イラク日本人襲撃事件

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心に残った追悼文より(3)

投稿者: take_the_rag_away 投稿日時: 2006/05/27 15:27 投稿番号: [1054 / 1062]
・・・橋田さんの秀逸な点は、あくまでも「真っ白」な視点から取材に入っていくことであった。バグダッド陥落のときそこにいて米英軍を見ていた彼は、その戦争に加担する自衛隊派遣に反対していた。しかし、サマワに行って隊員たちが砂嵐の中で活動しているさまを見ると「えらいなあ。頑張っているなあ。尊いなあ」と頷くのである。

  橋田さんの作品はいつも揺らいでいて、その揺らぎの中からふわりとある視点に着地するのであった。それはいいかげんということではない。よほどの経験と自信がなければできないことなのだ。

  本来ジャーナリズムというのはそういうものではなかったか。それが、限られた時間に「結果」と「数字」を出すために大手メディアはまず「ストーリー」を作って取材に出かけ、全てをその枠の中に当てはめようとするようになっているではないか。いや大手だけではないイラクをうろうろして人質になったりしている「ジャーナリスト」の皆さんの中には、古くさいイデオロギーから持ち出して憎悪や偏見で作り上げた物語に現場を押し込むことに汲々としている人も多いように私には見受けられるのである。

  橋田さんはそのどちらにも属さない人であった。だからこそあるいはその両方のまんなかに開いていた陥穽に落ち込み、自らの魂の自由に殉じたのである。


勝谷誠彦 氏「イラク生残記」
<序章> より
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