紫陽花亭日乗

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刺客列傳 第五話 「荊軻」 結の段 1 

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/08/14 00:17 投稿番号: [302 / 735]
於是秦王大怒、﨟發兵詣趙、詔王翦軍以伐燕。十月而抜薊城。
燕王喜太子丹等、盡率其精兵、東保於遼東。秦將李信追撃燕王急。
代王嘉乃遣燕王喜書曰。秦所以尤追燕急者、以太子丹故也。
今王誠殺丹獻之秦王、秦王必解、而社稷幸得血食。其後李信追丹。
丹匿衍水中。燕王乃使使斬太子丹欲獻之秦。秦復進兵攻之。
後五年秦卒滅燕、虜燕王喜。

是に於て秦王大いに怒り、﨟々兵を發して趙に詣(いた)り、
王翦の軍に詔して以て燕を伐たしむ。
十月にして薊城を抜く。燕王喜・太子丹等、盡く其の精兵を率いて、
東のかた遼東を保つ(orまもる)。秦將・李信追撃し燕王急なり。
代王嘉乃ち燕王喜に書を遣りて曰く、
「秦の燕を尤(とが)め追うに急なることの所以(ゆえん)は、
以て太子丹の故(ゆえ)なり。今王誠(も)し丹を殺しこれを秦王に獻ずれば、
秦王必ず解(ゆる)し、而して社稷幸いに血食を得。
其の後李信、丹を追う。丹、衍水の中(うち)に匿る。
燕王乃ち使いをして太子丹を斬らしめ、これを秦に獻ぜんと欲す。
秦復た兵を進めこれを攻む。
後五年、秦卒(つい)に燕を滅し、燕王喜を虜にす。


この荊軻の事件で、秦王は大変に怒り、続々と軍隊を送り出し趙まで
行かせ、王翦の軍に詔(みことのり)して燕を攻撃させた。
王翦の軍は十ケ月で燕の都・薊城(河北省)を木っ端微塵に撃ち破った。

燕王喜や太子丹等は燕の精兵を率い全軍をあげて、
東方面の遼東にたてこもった。

秦將の李信が燕軍を追撃し、燕王は危急存亡のときに直面した。

そのとき代王嘉が燕王喜に手紙をおくってこう云った。

「秦が燕を咎め急追するその理由は、太子丹にある。
今、王がもし丹を殺し、丹の首を秦王に献上すれば、秦王は必ず追っ手の
軍を解き、燕の社稷(国家)は幸いにも血食を得ることができるでしょう」
と。

その後、秦將・李信は丹を追った。
そのころ丹は衍水(えんすい)の中洲にかくれていた。

代王嘉の手紙を見た燕王は使者を派遣して太子丹を斬らせ、
丹の首を秦に献上しようとしていた。

しかし秦はまた進軍し燕を攻撃した。
五年経って後、秦はついに燕を滅ぼし、燕王喜を捕虜にした。


★社稷(しゃしょく)
「社」は「土地神」、「稷」は「穀物神」。
国家はこの二神を必ず祀ることから、転じて国家の意味となります。


★血食
先祖のみたまやに生贄を捧げ祀ることから、先祖の霊が血の滴る生贄を
食べること。転じて祖先が子孫の祀りを受けること。
すなわち、ここでは国家の存続をいっています。


つづく

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