1月18日 ラーベの日記
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2012/01/17 18:43 投稿番号: [1395 / 2250]
一月十八日
《 ほうぼうで煙が立ち昇っている。あいかわらず景気良く放火が続いているのだ。
九時ころ、難民収容所の管理者が集まって、本部で会議が開かれることになっている。
日本軍に妨害、いや、禁止された場合のことを考えて、手は打ってある。
衛兵を一人、塀の外に立たせておいたのだ。
この前のように、警察官に包囲されたら、ただちにドイツ大使館に通報することに
なっている。うれしいことに、ローゼンをはじめ、クレーガー、シュペアリングもきてくれた。
日本軍がなにか言ってくるのではないかと気がかりだったが、会議はつつがなく進行した。
午後、スマイスとフィッチがきた。米だけでなく、ほかの食料品も倉庫から
市内に運びこんではいけないことになったというではないか。
上海からとりよせることも禁じるという。
どうやら日本軍は難民を飢え死にさせるつもりらしい。
だが、断じてそんなことはさせないからな。
そこで我々は上海の基督教総会に電報を打った。
幸か不幸か、アメリカ大使館はワシントンの国務省にまたぞろ 「事件」 を
報告することができた。当地のアメリカンスクールが今日また略奪にあったのだ。
ピアノを運び出すため、壁に大きな穴まであけられて。
だが、残念ながら大使館の職員は間に合わず、現場を押さえられなかった。
ふたたび大使館が置かれた以上、日本軍がよもやこんな恥さらしなことを
やらかすとは思っていなかったのだ。
どうやって事務所を閉鎖したらいいのだろう。私は頭をかかえてしまった。
中国本社から 「事務所をたたむように!」 という電報が届いた。
荷造りしようにも木箱が手に入らない。
木箱をつくる職人もいないし、運送業者もいない。
どうやって荷造りすればよいのだろう?
そうかといって一切合切このまま置いていくわけにはいかない。
ということは、なくなるということだからだ。
私が引き揚げたら、上海に行ってしまったら、家屋敷はどうなってしまうのだろう?
たぶん日本政府は私に旅券を出してくれるだろう。
いやそれどころか、私を厄介払いできて、せいせいするのではないだろうか。
だが、ここにいる六百五十人の難民はどうなる?
血のにじむような苦労をしたあげく、こんなに厳しい結末を迎えようとは!》
* 「アメリカンスクールが今日また略奪にあったのだ。
ピアノを運び出すため、壁に大きな穴まであけられて。」
日本軍がこんなもの盗んで何になる。必要なら 「貸せ」 と言えば済む。
もう20年も前になるが、福岡市天神の新店町の宝石店に
中国人窃盗団が壁を破って侵入し、宝石を盗む事件があった。
それまで、日本では、壁を破って入る窃盗などなかったから、非常な驚きだった。
以後、こういう荒っぽい窃盗がふえ、珍しくもなくなったが。
第16師団はまもなく移動するから、ピアノを盗んでも意味がない。
天谷支隊は、来たばかりで、南京の様子・地理がわからない。
だとしたら、犯人は中国人であろう。
壁に穴をあけてピアノを盗むなど、日本人のやり口ではない。
《 ほうぼうで煙が立ち昇っている。あいかわらず景気良く放火が続いているのだ。
九時ころ、難民収容所の管理者が集まって、本部で会議が開かれることになっている。
日本軍に妨害、いや、禁止された場合のことを考えて、手は打ってある。
衛兵を一人、塀の外に立たせておいたのだ。
この前のように、警察官に包囲されたら、ただちにドイツ大使館に通報することに
なっている。うれしいことに、ローゼンをはじめ、クレーガー、シュペアリングもきてくれた。
日本軍がなにか言ってくるのではないかと気がかりだったが、会議はつつがなく進行した。
午後、スマイスとフィッチがきた。米だけでなく、ほかの食料品も倉庫から
市内に運びこんではいけないことになったというではないか。
上海からとりよせることも禁じるという。
どうやら日本軍は難民を飢え死にさせるつもりらしい。
だが、断じてそんなことはさせないからな。
そこで我々は上海の基督教総会に電報を打った。
幸か不幸か、アメリカ大使館はワシントンの国務省にまたぞろ 「事件」 を
報告することができた。当地のアメリカンスクールが今日また略奪にあったのだ。
ピアノを運び出すため、壁に大きな穴まであけられて。
だが、残念ながら大使館の職員は間に合わず、現場を押さえられなかった。
ふたたび大使館が置かれた以上、日本軍がよもやこんな恥さらしなことを
やらかすとは思っていなかったのだ。
どうやって事務所を閉鎖したらいいのだろう。私は頭をかかえてしまった。
中国本社から 「事務所をたたむように!」 という電報が届いた。
荷造りしようにも木箱が手に入らない。
木箱をつくる職人もいないし、運送業者もいない。
どうやって荷造りすればよいのだろう?
そうかといって一切合切このまま置いていくわけにはいかない。
ということは、なくなるということだからだ。
私が引き揚げたら、上海に行ってしまったら、家屋敷はどうなってしまうのだろう?
たぶん日本政府は私に旅券を出してくれるだろう。
いやそれどころか、私を厄介払いできて、せいせいするのではないだろうか。
だが、ここにいる六百五十人の難民はどうなる?
血のにじむような苦労をしたあげく、こんなに厳しい結末を迎えようとは!》
* 「アメリカンスクールが今日また略奪にあったのだ。
ピアノを運び出すため、壁に大きな穴まであけられて。」
日本軍がこんなもの盗んで何になる。必要なら 「貸せ」 と言えば済む。
もう20年も前になるが、福岡市天神の新店町の宝石店に
中国人窃盗団が壁を破って侵入し、宝石を盗む事件があった。
それまで、日本では、壁を破って入る窃盗などなかったから、非常な驚きだった。
以後、こういう荒っぽい窃盗がふえ、珍しくもなくなったが。
第16師団はまもなく移動するから、ピアノを盗んでも意味がない。
天谷支隊は、来たばかりで、南京の様子・地理がわからない。
だとしたら、犯人は中国人であろう。
壁に穴をあけてピアノを盗むなど、日本人のやり口ではない。
これは メッセージ 1389 (kireigotowadame さん)への返信です.