ケネス・キノネス氏の見解−(3)
投稿者: need2003jp 投稿日時: 2003/11/06 16:40 投稿番号: [27518 / 118550]
あのケネス・キノネス氏が、お久しぶりに、今回のイラク戦争を軸に、アメリカの外交姿勢に、ちょっとした注文をつけている。米国通の案山子さんには、是非とも読んで欲しい文献なので・・・
<記事全文>
2001年9月11日に、米国のニューヨークと首都ワシントンを襲った米中枢同時テロで衝撃を受けた国際社会は、かつてないほどの協調体勢を見せた。友好国もかつての敵国も、米国と共に団結し、テロに対する世界規模の戦争を一致して宣言した。しかし、アフガニスタンでイスラム原理主義のタリバン政権と、その盟友であるテロ組織のアルカイダが崩壊すると、ブッシュ米政権は、「積極的なユニラテラリズム(一方的外交)」に逆戻りしてしまった。
(1)世界を3つに分断
ブッシュ大統領の「悪の枢軸」宣言は、北朝鮮とイラク、イラン3カ国の大量破壊兵器の廃棄を目指す国際社会の努力と、対テロ戦争を関連づけた。国際社会は、両者の関連づけに反発した。だが、国内での政治的な支持に自信を深めていた大統領は、米国外での支持を過大評価した。
大統領は、国際的な批判を無視し、イラクのサダム・フセイン政権を破壊するための計画を推し進めた。大統領は計画推進の過程で、国連と国際原子力機関(IAEA)を「役立たず」と呼んで軽視し、米国同盟国であるフランスやドイツを侮辱した。イラクに侵攻した米主導の「連合軍」に参加したのは、英国だけだった。
大統領はこの時点で、国際社会を米国、広範囲な国際社会、そしてテロリストの三つに分断してしまった。
以来、積極的な一方的外交を目指す大統領は、永続的な利益を獲得できないでいる。アルカイダによる世界規模のテロや、北朝鮮の大量破壊兵器開発は、弱体化することなく続いている。
「力こそ正義」という大統領の戦略は、暴力的な報復の連鎖を招いた。米国によるイラク侵攻と占領は、米国に対するアラブ諸国の不信感を増幅させ、米国に反対する人々に対するアラブ民衆の支持を拡大させた。
一方で、国連を中心とし、フランスとロシア、ドイツが主導する国際社会の主流派は、米国とイスラム教徒との間で続く報復の連鎖を断ち切ることを目指し、大統領の敵対的な戦略を修正しようとしている。
(2)教訓から学べ
大統領の一方的な外交と、大量破壊兵器に対処するための「先制拡散防止戦略」は、東アジアと東南アジア地域において、各国政府の米国に対する賛否両論のアンビバレンス(両面価値)と、一般民衆の対米批判を激化させる結果となった。大統領は先のアジア歴訪で、こうした結果に直面した。
大統領は対テロ戦争やイラク復興への努力、そして北朝鮮に対応するための戦略に対する指示拡大を期待してアジアに赴いた。米国のコンドリーザ・ライス国家安全保障問題担当補佐官によれば、大統領はアジア諸国がイラク復興に向けた財政支援で、「寛大さを示す」ことを望んでいた。
しかし、大統領の一連の要請を待っていたのは「丁寧な留保」だった。ホワイトハウス当局者たちは日本がイラク復興で60億ドル(約6500億円)を拠出するかもしれないと期待していた。実際に日本が出したのは、15億ドルにすぎなかった。アジア地域で米国と最も緊密な同盟国である日本も韓国も、イラク駐留米軍支援のために数百人程度の部隊派遣しか約束しなかった。
北朝鮮は一方で、防衛のためには核兵器が必要だとする大統領の言質と戦略を、北朝鮮の核開発の正当化に利用しようとした。東南アジアではイスラム穏健派の指導者たちが、テロリストとイスラム教徒を同一視しないよう、大統領に警告した。大統領はオーストラリア国会で演説した際、痛烈なヤジを浴びた。
大統領は、こうした東アジアと東南アジアの人々の意見をしっかりと聞き、教訓を学んだであろうことを望む。
大統領の一方的外交は、何よりも逆効果に終わった。一方的外交は、米国と国際社会の主流派の間で摩擦を生んだ。大統領の指導力に追従することのためらいは、単なる反米主義として片付けるべきでない。全く違う。
アジアの人々は欧州や中東と同様、テロや大量破壊兵器の拡散には反対していることを米国の指導者に訴えている。ただアジアや欧州、中東各国は、こうした世界の問題に対処する際、多国間の国際協調を望んでいるのだ。(続き)
