対イラク武力行使

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国際法<続き①>

投稿者: silverlining430 投稿日時: 2004/05/30 23:20 投稿番号: [41653 / 118550]
戦時国際法は、大きく2つに別れますね。
一つはjus ad bellum(開戦法規)で、もう一つはjus in bello(交戦法規)です。

つまり国家は、武力行使をするに当たって、「開戦法規」と「交戦法規」の2つのハードルをクリアしなければならないのですよ。

開戦法規は、行われた武力行使に正当な理由があるかどうかを判断するための規範です。大雑把に言うと、武力行使は「自衛権の行使」もしくは「国連憲章7章に基づく軍事的措置」であるかどうかを判断するための基準であると言えます。

で、いざ武力行使が「自衛権の行使」または「憲章7章の軍事的措置」であり、正当なものと判断されてしまえば、後は好き放題、何をやっても許されるということにはなりませんよ、ということで交戦法規が登場するわけです。主にジュネーブ条約に代表される国際人道法上の規範の制約が紛争当事者に課せられることになり、軍事目標主義や戦闘員と非戦闘員の差別化、文民・一般住民の保護、不必要で過度な苦痛を与える兵器の使用の禁止などに十分配慮し、戦闘行為を行わなければなりません。

アセアンさんが話題に挙げている「戦数」は、主に交戦法規上の話で、いったんドンパチが起こった後、過剰な害敵手段などが見られた場合、それを「戦数」で正当化してよいのかどうかという問題ですね。

国際人道法の法整備が進む中で、「戦数」による害敵手段・方法の正当化は禁じられましたので、過剰攻撃や一般住民を巻き込むような戦い方を「戦数」の理屈で説明した瞬間、武力行使の交戦法規における正当性は破綻するのですが…。イラクでは米軍、反米武装勢力の双方とも、人道法上の配慮義務が果たせていない事態が見られるため、両方とも多くの穏健的なイラク人から嫌われてしまっているな、というのが僕の印象です。まっ、このトピでよく話題になっていることですね。

むしろ、アフガンに対する武力行使とイラクに対する武力行使を正当化するのにムリが生じるのは、開戦法規での話だと思います。僕が接した国際法学者で異論を唱えなかった人は、ほとんどいませんでしたし。アフガンはまだ、比較的広範な国際的コンセンサスを得られましたが、イラクに対する武力行使については、これを正当なものであると認識する国際法学者は、おそらく1割もいませんね。

アフガンの場合もイラクの場合も、「既存の国際法の枠組みで武力行使を正当化するのはムリがあるだろう」という自明の理が安保理諸国をはじめ、すべての国連加盟国にも共有されていたことだったのですが、ブッシュ演説で聞かれたような突飛な法理論を目の当たりにし、既存の枠組みによる法理論をぶつけてみても、米国の理屈と全く噛み合わないという事態になってしまって、「さぁどうする!?」と国連も加盟国も路頭に迷っているのが今の現状なのだと思います。
(続く)
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