紫陽花亭日乗

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提婆達多 ④

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/13 20:57 投稿番号: [81 / 735]
さて、シッタルタはかねてより念願の出家をはたした。

だが山折哲雄先生は、それは「出家」ではなく「家出」であるといわれる。

当時、インドにおいて大きな力を持っていたのはヒンドゥー教であった。
その教えにより、階級の差に応じて生活規範や義務が定められていた。
その中の一つに、
人生を四つのステージに分ける「四住期」という考え方があった。

第一の住期・・・学生期(ガクショウキ)。
師について勉学に励み、禁欲の生活をおくる。
第二の住期・・・家住期(カジュウキ)。結婚し子どもをつくる。
神々を祀り家業に励む。
第三の住期・・・林住期(リンジュウキ)。
人生の安定期に一時的に家を出て、望む生活をする。
第四の住期・・・遊行期(ユギョウキ)或いは「遁世期」ともいう。
特別な一握りの人間のためのもの。
この第四ステージに入った者は、もはや家族のもとには戻らない。


山折哲雄先生は、シッタルタの出城を、第四ステージではなく
第三ステージであると考えておられる。
その理由は、次にあげるラーフラ誕生の伝承の秘密を、
そうすることによって解き明かしたいがためのようだ。


中勘助の小説『提婆達多』では、
シッタルタはラーフラ誕生の七日後に城を出ている。
これも一つの伝承に基づくものである。

他にもバリエーションがある。
ラーフラ誕生の夜、というもの。
これは誕生の夜であろうが、七日後であろうが、これ自体は息子の誕生後に
家を出た、ということの本質にかわりはない。
(南方系仏教伝承)


問題は、シッタルタ出城後、六年を経過してラーフラが誕生したという
伝承である。
六年。即ち、シッタルタが六年の苦行を経て悟りを開いたその夜に、
ラーフラが誕生したというのだ。

シッタルタの出城の夜、ラーフラはヤショダラの胎内に入り、六年の間
ヤショダラの胎内にいて、シッタルタの大悟を待って誕生したという
のである。(北方系仏教伝承)


ここにラーフラ出生の秘密とシッタルタの家出をめぐる謎がある。

かねてより出家をして修業の道に入ることを希望していたシッタルタに
とって、ラーフラは己が愛欲の結果できた罪の子である。
そこに自己嫌悪がある。


わたしたちは、ここであることを想起する。そう、マリアの処女懐胎である。
そんなことはあろうはずもないから、おそらくイエス=キリストは、
マリアの結婚前の不純異性交遊の果実であろう。


つづく

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