Re: 京都議定書の経緯について(四)
投稿者: tokyo_made_otearai_benki 投稿日時: 2007/10/23 12:23 投稿番号: [63534 / 66577]
懐疑論の傾向
地球温暖化や京都議定書の在り方については、今なお懐疑論(疑問視する意見)が展開されることも少なくないが、その傾向はいくつかに絞られており、概ね否定できるもの、または信頼性に乏しいと考えられているものである。
また、京都議定書についてはその成立過程を批判するものがある。たとえば基準年を1990年に設定したのはロシアの批准を促すことなどにも配慮されたという国際政治の現場にありがちな話を指摘する向きや、「産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた日本が6%もの高水準を求められている」といった論調により、「この議定書が締結・発効に至る過程で政治的に歪められている」とする意見が散見される。
しかしながら、仮に日本が「産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた」としても、 人口一人あたりの化石燃料由来温室効果ガスの排出量が高いことに変わりはない。一方京都議定書策定以前から技術のみに依存するのではなく化石燃料を使わない方法で化石燃料由来排出量を減らしてきた北欧諸国などは京都議定書の目標値が緩く設定されており、例えばスウェーデンは +4%が認められているなど、具体的な成果を挙げている国については相応の評価がされている。
主な懐疑論とその問題点を以下に示す。
* 1960年以降2005年まで南極地域の10年平均気温はマイナス49.1℃からマイナス49.7℃に「長期低下傾向」が見られる(出所:NASA,GISS Web site,Surface Temperature Analysis)ことから南極大陸上の氷塊が溶け出し急激な海水面の上昇に繋がるような傾向を見出せていない。
→地球の平均気温とは点で測るものではないため、例え一点で下がっていても全てが下がっている訳ではない。また南極大陸の内陸部においては例え気温が数℃上がってもマイナスであるため、周辺部は解けても内陸部ではあまり解けないと考えられており、IPCCでもそれを見込んでいたが、最近ではその南極大陸ですら大規模な融雪が起きていることが観測され、事態は一層深刻に受け止められている。
* 仮に南極周囲の海水温が上昇した場合の大陸氷塊への影響についてIPCCの調査の平均的な予測の仮定をとった場合、「南極の周りの気温が高くなると、僅かだが海水面が下がる(南極氷塊に限れば-0.068cm/year;トータルでは+0.32cm/year:IPCC2001年第3次報告による)」と結論付けていること(ロジックとしては、南極周辺水域の水温上昇によって大陸氷塊にぶつかる水蒸気量が上昇した場合、それらは風向きによって大陸氷塊の上に氷雪として降り積もることが予測されている)。
→前記同様、こうした傾向も見込まれた上で気候変動モデルが構築され、報告が出されている。
* 欧州各国が反対する中、日本やカナダの主張により挿入された森林が二酸化炭素を吸収すると言うロジックには森林は成長→成熟→枯死の過程で最終的に森林内の動物や微生物を媒介とした炭素分解反応が生じることから、吸収され固定化された炭素は最終的に分解や火事等で二酸化炭素に戻るという観点が欠落しており、森林が拡大し続けない限り二酸化炭素吸収効果は認められない。また、国土の約3分の2を森林地帯で覆われた日本にとって国内で森林を新たに整備する余地は僅かである。
→これはその通りであり、日本やカナダなどの政治的な意図が過大に反映されたものであると推定されている。また、日本では森林を増やせていないことは先述の通りである。
* 本来、温暖化ガスの6%の削減のためには「エネルギー利用の効率化」と「1人当たり資源消費量の削減」を行う必要があるものの、日本はエネルギー利用の効率化を既に進めており(1人当たり資源消費量はアメリカの5分の1〜4分の1、環境先進国ドイツの約2分の1(World Resources Institute,The Weight of Nations 2000))、他方で1人当たり資源消費量は民生分野での自動車普及やエアコンの影響などにより増加傾向にあり、二酸化炭素排出量2010年見通しは1990年対比14%増とされている。したがって、日本が京都議定書を守るためには削減目標分6%分と合わせた20%相当分の削減のために排出権を購入する必要があり(なお、その対価は約2兆円とも言われる(2007年3月時点))、結果として日本は「効果の薄い京都議定書」と心中して「環境を金銭で買う」と非難されることになる懸念が高いこと(ロシアが最終的に京都議定書を批准した理由として、自国で使わない1990年比の排出権枠を発効時点の2005年2月時点で確実に2010年目標達成が見込まれない日本という優良債権国が出てきたため、売りたいとの政治的意図があると言われる)。
