刺客列傳 第五話 「荊軻」 結の段 2
投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/08/14 00:24 投稿番号: [303 / 735]
其明年、秦并天下、立號爲皇帝。於是秦逐太子丹荊軻之客。皆亡。
高漸離變名姓、爲人庸保、匿作於宋子。久之作苦。
聞其家堂上客撃筑、傍●不能去。
毎出言曰。彼有善有不善。從者以告其主曰。彼庸乃知音、竊言是非。
家丈人召使前撃筑。一坐稱善賜酒。而高漸離念久隠、畏約無窮時。
乃退出其装匣中筑、與其善衣、更容貌而前。
舉坐客皆驚、下與抗禮、以爲上客、使撃筑而歌。客無不流涕而去者。
宋子傳客之。
●「ニンベン」+「皇」 コウ
その明年、秦、天下を并せ、立ちて號して皇帝となす。
ここにおいて秦、太子丹・荊軻の客を逐(お)う。皆亡(に)ぐる。
高漸離、名姓を變え、人の庸保となり、匿(ひそ)みて宋子(河北)に作す。
これを久しうして作苦たり。その家の堂上に客の筑を撃つを聞き、
傍●(ぼうこう)して去るあたわず。毎(つね)に言を出だして曰く、
「彼、善有るも不善有り」
從者、以て其の主に告げて曰く、
「彼の庸、すなわち音を知る、竊(ひそ)かに是非を言う」
家の丈人、召して前(すす)みて筑を撃たせしむ。
一坐、善しと稱え酒を賜う。
而して高漸離、久しく隠れ、約を畏れ窮なる時の無からんを念(おも)う。
すなわち退出しその匣中(こうちゅう)の筑とその善衣とを装い、
容貌を更(あらた)めて前(すす)む。
坐を舉げて客皆驚き、下りて與に禮を抗し、以て上客となし、
筑を撃ちて歌わしむ。
客、流涕せざりて去る者なし。宋子傳えこれを客とす。
その翌年、秦は天下を併合し、秦王は天下の王となり皇帝と号した。
そしてまだ秦は、太子丹と荊軻の客を追っていた。客は皆逃げ去った。
高漸離は名も姓も変え、人の雇い人となり、こっそりと宋子(河北)で
働いた。しばらく働いていたが労働が苦痛になりだした。
そのころ、その家の奥座敷で客が筑を撃っているのを聞き、
行きつ戻りつしてその場から立ち去ることができなかった。そしてずっと
「あの人は、上手なところもあるが下手なところがある」などと批評した。
その家の召使いが、そのことを主人に告げて言った。
「あの雇い人は、どうやら音楽がわかるようです。
こっそりと筑の批評をしています」
それでその家の主人が高漸離を前に呼んで筑を撃たせた。
その場に居合わせた客たちはみな「うまい ! 」
と褒めて高漸離に酒をふるまった。
それで高漸離は、これまで姿を隠し取締りを畏(おそ)れていたが、
このままではいつまで経っても貧窮から抜け出せないということを思った。
そこでその場を退出し、その行李の中にしまってあった筑と、筑を撃つとき
の衣裳を出し身につけて、容貌(かたち)をあらためて再び一座に出て行った。
一坐の客たちは舉げて皆驚嘆し、自分の席から下ってお互いに同等の礼を
かわし、高漸離を上客として筑を撃たせて歌わせた。
客は皆涙を流してその場から立ち去る者はいなかった。
宋子のまちの人々は次々とその評判を伝え高漸離を客として招いた。
つづく
771,772
高漸離變名姓、爲人庸保、匿作於宋子。久之作苦。
聞其家堂上客撃筑、傍●不能去。
毎出言曰。彼有善有不善。從者以告其主曰。彼庸乃知音、竊言是非。
家丈人召使前撃筑。一坐稱善賜酒。而高漸離念久隠、畏約無窮時。
乃退出其装匣中筑、與其善衣、更容貌而前。
舉坐客皆驚、下與抗禮、以爲上客、使撃筑而歌。客無不流涕而去者。
宋子傳客之。
●「ニンベン」+「皇」 コウ
その明年、秦、天下を并せ、立ちて號して皇帝となす。
ここにおいて秦、太子丹・荊軻の客を逐(お)う。皆亡(に)ぐる。
高漸離、名姓を變え、人の庸保となり、匿(ひそ)みて宋子(河北)に作す。
これを久しうして作苦たり。その家の堂上に客の筑を撃つを聞き、
傍●(ぼうこう)して去るあたわず。毎(つね)に言を出だして曰く、
「彼、善有るも不善有り」
從者、以て其の主に告げて曰く、
「彼の庸、すなわち音を知る、竊(ひそ)かに是非を言う」
家の丈人、召して前(すす)みて筑を撃たせしむ。
一坐、善しと稱え酒を賜う。
而して高漸離、久しく隠れ、約を畏れ窮なる時の無からんを念(おも)う。
すなわち退出しその匣中(こうちゅう)の筑とその善衣とを装い、
容貌を更(あらた)めて前(すす)む。
坐を舉げて客皆驚き、下りて與に禮を抗し、以て上客となし、
筑を撃ちて歌わしむ。
客、流涕せざりて去る者なし。宋子傳えこれを客とす。
その翌年、秦は天下を併合し、秦王は天下の王となり皇帝と号した。
そしてまだ秦は、太子丹と荊軻の客を追っていた。客は皆逃げ去った。
高漸離は名も姓も変え、人の雇い人となり、こっそりと宋子(河北)で
働いた。しばらく働いていたが労働が苦痛になりだした。
そのころ、その家の奥座敷で客が筑を撃っているのを聞き、
行きつ戻りつしてその場から立ち去ることができなかった。そしてずっと
「あの人は、上手なところもあるが下手なところがある」などと批評した。
その家の召使いが、そのことを主人に告げて言った。
「あの雇い人は、どうやら音楽がわかるようです。
こっそりと筑の批評をしています」
それでその家の主人が高漸離を前に呼んで筑を撃たせた。
その場に居合わせた客たちはみな「うまい ! 」
と褒めて高漸離に酒をふるまった。
それで高漸離は、これまで姿を隠し取締りを畏(おそ)れていたが、
このままではいつまで経っても貧窮から抜け出せないということを思った。
そこでその場を退出し、その行李の中にしまってあった筑と、筑を撃つとき
の衣裳を出し身につけて、容貌(かたち)をあらためて再び一座に出て行った。
一坐の客たちは舉げて皆驚嘆し、自分の席から下ってお互いに同等の礼を
かわし、高漸離を上客として筑を撃たせて歌わせた。
客は皆涙を流してその場から立ち去る者はいなかった。
宋子のまちの人々は次々とその評判を伝え高漸離を客として招いた。
つづく
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これは メッセージ 302 (ajisai110701 さん)への返信です.
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