で刺されるような痛みを感じた。

両手でさすってみたが治らない。呼吸は次第に楽になったが、

急激な気圧の変化から起こる神経作用であろう。耳鳴りがする。

そのたびに口を大きく開き鼻をつまんで調節を加えた。

ようやく平静を回復したかと思うと、

冷え切った身体が急に熱くなり汗さえ滲   (にじ)   み出した。



約一時間の後に牡丹江の飛行場に帰り着き点検してみると、

不覚にも酸素缶の小さい管が錆びついていた。

あのまま続けて飛んだら、窒息死か、あるいは高度を下げて敵に撃墜される

以外に途   (みち)   はなかった。》


つづく
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