歴史の中の個人(2)
投稿者: lilasnosakukoro 投稿日時: 2004/03/19 22:44 投稿番号: [15257 / 44985]
『王のしるし』ローズマリ・サトクリフ(岩波書店)
(補足説明)
・以下の文章は、著者サトクリフの別の作品について、あとがきで述べられたものからの抜粋。作品『第九軍のワシ』は、古代ローマ時代を舞台とする
(本文)
『第九軍のワシ』の主人公マーカスは、負傷したため軍隊で出世する望みを失いますが、北の辺境で蛮族の手に奪われたローマ軍団の象徴の《ワシ》を奪いかえすことによって、父の名誉を挽回し、その指揮下にあった「第九軍」を再建する望みを抱いて、困難な冒険の旅に出ます。奴隷のエスカの協力を得て、マーカスは目的を達しますが、時すでに遅く、ローマは軍団の再建を望まなかったため、折角もちかえった《ワシ》は人の目にふれないようひそかに土中に埋められてしまいます。
マーカスの望みはこうして空しく挫折したわけですが、個人にとってはどんなに切実な問題であっても、歴史が形成されていく過程のなかに埋もれていしまうこともありうるのだという人生の冷厳な事実を知ったことによって、マーカスは人生と歴史のかかわりの真の姿を教えられ、精神的には大きく成長したのでした。
これは メッセージ 15255 (lilasnosakukoro さん)への返信です.
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