<記事全文>
2001年9月11日に、米国のニューヨークと首都ワシントンを襲った米中枢同時テロで衝撃を受けた国際社会は、かつてないほどの協調体勢を見せた。友好国もかつての敵国も、米国と共に団結し、テロに対する世界規模の戦争を一致して宣言した。しかし、アフガニスタンでイスラム原理主義のタリバン政権と、その盟友であるテロ組織のアルカイダが崩壊すると、ブッシュ米政権は、「積極的なユニラテラリズム(一方的外交)」に逆戻りしてしまった。
(1)世界を3つに分断
ブッシュ大統領の「悪の枢軸」宣言は、北朝鮮とイラク、イラン3カ国の大量破壊兵器の廃棄を目指す国際社会の努力と、対テロ戦争を関連づけた。国際社会は、両者の関連づけに反発した。だが、国内での政治的な支持に自信を深めていた大統領は、米国外での支持を過大評価した。
大統領は、国際的な批判を無視し、イラクのサダム・フセイン政権を破壊するための計画を推し進めた。大統領は計画推進の過程で、国連と国際原子力機関(IAEA)を「役立たず」と呼んで軽視し、米国同盟国であるフランスやドイツを侮辱した。イラクに侵攻した米主導の「連合軍」に参加したのは、英国だけだった。
大統領はこの時点で、国際社会を米国、広範囲な国際社会、そしてテロリストの三つに分断してしまった。
以来、積極的な一方的外交を目指す大統領は、永続的な利益を獲得できないでいる。アルカイダによる世界規模のテロや、北朝鮮の大量破壊兵器開発は、弱体化することなく続いている。
「力こそ正義」という大統領の戦略は、暴力的な報復の連鎖を招いた。米国によるイラク侵攻と占領は、米国に対するアラブ諸国の不信感を増幅させ、米国に反対する人々に対するアラブ民衆の支持を拡大させた。
一方で、国連を中心とし、フランスとロシア、ドイツが主導する国際社会の主流派は、米国とイスラム教徒との間で続く報復の連鎖を断ち切ることを目指し、大統領の敵対的な戦略を修正しようとしている。
(2)教訓から学べ
大統領の一方的な外交と、大量破壊兵器に対処するための「先制拡散防止戦略」は、東アジアと東南アジア地域において、各国政府の米国に対する賛否両論のアンビバレンス(両面価値)と、一般民衆の対米批判を激化させる結果となった。大統領は先のアジア歴訪で、こうした結果に直面した。
大統領は対テロ戦争やイラク復興への努力、そして北朝鮮に対応するための戦略に対する指示拡大を期待してアジアに赴いた。米国のコンドリーザ・ライス国家安全保障問題担当補佐官によれば、大統領はアジア諸国がイラク復興に向けた財政支援で、「寛大さを示す」ことを望んでいた。
しかし、大統領の一連の要請を待っていたのは「丁寧な留保」だった。ホワイトハウス当局者たちは日本がイラク復興で60億ドル(約6500億円)を拠出するかもしれないと期待していた。実際に日本が出したのは、15億ドルにすぎなかった。アジア地域で米国と最も緊密な同盟国である日本も韓国も、イラク駐留米軍支援のために数百人程度の部隊派遣しか約束しなかった。
北朝鮮は一方で、防衛のためには核兵器が必要だとする大統領の言質と戦略を、北朝鮮の核開発の正当化に利用しようとした。東南アジアではイスラム穏健派の指導者たちが、テロリストとイスラム教徒を同一視しないよう、大統領に警告した。大統領はオーストラリア国会で演説した際、痛烈なヤジを浴びた。
大統領は、こうした東アジアと東南アジアの人々の意見をしっかりと聞き、教訓を学んだであろうことを望む。
大統領の一方的外交は、何よりも逆効果に終わった。一方的外交は、米国と国際社会の主流派の間で摩擦を生んだ。大統領の指導力に追従することのためらいは、単なる反米主義として片付けるべきでない。全く違う。
アジアの人々は欧州や中東と同様、テロや大量破壊兵器の拡散には反対していることを米国の指導者に訴えている。ただアジアや欧州、中東各国は、こうした世界の問題に対処する際、多国間の国際協調を望んでいるのだ。(続き)
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/552019567/bpa5a4a5ia5afipno9tbbh_1/27518.html