第二次南京事件8 漢口5
投稿者: kireigotowadame 投稿日時: 2011/12/21 18:56 投稿番号: [1334 / 2250]
『もう一つの南京事件・日本人遭難者の記録』
田中秀雄編集・解説
芙蓉書房
86〜87p
《 南小路から平和街に出る角の理髪店の隣家の田村氏の宅では、産後まもなく
身を病床に横たえていた妻女が、暴徒の襲来と聞いて気絶してしまった。
主人は二階にいたが暴徒に支えられて降れない。
理髪店の城谷氏は変を聞いて駆け付けるところを暴徒に捉われ、
かろうじて本願寺の土塀を乗り越えて免れたが、残された病女は暴徒のために
蒲団を剥がれ足蹴にされた上に、醜い死骸となってそこに遺棄された。
同じ家並みの愛知亭では、妊娠五ケ月の妻女が暴徒のために二階から引きずり降され、
散々に殴打されて数ケ所の負傷に血まみれになって仆れていたのを、
おりから暴徒の包囲から遁れてきた隣家の一心堂主人に助けられた。
その次の花井洋行は事変勃発後直ぐに戸を閉ざし、家内中が二階に隠れたと
ほとんど同時に凶器を以って表戸を毀つ音がする。 続いて商店棚や商品の
毀される音、大勢の罵り騒ぐ声がして二階にまで押し寄する気配がしたが、
階段の仕切戸が固かったために断念したのか音もしないようになった。
と思うまもなく盛んに煙が漏れてくる。火を放けたなと思うが如何ともしようなし。
そのうちに隣の愛知亭では女の悲鳴が聞こえる。
一同生きた心地もなく、息を潜めていると、南小路の方面に銃声が起こり、
ドッという喊声とともに暴民が引き上げる様子、続いて店内を荒らしていた
一団も逃げ出したので始めて階下に下り、水道をあけて火を消し
皆で裏口から逃れて水兵に収容された。
この前後に本願寺に逃げ込んだ七八人の一団は、一室にこもって
内から戸を押えていると跡を追うて来た暴徒に苦もなく破られる。
次の室に退くとまた戸を破られる。こうして室から室を逃げ廻り
最後に隣家の薄暗い一室に隠れ、椅子卓子などを積み上げて入口を防ぎ、
本願寺の住持の最後の称名に一同覚悟を定めていたが、
支那人ボーイが機転でこの室には病人がいると言うたので
暴徒もそのまま立ち去った様子に始めて蘇生の思いをした。
顔見合した一同の頬には自ずから熱涙が伝うたという。
僅々二十分くらいの間にこれだけの凶暴を働いた群衆は、
勢いに乗じてまたもや南小路になだれ込み掠奪にかかった。
そこには雑貨店、呉服屋、食料品店、貴金属店などが軒を連ねている。
暴徒としては見逃せないところだ。各戸の運命は風前の灯火と迫った。
危機まさに間一髪、ドドドッと音立てて打ち放された機関銃の弾は、
猛り狂う暴徒の前面に火花を散らして四散した。
急を聞いて駆け付けた陸戦隊が、南小路の四辻近くに機関銃を据え付け
最後の処置を断行したのである。》
つづく
これは メッセージ 1332 (kireigotowadame さん)への返信です.
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