提婆達多 ②
投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/07/13 20:24 投稿番号: [79 / 735]
臥榻に身を横たえ、七転八倒しながら、
シッタルタへの復讐の念を燃やす提婆達多。
シッタルタをいたぶり殺して、自分も死ぬか ?
いや、そんなことをして何になる。
この屈辱に対する唯一の最もふさわしい報復手段は、
勝ち誇って有頂天になっているシッタルタから、女を奪いとることだ。
提婆達多はヤショダラに対し、性の相違から来る牽引のほか、
何の魅力も感じるところはなかったにもかかわらず。
今、提婆達多は、ほかのものに食わせまいとしては、
己の吐いた物を食いもどす犬であった。
シッタルタとヤショダラの婚礼がとり行われ、国中が喜びに沸いた。
提婆達多は、あれほど好きだった狩猟も武術もやめた。
そしてそれらを磨く目的であった女漁りさえもふつりとやめた。
ひたすら形而上学の研鑽に没頭した。シッタルタの家出を指嗾するために。
そして今や、シッタルタの無二の親友となり、常に行動をともにした。
本心をおしかくし、驚くべき隠忍自重をもって新婚のシッタルタの
よき話し相手となった。
そのようななかで、提婆達多の復讐の決心は石のごとくに堅牢になった。
彼の嫉妬は、交尾している仲間を嗅ぎ出した獣の醜悪な残忍な嫉妬だった。
シッタルタが新妻の愛によって、夢のような楽しい新婚生活をおくったのも
つかのまのこと、再び例の如くの憂鬱と思索の毎日にもどった。
そんなシッタルタの唯一無二の理解者・同情者・助長者・伴侶は、
提婆達多だった。
提婆達多とシッタルタは、手と手を取り合い、
常に昼も夜も行動をともにし、言葉をかわした。
ヤショダラはさみしかった。
提婆達多は、己の遠大なる姦計の次第に成就するを見てとり、
ひそかに舌を吐いた。
かくのごとくにして、提婆達多にとっては苦しい試練の、冒険の、
シッタルタにとっては光明の探求の10年が過ぎた。
ヤショダラが妊娠した。
提婆達多にとっては、新たなる痛撃であった。
つづく
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これは メッセージ 78 (ajisai110701 さん)への返信です.
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