海の牧場をつくる鯨
投稿者: kabuyasontoku 投稿日時: 2010/02/21 00:21 投稿番号: [869 / 1416]
植物プランクトンが必要とする栄養塩は大陸棚に偏っており、特に暖流と寒流がぶつかる場所や南極・北極などには対流により深海の栄養塩が海面まで運ばれてくる。このような栄養塩が十分にあるところには植物プランクトンを一次生産者とする大きなバイオマスが形成される。しかし、このような海域の面積は僅かであり、大半は栄養塩が少なく魚が住めない海の砂漠になっている。
鯨は消化がさほど良くないため、小魚やオキアミなどの餌を大量に食べ、水分の多い未消化の糞を大量に排泄する。これらの糞にはタンパク質や脂肪が含まれるため、水より軽くプカプカと浮かんだまま広範囲に広がる性質を持つ。未消化の糞は動物プランクトンや小魚の餌となり、また糞は植物プランクトンに必要な栄養塩となって光合成を促進する。これは鯨が水平方向に栄養塩を運ぶ例だが、マッコウクジラは垂直方向へも栄養塩を運ぶ。すなわち、深海に住む生物を餌にすることで、一旦沈んだ栄養塩を海面まで引き上げている。これにより、大陸から遠く離れた海域にもマッコウクジラが深海から栄養塩を供給することで海のオアシスができている可能性がある。
人間が鯨を商業捕鯨として大量殺戮する以前は、鯨の糞の量が年間数十億トン程度あったと推測され、これは人類が年間に生産する化学肥料にほぼ匹敵するかそれ以上の栄養塩を含んでいる。特に糞に含まれる鉄イオンは、僅かな量で海の砂漠に大量の植物プランクトンを発生させる効果があることが知られており、泳ぎながらあちこちに排泄することで、鯨は、現在の漁場よりもずっと広い面積に、自身が餌とした量よりも遙かに多いバイオマスを形成させ、大量の海洋生物を支えていたと考えられる。なお、単純に鉄イオンだけを海洋に散布した場合も植物プランクトンを増やす効果を持つが、鯨と同列に議論すべきものではない。というのは、鯨の糞はさらに様々な栄養塩や栄養素を含んでいる、いわば有機肥料+飼料だからである。
鯨はこのように植物プランクトンの光合成を助け、動物プランクトンを増やし、そこに集まるイワシなどの稚魚に栄養豊富な餌を与えて生育を促しており、ここはいわば海の牧場である。この牧場によって小魚と鯨は共生関係を持つと考えられる。例えば、イワシなどは大群を作って行動するが、これはイワシを一網打尽に食べる鯨に都合の良い習性であることから、イワシはわざと鯨に食べてもらうことによって、上述したように総合的なバイオマスを増やし、結局はイワシ自身の数を増やすという戦略を取っていると見られる。このように考えると、イワシなどの小魚は陸地に近い大陸棚の豊富な栄養塩を鯨まで運ぶ一次運搬者であり、鯨はこれらの小魚の一部を食べて排泄することで栄養塩を広く分散させる二次運搬者といえる。このようにして、鯨のいる海域はイワシなどの小魚が必然的に豊富になる。
昔からペルー沖にいたイワシは非常に豊富で、大量に捕ってもほとんど減らないことが知られていたが、本格的に商業捕鯨が開始された時期を境にイワシが激減していった。これは、イワシの稚魚が大量にいたにも関わらず回復しないことから考えて、植物プランクトンのバイオマスが減った、すなわち鯨によるの栄養塩の分散が減ったためと推測される。世界における漁獲量の減少もその海域の鯨の減少とよく一致しており、日本で盛んにクジラ肉を缶詰にしていた頃、ニシンやサンマなどのバイオマスが日本近海から急速に消えていった。[7]
今後、鯨を増やせば漁獲高が増えるかといえば、ある程度の頭数が揃わなければ効果は薄いと考えられる。なぜなら、わずかな鯨による栄養塩の分散では、発生するプランクトンが少な過ぎてイワシなどの小魚が引き寄せられないからである。しかし、世界的な流れとして商業捕鯨が反対されているため、鯨が増えてきているのは確かである。もし、以前のように鯨が回復すれば、大量の栄養塩が海洋に広く分散されることになり、これによって発生する植物プランクトンが巨大なバイオマスとなって、漁獲量が飛躍的に増加するだけでなく、現在問題となっている二酸化炭素の大幅な低減が期待できる。なぜなら、二酸化炭素を軽減させる効果は、多くの研究者に反対されている鉄イオンを人工的に海洋散布する方法とは異なり、鯨は過去がすでにそうであったため安全性に問題がないからである。人類の将来は鯨の回復にかかっているのかも知れない。
