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謎の宛平城 実弾射撃

投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/02/24 18:59 投稿番号: [1479 / 2250]
寺平忠輔著   『日本の悲劇   盧溝橋事件』   読売新聞社刊


51〜52p

《 馮治安が、今度河北省政府のある保定に、新たに外賓招待所というのをこしらえて、

どういう風の吹き回しか、陸軍武官今井武夫少佐に、迎賓ナンバーワンの招請状を

発してきた。

七月三日、武官は馮治安と列車を共にして保定に向った。



車中、馮治安は


「このごろ宛平城の北面の壁めがけて、夜間しきりに機関銃の射撃をする者があって

困るんです。それが空包じゃなくって実弾なんです。

一応日本側でも、豊台の部隊あたりを調べてみて下さいませんか?」   と申し出た。

「そりゃ初耳です。どういう理由か知らないが、一応調べるだけは調べてみましょう」



翌四日、武官はそれを旅団次級副官の小野口大尉に照会した。

副官は早速豊台部隊に連絡し、各中隊隈   (くま)   なく調べたがそんな事実は全くない。

そこで五日朝、その事が武官に報告され、武官から馮治安あてに回答が発せられた。

日本軍が好き好んで夜中に宛平城を射撃するなど常識としても考えられないし、

ことに実弾使用という事になると、日本軍では射耗報告がやかましいので、

そんなでたらめな射撃は出来るはずがない。》



*   3日に馮治安が、こういう事を言い、

   翌4日、林耕宇が旅団の方に、

   空砲の演習でも事前通告してくれと申しこみます。



48p〜49p

《「特務機関ですか、私、旅団副官の松山少佐です。

寺平補佐官を電話口までお願いします」   七月四日のもう日暮れ時である。

明日、軍に提出しなければならない冀察情報月報に筆を入れていた私は、

早速ペンを投じて電話にかかった。

・・・

「・・・   時に今日はですねえ。ちょっと面倒な事をご相談するんですが……

実は昨日、河辺閣下のお伴をして中国側の宴会に行ったんです。

そしたら例の外交専員の林耕宇がですねえ。

今後日本軍が空包を使って演習する場合、とりわけ夜間演習の時には、

必ず中国側にあらかじめ通告して欲しいというんです。・・・」》


つづく
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