対イラク武力行使

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汚れた弾丸−(5)

投稿者: need2003jp 投稿日時: 2003/11/20 13:54 投稿番号: [27774 / 118550]
  さて、場面は、2003年6月に戻ります。劣化ウラン弾の悲惨な状況を聞いた私(三枝義浩)は、森住さんにあることを尋ねた。
  「教えてください。劣化ウラン弾とは何ですか!?何年もたって、なぜそこまでひどい状況になっているのですか!?」
  森住さんは、淡々と語り始めた。
  「原発の燃料や核兵器を作るには、濃縮という操作を行って、ウラン235の割合を増やさねばならない。その際、残りかすとして出る物質を劣化ウランというのだ」
  原子力が開発されて半世紀、地球上で生産された劣化ウランはざっと110万トン。その内訳は、アメリカ47万トン、ロシア43万トン、フランス13.5万トン、日本2600トン。
  これら放射性廃棄物は、厳重に管理・保管しなければならないが、そのためには莫大な費用がかかる。
  一方で、アメリカの軍需産業は、劣化ウランを何かにできないかと、1970年代から研究を始めた。
  ウランは、自然界に存在する物質の中で、比重が最も重く、鉛の1.7倍もある。この重くて固いという性質に目をつけた彼らは、劣化ウランを戦車の装甲や砲弾に使うことを考えた。
  「誰もが保管に悩ませている物だから材料費はかからないし、兵器として消費し、他人の土地に捨ててしまえば、保管の手間も省けるしね・・・」
  「そ・・・そんな」
  森住さんの話に、私はただ唖然とするしかなかった。
  戦車や飛行機から発射された劣化ウラン弾は、戦車に命中すると分厚い装甲を貫通し、摩擦熱で一気に乗員を焼き尽くす。
  「しかし、ここからが問題なのだ」
  森住さんは、深刻な表情になった。
  「燃焼の際、エアロゾル(煙霧状)化し放射性ウランは、気流に乗って広範囲に拡散してしまう。人体内に取り込まれれば、排出するのはきわめて難しい。ガンマー線やベータ線、アルファー線などの放射能は、細胞の核に傷をつけ、遺伝子情報に働きかけ、何世代もわたって影響を及ぼしつづける。それが、ガン・白血病、肝機能障害、腎臓障害、腫瘍、先天的な障害児の出産などを引き起こす原因となるんだ!!」
  聞いている私たちは、言葉すら出ない状況であった。
  「米陸軍環境政策局によれば、湾岸戦争で消費された劣化ウラン弾の総使用量は、300t〜800tに上ると言われている。それは、広島に落とされた原爆の14000倍〜36000倍の放射能が、ペルシャ湾岸にばら撒かれたことになる湾岸戦争前1988年のバスラ市内のガンによる死亡者数は34人。戦後の96年には219人、2000年には586人に達した。このがん患者の爆発的増加は、劣化ウラン弾によるものとしか考えられない。しかも、放射能の半減期は45億年。つまり、半永久的に彼らは苦しめられるんだ」
  私たちはショックで、何も言葉が浮かばなかった。森住さんは、表情を和らげた。
  「ちょうど今の君たちと同じだよ私も・・・いや、それ以上のショックだった。白血病の急増と、ガンとの因果関係は、想像していたとおりだったけど、」子ども達の苦しみは想像をはるかに越えていた。」
  「そんな危険な物と分かっているのに、なぜ劣化ウラン弾を使いつづけるんだ」
  私の疑問に、スタッフの1人が答えた。
  「戦争に勝つためだよ。実際に湾岸戦争では、故障で動けなくなった1台の米軍戦車が、3台のイラク軍戦車に取り囲まれて攻撃されたが、劣化ウラン弾の固い装甲で砲弾をはね返し、逆に劣化ウラン弾に反撃。ほ塁に逃げた戦車を、ほ塁ごと打撃ち抜いて撃退したそうだ」
  スタッフの言葉に、森住さんは付け加えるように言った。
  「アメリカのある戦略家は、こういったそうだよ。劣化ウラン弾の出現は、戦争の形態を一変させてしまった。いまや第三世界の既存の兵器は、スクラップになったと・・・」
  「そんな・・・」
  「馬鹿げている・・・」
  私たちは、森住さんの話に、唖然とするしかなかった。
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