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夏目漱石

投稿者: urbannet2 投稿日時: 2004/12/18 01:45 投稿番号: [59885 / 118550]
  むろん貴兄はよくごぞんじのことですが、横レス。

  文学史の方面で言えば、夏目漱石は、生粋の東京人の話し言葉を土台として、それ以後の文学における日本語の基礎を築いたとされています。
  この点にかんしては、文学専門家の間でもほとんど異論はないとおもわれます。

  森鴎外は山陰の生まれで、本来の言葉は方言でしたので、かれが書いた作品における日本語標準語はなんとなく人工的です。
  それは鴎外作品の会話を読めば一目瞭然です。
  むろんその人工性が文学においては長所でもあり、後続の作家に影響をあたえたことは言うにかたくありません。永井荷風などは鴎外の人工性に影響を深く受けているといわれます。

  しかし産まれながらの東京人であった漱石は、自分の血肉でもある東京人の話し言葉をもとに、苦心惨憺して口語の文学の言葉をつくりあげました。

  だがそれは普通の人の日常会話とはおそらくかけはなれたものであったことは、漱石の作品の女性のせりふを読めばわかります。(漱石の作品の女性は、ほとんどみな、ある程度のインテリに設定されている)
  漱石の生きた明治大正時代の東京のインテリ女性は、あのように会話をしたわけではありません。
  当時の女性はたとえ東京のインテリであろうが、もっと寡黙であり、あのように饒舌に理屈っぽく会話はしなかったということが指摘されています。

  つまり漱石は、みずからの作品の女性の会話に、漱石が深く学んだ十九世紀英国文学の女性の会話をじかに移入したのです。
  漱石の作品の女性は、一九世紀英国文学の女性と同様の会話をしているのです。

  それは女性だけではなく、男性にかんしてもいえます。

  漱石にかんして、日本語だけの文脈で語るのはまちがいです。
  漱石はおそらく、日本語と同等に、英語の影響を受けて作品を創造したのです。
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