鯨は消化がさほど良くないため、小魚やオキアミなどの餌を大量に食べ、水分の多い未消化の糞を大量に排泄する。これらの糞にはタンパク質や脂肪が含まれるため、水より軽くプカプカと浮かんだまま広範囲に広がる性質を持つ。未消化の糞は動物プランクトンや小魚の餌となり、また糞は植物プランクトンに必要な栄養塩となって光合成を促進する。これは鯨が水平方向に栄養塩を運ぶ例だが、マッコウクジラは垂直方向へも栄養塩を運ぶ。すなわち、深海に住む生物を餌にすることで、一旦沈んだ栄養塩を海面まで引き上げている。これにより、大陸から遠く離れた海域にもマッコウクジラが深海から栄養塩を供給することで海のオアシスができている可能性がある。
人間が鯨を商業捕鯨として大量殺戮する以前は、鯨の糞の量が年間数十億トン程度あったと推測され、これは人類が年間に生産する化学肥料にほぼ匹敵するかそれ以上の栄養塩を含んでいる。特に糞に含まれる鉄イオンは、僅かな量で海の砂漠に大量の植物プランクトンを発生させる効果があることが知られており、泳ぎながらあちこちに排泄することで、鯨は、現在の漁場よりもずっと広い面積に、自身が餌とした量よりも遙かに多いバイオマスを形成させ、大量の海洋生物を支えていたと考えられる。なお、単純に鉄イオンだけを海洋に散布した場合も植物プランクトンを増やす効果を持つが、鯨と同列に議論すべきものではない。というのは、鯨の糞はさらに様々な栄養塩や栄養素を含んでいる、いわば有機肥料+飼料だからである。
鯨はこのように植物プランクトンの光合成を助け、動物プランクトンを増やし、そこに集まるイワシなどの稚魚に栄養豊富な餌を与えて生育を促しており、ここはいわば海の牧場である。この牧場によって小魚と鯨は共生関係を持つと考えられる。例えば、イワシなどは大群を作って行動するが、これはイワシを一網打尽に食べる鯨に都合の良い習性であることから、イワシはわざと鯨に食べてもらうことによって、上述したように総合的なバイオマスを増やし、結局はイワシ自身の数を増やすという戦略を取っていると見られる。このように考えると、イワシなどの小魚は陸地に近い大陸棚の豊富な栄養塩を鯨まで運ぶ一次運搬者であり、鯨はこれらの小魚の一部を食べて排泄することで栄養塩を広く分散させる二次運搬者といえる。このようにして、鯨のいる海域はイワシなどの小魚が必然的に豊富になる。
昔からペルー沖にいたイワシは非常に豊富で、大量に捕ってもほとんど減らないことが知られていたが、本格的に商業捕鯨が開始された時期を境にイワシが激減していった。これは、イワシの稚魚が大量にいたにも関わらず回復しないことから考えて、植物プランクトンのバイオマスが減った、すなわち鯨によるの栄養塩の分散が減ったためと推測される。世界における漁獲量の減少もその海域の鯨の減少とよく一致しており、日本で盛んにクジラ肉を缶詰にしていた頃、ニシンやサンマなどのバイオマスが日本近海から急速に消えていった。[7]
今後、鯨を増やせば漁獲高が増えるかといえば、ある程度の頭数が揃わなければ効果は薄いと考えられる。なぜなら、わずかな鯨による栄養塩の分散では、発生するプランクトンが少な過ぎてイワシなどの小魚が引き寄せられないからである。しかし、世界的な流れとして商業捕鯨が反対されているため、鯨が増えてきているのは確かである。もし、以前のように鯨が回復すれば、大量の栄養塩が海洋に広く分散されることになり、これによって発生する植物プランクトンが巨大なバイオマスとなって、漁獲量が飛躍的に増加するだけでなく、現在問題となっている二酸化炭素の大幅な低減が期待できる。なぜなら、二酸化炭素を軽減させる効果は、多くの研究者に反対されている鉄イオンを人工的に海洋散布する方法とは異なり、鯨は過去がすでにそうであったため安全性に問題がないからである。人類の将来は鯨の回復にかかっているのかも知れない。
これは メッセージ 1 (y_news_topics さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/200001124/hbfja7dfcdbnaa5d9ffckdcaa5a4kbfafffe_1/869.html