対イラク武力行使

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(横)イラク戦争の法的評価>スカイさん

投稿者: silverlining430 投稿日時: 2005/07/03 00:08 投稿番号: [74197 / 118550]
もうだいぶ前にお話したことでもありますし、カカシさんは国際法学者の意見には全く関心がないことも確認済みですので、詳細な議論は省きますが、一応、「対イラク武力行使の法的評価についての専門家の意見はどうなっているのか」ということについて。

>専門家の意見がバラバラなんてのは当たり前の話であって…

という現状ではなく、世界中の国際法学者の9割以上の大多数が、米英の対イラク武力行使は「違法である」との認識で一致しています。僕は国際法学者とはいろいろ親交があるのですが、彼らと意見を交換する中で感じることは、おそらくあの武力行使を合法だと判断している国際法専門家は、1割もいないだろうということです。

対イラク武力行使をめぐる米英の法的根拠の説明は、自衛権でも、先制攻撃(は法概念化されている言葉ではありませんが。既存の法概念でいうとしたら先決的自衛権くらいしか適当な言葉はない)でもなく、「国連憲章第7章に基づく国連安保理決議により授権(authorize)されたもの」――ということに、公式にはなっています。

上を法理論として精緻化させた人物が英国司法長官のゴールドスミス卿。クウェートとイラクとの停戦合意条件の一つとして安保理決議687で掲げられていたWMDの廃棄義務のイラク側の履行が不十分である場合、停戦合意は破綻し、クウェート侵攻に対する軍事的措置を国連加盟国に容認した安保理決議678の有効性が復活する――というのが彼の理屈です。

彼の理屈により、大量破壊兵器の廃棄をめぐる国連査察への協力義務を求めた安保理決議1441の不履行=決議687の停戦合意条件の破綻→武力行使容認決議678の有効性復活――という対イラク武力行使の法的根拠を安保理決議に置く法理が完成されます。

BBCがイラク戦争開戦のずいぶん前から、ゴールドスミス卿がブレア政権に入れ知恵していたとする政権批判的な報道を最近していましたが、これは別にスクープでもなんでもなく、1998年に国連査察団のイラクからの撤退を受け行われた米英のイラク空爆も、ゴールドスミス卿の理屈をもとに実施されました。

ゴールドスミス卿の理屈は米政府にも踏襲され、ブッシュ大統領がフセインに48時間以内の亡命を迫る演説で、武力行使に及ぶ場合は、安保理決議678と687は依然有効――still be alive――であり、決議に則った正当なものとして攻撃を実施すると述べています。

それではこのゴールドスミス卿の法理は法理としての妥当性が本当に認められのか?――この点をめぐり、国際法学者によるディベートが実施され、そのディベートにより導き出された帰結を国際法学の権威であるオックスフォード大教授のVaughan Loweがジャッジするということが行われました。

ここでのLowe教授の判断が、決議678と687の有効性を認める法理は受け入れられず、対イラク武力行使は違法である――というものです。そしてこのLowe教授の判断が、国際法学者の間で広く共有されるということになりました。

詳しくは以下をどうぞ。
http://www.inlap.freeuk.com/legal.htm
http://66.102.7.104/search?q=cache:WtM9kvkBrycJ:www.greenpea ce.or.jp/info/features/nowar/positionon687+Vaughan+Lowe+iraq&hl=ja

基本的に対テロ戦略の一環として出される政策は、国際法的に見ると新機軸なものが多く、政策に法的正当性も持たせたいのであれば、時代遅れな側面もある既存の国際法規範を改変し、整備し直す必要がありますが、この努力に米国は怠慢であるため、対イラク武力行使は法的観点から見た各国も納得のいく普遍的な原理原則などは存在せず、あくまで政策上のアド・ホックな対応であるとの判断が妥当だと思います。
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