紫陽花亭日乗

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刺客列傳 第五話 「荊軻」 転の段 2 

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/08/11 00:50 投稿番号: [293 / 735]
秦王聞之、大喜、乃朝服設九賓、見燕使者咸陽宮。
荊軻奉樊於期頭函、而秦舞陽奉地圖匣。以次進至陛。秦舞陽色變振恐。
羣臣怪之。荊軻顧笑舞陽、前謝曰。
北蕃蠻夷之鄙人、未嘗見天子。故振慴。願大王少假借之、使得畢使於前。

秦王これを聞き大いに喜び、乃ち朝服して九賓を設け、
燕の使者を咸陽宮に見る。
荊軻、樊於期の頭函を奉じ、而して秦舞陽、地圖の匣(はこ)を奉じ、
次を以て進み陛に至る。
秦舞陽、色變じて振恐す。羣臣これを怪しむ。
荊軻顧みて舞陽を笑い、前(すす)みて謝して曰く、
「北蕃蠻夷の鄙人なり、未だ嘗て天子を見ず。故に振慴(しんしょう)す。
願はくは大王少しくこれを假借して、使いを前に畢(お)うるを得しめよ」と。



秦王はこれを聞いてたいへん喜び、そういうことであればと礼装して
九賓の接客の礼の席を設け、燕の使者を咸陽宮に於いて接見した。

荊軻は樊於期の頭函を捧げ持ち、
そして秦舞陽は地圖の匣(はこ)を捧げ持ち、
順番に進んで宮殿の陛(きざはし)までやってきた。

すると秦舞陽は、顔色が変わって恐れおののいた。
居並ぶ群臣がこれを怪しむと、荊軻は顧みて舞陽を笑って、
前に進み謝罪して言った。

「北方の野蛮な田舎者です。
未だ嘗て天子のような最高位の方と接見したことなどありません。
その故に震え畏れおののいているのです。
どうか大王におかれましては、少しばかり寛容におなりいただいて、
使者を御前に出だし、使者としての使命を果させてください」


★九賓・・・天子が賓客としてもてなす九種の人々。
①公・侯・伯・子・男・孤・卿・大夫・士
②九卿(九人の大臣)に同じ。
一説に「九人の接待役」という。


★「荊軻顧笑舞陽」「荊軻顧みて舞陽を笑い」の「笑」は、
どんな笑いなのでしょうか。
荊軻の心理状態を忖度してみてください。


つづく

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