紫陽花亭日乗

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子夜歌     李莘

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/10/21 01:24 投稿番号: [680 / 735]
子夜歌           李莘(南唐後主・937〜978)


人生愁恨何能免      人生   愁恨   何ぞよく免れん
銷魂獨我情何限      銷魂   獨り我   情   何ぞ限りあらん
故國夢重歸         故國   夢に重ね歸れども
覺來雙涙垂         覺め來りて   雙涙垂る
高樓誰與上         高樓   誰とともにか上らん
長記秋晴望         とこしなへに記す   秋晴のながめ
往事已成空         往事   已に空と成り
還如一夢中         なほ   一夢の中の如し


人の世に愁い・恨みは   誰しもあるが
わが情(おもい)   かぎりなく   魂(たま)果てるばかり
ふるさとへ   夢路に帰り
めざめては   しとどの涙
あのひとと   のぼった高楼(たかどの)
すぎた日は   むなしく消えて
いまはただ   夢さながらよ



★李莘は唐(618〜907)末五代(907〜960)、南唐の最後の天子で、
一般に「李後主」と呼ばれています。
975年、南唐は宋に滅ぼされ、李莘は囚われの身となり宋の首都
○京(べんけい・現在の河南省開封)におくられ、この地で死にました。

○サンズイ+点+下

李莘の誕生日は七月七日すなわち七夕の日なのですが、
奇しくも、978年の誕生日、七夕の夜の宴会のとき作った
「虞美人」の中の詩の
「故国不堪回首月明中」という句を、太宗が聞いて怒り
毒殺させたという説もあります。

書画・音曲に秀で、詞では唐五代を通じその右に出る者はいないといっても
過言ではないといわれるほど、すばらしい芸術的才能にあふれた人でした。

現存する詞は三十四首あります。
その半数以上が亡国以前の華麗な作であり、
亡国以後は幽囚の悲哀をこめた作が多くあります。

後者の「浪淘沙令」は、失ったすべてのものを取り戻すよすがもない
悲哀をうたい古今の絶唱といわれています。


★「詞」とは、
中唐のころに起こった新しい民間歌謡の歌詞として生まれたものです。
のちに王侯貴族によっても作られ愛誦されるようになり、
宋代に全盛期を迎えます。

★もともとは樂府題ですでに曲がついており、その曲にあわせて歌詞を
つくりました。
ですから、詞のタイトルと歌詞の内容は、かならずしも一致しません。

正式には「曲子詞」といい、省略して「詞」といいます。

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