コリン・パウエルの苦悩(開戦前−2)
投稿者: need2003jp 投稿日時: 2003/09/17 14:54 投稿番号: [27150 / 118550]
「大統領、やはり外交努力を続けるべきです。一国の指導者たるもの、兵士たちの命を、無駄にしてはいけません。彼らも人間です。今は、やる時機ではありません。」
パウエルの懇願に、ブッシュ大統領は、皮肉のこもった表情から一転、不快なものに変わった。
「いいかね、長官。君も軍人だったからわかるだろう。一旦、国家が決めたことに対して、軍人はその命に従わなければならないんだ。今回の戦争は、われわれが長年敵としている、サダム・フセインを血祭りに上げるだけでなく、イラクの石油利権にも絡める絶好のチャンスなんだ。」
パウエルは、唇をかみ締めて、黙って聞いていた。
「それに、長官は、国連、国連というが、我々アメリカにとって、国連なんて大したものではない、むしろ、邪魔な存在に過ぎないんだ。第一、国連の連中が、どうこう言っても、それがどうしたというのだ?彼らに一体、何ができるというのか?今回の戦争は、我々単独でもやってみせる。アメリカが世界一だということを、国際社会に見せ付けてやる。」
時には勝ち誇った表情で、饒舌に語るブッシュ大統領。それは、パウエルに対して、暗に戦争支持を迫ったものであった。
「わかりました。」
しばらく黙り込んでいたパウエルは、観念するしかなかった。この国の国家元首は、大統領である。大統領がこういったことに対しては、誰も逆らうことはできない。それは、この大統領を選んだ国民を以ってしても、不可能なのだ。
勝ち誇った大統領の表情を見て、パウエルは失望感を抱いた。それは、戦争という有事にもかかわらず、現場出身者である、自分の意見を微塵にも傾けない、ブッシュ大統領の姿勢であった。
これは メッセージ 27148 (need2003jp さん)への返信です.
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