紫陽花亭日乗

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Re: 「血の快楽」  張献忠殺人鬼伝説

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/09/16 00:10 投稿番号: [512 / 735]
殺しのための殺し


  張献忠は、いちおう官吏登用試験の科挙も実施しているが、
時にはそれも殺人嗜好を満足させるためのかっこうの舞台となった。

  科挙を実施するという名目で書生を集めたうえ、試験場の門の左右に、高さ
四尺(約124cm)の縄を張りわたす。そこで順番に名前を呼びあげ、まっすぐ
立ったままこれをくぐらせて、引っかかった者はただちに殺してしまう。

  なにしろ百二十センチメートル余りだ。大の男が引っかからないわけがない。
かくして、たまたま混じっていた幼ない子供二人を除いて、
一万人もの書生があえなく命を落としたという。

  この話など荒唐無稽もいいところで、思わず笑いだしそうになる。
こうしたきわめつきのブラック・ユーモアのセンスにあふれた、
張献忠殺人鬼伝説はまだまだ山とある。

  もともと敵対的な存在だった蜀の民衆、官吏をせっせと殺しただけでは
飽きたらず、張献忠は味方にも魔手を伸ばした。
彼はしだいに追いつめられ、蜀に居づらくなると、こんどは味方の部下や
兵士が多すぎて足手まといだといいだし、旗あげ以来の五百人程度の
古参軍団だけのこして、あとは始末してしまおうとした。

  腹心の部下が、それでは兵士が騒ぎだす恐れがあると反対し、
かわりに一つの妙案を提示した。
軍隊内部の見回りを強化し、なんでもいいから兵士たちのアラを探りだして、
それを口実にドンドン殺していけばいい、というのである。

  こうして、やれ酒を飲んでいただの、喧嘩していただの、バクチをしていた
だのという理由で、端から処刑していったため、わずか一日で殺された兵士、
およびその家族の数はなんと十万以上にのぼった。

  以来、縮みあがった兵士たちは口もきかなくなった。
そうなると、こんどは捕まえる者がいなくなり、逮捕のノルマが達成できなく
なった見回りの兵士たちが、焦って必死になった。

  彼らは、壁に穴をあけるやら、床下にもぐりこむやら、寝室に忍びこんで
カーテンの陰で立ち聞きするやらして、ちょっとした夫婦の忍び笑いの声を
聞いただけで、やにわに躍り出てその者たちを逮捕するという挙に出た。
張献忠軍の兵士たちは、どうやら家族ぐるみで移動していた者が多かったらしい。

  張献忠はこうして戦力を自ら消尽し、自滅への道をひた走ったのだった。


つづく


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★先回の、

>「雪鰍分ける(せっしゅう)<

の「分ける」は、削除してください。

ちょっと覚えがあるのですが、他の文で、たしかタイプしたのに「ない ! 」
と思ったのが、なぜかこんなところにはまっていた、というものです。

つづく

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