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「不肖」について

投稿者: unhoo 投稿日時: 2004/12/26 12:28 投稿番号: [6802 / 16409]
「不肖」という漢語を日本では「愚かではありますが」という意味で、謙称として使う。「この仕事は不肖わたくしにお命じ下さい」というように。

戦前は組閣の大命を拝した人が新聞記者に「不肖近衛はこのたび組閣の大命を拝しました」と言っていたように記憶する。東條大将もそう言ったようだ。

ところが、現代の中国人は「不肖」を不道徳な者、悪質の者という意味で使ってっているので、謙称として使うことはない。今この文を書きながら、すぐ思い出せる例では、「不肖商人」はインチキ商人であって、愚かな商人ではない。「不肖之徒」は詐欺師のことで、愚かどころか、たいへん悪知恵のあるやつのことである。

不肖の語源は、『史記』あるいはもっと古い本から来ている。伝説上の古代の皇帝尭は帝位を不肖(親に似ない。肖=似)の息子に譲らずに、舜という賢人に譲った。そして舜も息子が不肖だったから、帝位を黄河治水に功を建てた禹に譲った・・・というのである。

ところで、尭や舜の息子はどのように親に似なかったかというと、日本の漢学の先生の解釈では「親は賢人だったが、息子は愚かだった」。ところが中国人の解釈では「親は聖人だったが、息子は悪人だった。聖人皇帝の息子が悪人だったとは言いにくいので、遠まわしに親に似なかったと言ったのだ」

このようなわけで、中国では「不肖」は悪いヤツという意味だから、謙称に使えない。
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