地球温暖化や京都議定書の在り方については、今なお懐疑論(疑問視する意見)が展開されることも少なくないが、その傾向はいくつかに絞られており、概ね否定できるもの、または信頼性に乏しいと考えられているものである。
また、京都議定書についてはその成立過程を批判するものがある。たとえば基準年を1990年に設定したのはロシアの批准を促すことなどにも配慮されたという国際政治の現場にありがちな話を指摘する向きや、「産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた日本が6%もの高水準を求められている」といった論調により、「この議定書が締結・発効に至る過程で政治的に歪められている」とする意見が散見される。
しかしながら、仮に日本が「産業界を中心に世界有数の環境対策を施してきた」としても、 人口一人あたりの化石燃料由来温室効果ガスの排出量が高いことに変わりはない。一方京都議定書策定以前から技術のみに依存するのではなく化石燃料を使わない方法で化石燃料由来排出量を減らしてきた北欧諸国などは京都議定書の目標値が緩く設定されており、例えばスウェーデンは +4%が認められているなど、具体的な成果を挙げている国については相応の評価がされている。
主な懐疑論とその問題点を以下に示す。
* 1960年以降2005年まで南極地域の10年平均気温はマイナス49.1℃からマイナス49.7℃に「長期低下傾向」が見られる(出所:NASA,GISS Web site,Surface Temperature Analysis)ことから南極大陸上の氷塊が溶け出し急激な海水面の上昇に繋がるような傾向を見出せていない。
→地球の平均気温とは点で測るものではないため、例え一点で下がっていても全てが下がっている訳ではない。また南極大陸の内陸部においては例え気温が数℃上がってもマイナスであるため、周辺部は解けても内陸部ではあまり解けないと考えられており、IPCCでもそれを見込んでいたが、最近ではその南極大陸ですら大規模な融雪が起きていることが観測され、事態は一層深刻に受け止められている。
* 仮に南極周囲の海水温が上昇した場合の大陸氷塊への影響についてIPCCの調査の平均的な予測の仮定をとった場合、「南極の周りの気温が高くなると、僅かだが海水面が下がる(南極氷塊に限れば-0.068cm/year;トータルでは+0.32cm/year:IPCC2001年第3次報告による)」と結論付けていること(ロジックとしては、南極周辺水域の水温上昇によって大陸氷塊にぶつかる水蒸気量が上昇した場合、それらは風向きによって大陸氷塊の上に氷雪として降り積もることが予測されている)。
→前記同様、こうした傾向も見込まれた上で気候変動モデルが構築され、報告が出されている。
* 欧州各国が反対する中、日本やカナダの主張により挿入された森林が二酸化炭素を吸収すると言うロジックには森林は成長→成熟→枯死の過程で最終的に森林内の動物や微生物を媒介とした炭素分解反応が生じることから、吸収され固定化された炭素は最終的に分解や火事等で二酸化炭素に戻るという観点が欠落しており、森林が拡大し続けない限り二酸化炭素吸収効果は認められない。また、国土の約3分の2を森林地帯で覆われた日本にとって国内で森林を新たに整備する余地は僅かである。
→これはその通りであり、日本やカナダなどの政治的な意図が過大に反映されたものであると推定されている。また、日本では森林を増やせていないことは先述の通りである。
* 本来、温暖化ガスの6%の削減のためには「エネルギー利用の効率化」と「1人当たり資源消費量の削減」を行う必要があるものの、日本はエネルギー利用の効率化を既に進めており(1人当たり資源消費量はアメリカの5分の1〜4分の1、環境先進国ドイツの約2分の1(World Resources Institute,The Weight of Nations 2000))、他方で1人当たり資源消費量は民生分野での自動車普及やエアコンの影響などにより増加傾向にあり、二酸化炭素排出量2010年見通しは1990年対比14%増とされている。したがって、日本が京都議定書を守るためには削減目標分6%分と合わせた20%相当分の削減のために排出権を購入する必要があり(なお、その対価は約2兆円とも言われる(2007年3月時点))、結果として日本は「効果の薄い京都議定書」と心中して「環境を金銭で買う」と非難されることになる懸念が高いこと(ロシアが最終的に京都議定書を批准した理由として、自国で使わない1990年比の排出権枠を発効時点の2005年2月時点で確実に2010年目標達成が見込まれない日本という優良債権国が出てきたため、売りたいとの政治的意図があると言われる)。
これは メッセージ 63533 (tokyo_made_otearai_benki さん)への返信です.
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