対イラク武力行使

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コリン・パウエルの苦悩(開戦前−1)

投稿者: need2003jp 投稿日時: 2003/09/17 14:41 投稿番号: [27148 / 118550]
  3月某日、ワシントンの某所にて、2人の男による、非公式の会談が開かれた。2人の男とは、ブッシュ大統領とコリン・パウエル国務長官である。
  会談のテーマは、近く起こりうるとされている、イラク戦争であった。2人は今、この問題で大きく対立していた。
  ラムズフェルド国防長官やウルフォウィッツ国防副長官は、大の戦争推進派で、「断固として、イラクを叩くべし」と、イラク攻撃に積極的な姿勢を見せた。チェィニー副大統領も、ラムズフェルドらの意見を支持していた。
  これに対して、「イラク攻撃は、時期尚早だ」と述べるのは、パウエル国務長官やアーミテージ国務副長官だった。彼らは、穏健派と位置付けられるが、パウエル自身は、戦争そのものに対してではなく、その時期・手法に反論を唱えていたのである。
  「さて、イラク攻撃の件だが・・・」
  会談の席につくと、ブッシュ大統領が早速切り出した。パウエルは、それを遮り、きっぱりと言い切った。
  「大統領、今はやるべき時機ではありません。もしおやりになるのなら、国連決議を踏まえてから・・・」
  「くどいぞ、長官。」
  ブッシュ大統領は、苦虫をつぶした表情になった。それは、国連内で、イラク攻撃の根回しがうまくいっていないという証であった。
  事実、国連では、今回のイラク攻撃に対して、フランス・ドイツなとが、真っ向から反対していた。加えて、国連決議1441後の査察継続について、中間6カ国(アンゴラ・チリ・カメルーン・メキシコ・パキスタン・ギニア)は、イラク攻撃に反対の姿勢を見せた。これらの6カ国は、経済的にも問題を抱えていて、先進国の支援を受けないと厳しい状況に立たされる。それでも、彼らは反対しているのだ。
  「単独でも、イラク攻撃を行うおつもりですか?」
  パウエルは、大統領に詰め寄った。ブッシュ大統領は、当然といわんばかりの表情を見せた。
  「当然だ。そのために、ペンタゴン(国防総省)の優秀なブレーンたちが、長きにわたって、イラク攻撃の提案書を作成したんだぞ。」
  ペンタゴンの名を聞くたびに、パウエルの中で、わだかまりに近い怒りが沸き起こった。当然だろう。ペンタゴンの連中が説く戦争は、ハイテク兵器を駆使した、デジタル的なリモコン戦争なのだ。しかも、その裏には、経費削減という、目先の効率重視の姿勢が見え隠れする。
  だが、現場出身のパウエルは違った。戦争とは、そもそもアナログ的な行為である。しかも、イラクは広大な陸地が続いているから、大規模な陸軍を投入しなければ、短期で終わるものではない。なのに、現場を知らない、ペンタゴンの連中は、ハイテク兵器を駆使すれば、戦争は2週間前後で決着がつくと、大言を吐いているのだ。
  「いかにも、頭だけで戦争を考える輩が、思いつくような案だな。」
  パウエルは、内心、ペンタゴンの案を皮肉っていた。
  「納得していないようだな。」
  ブッシュ大統領は、皮肉のこもった視線を投げつけた。
  パウエルは、息を吐くと、半ば懇願するように、ブッシュ大統領に迫った。(続く)
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